長文注意。
もう10年くらい前か、人生に絶望した自分はドラッグに走った。
すべてを不幸に感じており、思考回路が崩壊してまともな判断ができなかった自分は「一発で幸福を感じられる」と噂のドラッグ類に手を出した。
あれでないとできない体験は確かにあったが、とはいえもう二度とごめんである。
あんなたった数時間・半日の体験のために失った物は膨大で、生涯で不可逆のダメージも大きい。
薬物にはいわゆる副作用や耐性というやつがあり、これがばっちり影響してしまった。
その薬物は「疑心暗鬼」「不幸体質」「被害妄想」とめちゃくちゃ相性が良く、その感情を何倍にも引き上げるような副作用がある。
お気づきの方も多いだろうが、自分の思考回路にある「すべてを不幸に感じており」、これは増幅される感情に完全に合致する。
さらにこの副作用はこの薬物の耐性に阻害されず、回数を重ねるごとに悪化する。
耐性によって"良い"とされる効果が減衰していくうえで、この"悪い"効果は蓄積されていく。
"良い"効果が足りなくなるので量が増え、"悪い"効果がどんどん深刻になっていくのだ。
・幻覚
妙な音が聞こえ始める (これは、周囲に確認しても「そんなことはない」と言われる)
頻繁に形の似た漢字を見間違う
視界に入る髪の毛を虫と勘違いする
・行動の幼稚化
こうなってくると、周囲の人間からの印象は悪化していき、人はどんどん離れていく。
人が離れていくとさらに不幸感情は悪化していき、回数も増えていく。
本人はこれを「不幸」と認識しているので、原因が自分にあることに気づきにくくなっている。
その事実に気づいて恐怖した自分は、この薬物の一切を絶つことに成功した。
また、これらの症状は薬物を絶った時点で急速に回復していった。
そこそこ頭の回転が速いほうだったのだが、薬物に手を出す前と後とで脳のスペックが明らかに違う。
最新スペックのPCで仕事をしていたら3世代前のスペックのPCに取り替えられてしまったような、そんな感覚である。
症状は以下のような物である。
・人の名前を覚えにくくなった
・毎日会っている人の名前を思い出すのに時間がかかるようになった
・単純な暗算に手間取るようになった
・薬物以前の記憶が霞んだ
認知が衰えた結果なのか、幸いなことにフラッシュバックに悩まされることは少ない。
薬物を絶ってすぐに認識したこれらの症状は10年経った現在でもほとんど回復していない。
このダメージによる損害は計り知れない。
・呼吸を忘れる
・しっかり握っているはずのペンがすっぽ抜け、落とす
・口を塞いであくびをしたはずが、口の端から「ぶう」と間抜けな音が出る
・鼻を啜ると変なところを通って「フガガ」と大きな音が鳴る
ささいなことだがこれが原因で「変な音が鳴る癖のある人」と認識されるようになってしまった。
呼吸を忘れることについては少しずつ改善したが、その他の症状は10年間それほど改善していない。
SNSなどでおもしろおかしくドラッグを揶揄する人間を見かけると、これらのような内容を伝えたくて仕方が無くなるのだ。
正直なところ、この薬物で得られる"良い"効果というのはこれらのデメリットに打ち勝てるほど良い物ではない。
たかだか数時間・半日の体験を享受するために以降の人生のQOLを半減させる必要はない。
また、"通"の人はこう言うだろう。
だが薬物という物は概ね劣悪な環境で精製され、また、かさを増すために混ぜ物がされている。
その混ぜ物も劣悪な環境で精製されているだろうことは容易に想像できる。
薬物が仮に安全な物だったとしても、体や脳に悪影響を与える混ぜ物が添加されている可能性を否定できないのだ。
ちなみに、この薬物においての統合失調症様症状は医学的にも認定されている。
なんでも薬物の作用で発生する脳内の状態が統合失調症を発症した人間の状態にかなり近くなるのだとか。
10年、15年前に戻って自分に教えてやりたいものである。こんな薬物は無知な馬鹿が手を出す物だと。
言ったところで聞かないだろうが。
自分の不幸体質についても書いておこう。
薬物以前からことあるごとにミスをし、トラブルに見舞われ、なんだったら虐待まで受け、対人関係もさほど良好でなかった自分は、なぜこのように不幸なのかとよく思い悩んでいた。
不幸体質には原因があったのだ。
薬物をやめて何年か経ったころ、自身の解決のために統合失調症や精神疾患、認知の特性などについて調べている時に気がついた。
見つけたチェックシートであらゆる項目が当てはまり、数日のうちに通院し、その日に診断が出た。
通院後の体験は良好そのもので、この改善によって人生は大幅に好転した。
不幸体質は、結局は自分の注意欠陥、ドーパミンの不足による認知・体験の欠落が原因だったのだ。
つまりこの不幸体質を元から解決できていれば、薬物などに手を出さなかったかもしれない。
不幸を原因として薬物に手を出そうとしている人がいるなら、まずはその不幸を解決する手段を探してほしい。
薬物乱用の経歴があると医師はADHD向けの薬を出せなくなる。