2024-06-15

CMタイアップ曲とMV企画ができるまで

やあ、私はMV制作のことをちょっとだけ知っている増田だよ。

CMタイアップ曲がどんな感じで決まっていくのかと、MV企画がどんな感じで決まっていくかを私の知ってる範囲で書くよ。

炎上した例のMVがどうだったかは知らないけど、普通はこういうケースが多いかなということを書くよ。

ここに書くのは慣れてないので、作法が間違っていたらごめんよ。

1.広告代理店CM企画を立てる

まず企業広告代理店CM企画を依頼するところから全てが始まるよ。(今回はコンペじゃなくて仮に随契だとして話を進めるよ)

どういう商品で、どういうことを伝えたいとか、どんな層に見てほしいとか、そういうことを代理店に伝えると、CDクリエティディレクター)やその手下であるプランナーたちが一所懸命企画を考えるよ。

CM企画というのは大抵3~5案くらい出して好きなのを選んでもらうんだけど、その中で「タイアップ楽曲を使う案も出そう」ということになると、キャスティング担当とかタイアップ担当の人が各レーベルに連絡してエントリーを募るよ。

2.アーティストを選ぶ

アーティスト側としてはやりたいのはやまやまだけどツアー中で無理とか、大御所すぎてそもそも興味なしとか、実は競合他社のCMが決まっていてできないとか本当にいろんなパターンがあるけど、タイミングがすごく大事だよ。

ちょうど数ヶ月後にアルバムリリースを予定していてあと何曲か作ろうと思ってましたみたいなアーティストがいるとベストだよ。

さらに最高なのはすでにCMに合いそうなデモがあってあと歌詞書くだけみたいな状態の曲があると、プレゼンときに聴かせられるので超有利になるよ。代理店からこの人に書いてほしいということもあるけど、結局タイミングが合うかどうかだよ。

そもそもタイアップってなに?っていう人もいるかもしれないので書いとくと、

企業側はアーティスト新曲無料CMに使うことができておいしい。アーティスト側としては企業が数億円払って買ったTVCMの枠で自分の曲をバンバン流してくれるのはおいしい。っていう仕組みのことだよ。

具体的には新曲JASRAC登録するときにこのCMでこの曲使うけど使用料発生させないでねという登録委嘱登録とかタイアップ登録とか言う。詳しく知りたい人は調べてね)をすることだよ。

なのでアーティストとしては出稿量が結構大事で、CCJC(広告業界の人はコカ・コーラのことをこう呼ぶよ。しゃらくさいね)だったらまあかなり多いだろうからできるタイミングならやりたいというアーティストが多いと思うよ。

3.アーティストが決まる→楽曲発注

プレゼンの時点では数組のアーティスト候補として残っていることが多いよ。こっちの人のほうが有名だけど今回は10代に人気のあるバンドのほうがいいかなーみたいな感じで企業の人が絞り込んでいくよ。いよいよ決定となったら、歌詞発注するよ。

企業代理店から楽曲雰囲気とか歌詞に盛り込んでほしいワードとかをまとめてアーティストにオーダーするよ。

今回の炎上したやつでいうと「渇いたココロに注がれる」みたいな露骨なやつはアーティストからサービスで、「意外と好きな日常」みたいなワードが逆に企業から出そうな言葉だなーという感じがするよ。あとは「覚えやすい」「マネしたくなる」みたいな注文が多い世の中だよ。

ここまで書いてて思ったんだけど、炎上した曲が使われたCM私見てなくて、もしかしたら彼らが出演もしてたのかな?曲の提供だけじゃなくて出演もするってなるとエントリーしてくれるアーティストがガクッと減るので、もしそうだとしたら最初からセスありきの企画だったのかもしれないよ。

4.CMをつくる

撮影して編集して、アーティストから上がってきた曲をのせてCMをつくるよ。

今回のエントリではここは詳しく書かないけど、これでCMづくりは終わりだよ。

5.MV企画を立てる

さて、ここから主語レーベルレコード会社)になるよ。

大抵の場合レーベルのA&Rと呼ばれる人が発端となってMVを作ろうということになるよ。

ちなみに資金レーベルが全部出すパターンと、レーベル所属事務所が出し合うパターンがあるよ。事務所が全部出すパターンもたぶんあるよ。

企画を立てるうえでいちばんよくあるのは、

まずA&Rが超ざっくりした方針メンバー稼動はあり、バンド演奏なし、楽しい感じ、とか)を制作会社プロデューサーに伝えて、プロデューサーディレクター監督)を数人提案して、その中から選ばれた監督が2案くらい企画を考えるパターンだよ。

数人の監督にそれぞれ企画を出してもらってコンペ形式にするパターンもあるし、プロデューサーの前に監督決め打ちで話がいくこともあるし、このへんは結構いろいろだよ。アーティスト本人が企画を立てるのも珍しいけどないわけではない。でも結局素人なので3分とか4分をどう構成するかなんていうのは最終的にはディレクターが考えるよ。でもいずれにせよ全てはアーティスト本人が確認して、納得した上で進行するのが普通だよ。

ちなみに今回の炎上MVでいうと制作会社名前が聞いたことない会社でおや?と思ったんよね。それでプロデューサー名前検索してみたら元SEPの人で、過去にミセスMVを何本かやってるっぽかった。(SEPっていうのはまあMVばっかり作っている会社です)おそらくミセス仕事を持ったままSEPを辞めて独立したんだと思う。ディレクターもだけどプロデューサー個人商店っぽいところがあって、会社にというよりその人に指名仕事がくる世界だよ。

6.MVを作る

決まった企画をもとに撮影して編集してMVを完成させるよ。

CMパートと同じく、ここも詳細は省くよ。

7.まとめ

時系列がこの通りとは限らないけど、(だいたいCMを作りながらMV企画も進んでいると思う)こんな流れが普通だよ。

一部のネットユーザーが「電通ガー」とか「スポンサー企業が知らなかったわけないだろ」とか言ってるけど、仕事の流れを知ってる人からしたら、企業代理店MV企画にはノータッチと考えるのが普通なんよね。なぜならMVには金を出してないから。

もちろん例外もあって、それは企業MVにも金を出している場合CMMVを同じ世界観でやろうとか、そういう特殊なケースのときには当然企業のチェックは入るよ。

例のMV場合YouTube概要欄に電通の人がクレジットされてたから「電通ガー」が湧くのも無理ないかなと思うけど、たぶんレーベルからしたら元々電通から話が来て生まれた曲という意識があったかクレジットに入れといたほうがいいかなぐらいの感じだったんじゃないか想像するよ。

なんか電通擁護するために書いたみたいになってしまったけど別にそういう意図はないよ。繰り返しになるけど普通はこうじゃないかなーっていうことを書いたまでだよ。長くなってすまんね。

  • これだとミセスはコカコーラに違約金払わないといけなくなりそう

  • 普通の口調で書いてくれい

  • 「スポンサー企業が知らなかったわけないだろ」 企業も代理店もMVの企画にはノータッチと考えるのが普通 せやろか?(本当に、そうだろうか?) もちろん企業とプロジェクトの...

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