2020-04-12

神奈川県医師会からのお願い

◆侮らないで◆

~神奈川県民の皆様へ~

(神奈川県医師会からのお願い)

神奈川県医師会長 菊岡正和

連日の報道で、親も子供ストレスで大変ですとマスコミが取り上げてい

ます。だからストレス発散のために、外出したいという気持ちもわかります

爆発的な感染拡大に若い人たち危機感はないのは当然かもしれません。若

い人は感染しても比較的軽症ですむとの報道があるからです。しか現実

違います若い人でも、重症化して一定数以上は死亡するのです。現実を見つ

めてください。

もし、自分の知り合いの人がコロナ感染症で亡くなられたらきっと哀しい

はずです。そして、亡くなった人にうつしたあなたが、入院せずに軽度ですん

でも本当に喜べるでしょうか。不用意に動き回るということは、その可能性を

増やしてしまことなのです。今は我慢する時なのだということを、ぜひ理解

してください。出来るだけ冷静に、そして自分を大切に、そして周囲の人を大

切に考えてください。

ごまかされないで◆

この新しい未知のウイルスに、本当の専門家がいません。本当は誰もわから

ないのです。過去類似ウイルス経験のみですべてを語ろうとする危う

さがあります。そして専門家でもないコメンテーターが、まるでエンターテイ

ンメントのように同じような主張を繰り返しているテレビ報道があります

視聴者不安に寄り添うコメンテーターは、聞いていても視聴者の心情に心

地よく響くものです。不安や苛立ちかが多い時こそ、慎重に考えてください。

実際の診療現場の実情に即した意見かどうかがとても重要です。正しい考え

が、市民県民に反映されないと不安けが広まってしまます危機感だけ

あおり感情的的外れお話を展開しているその時に、国籍を持たず、国境

を持たないウイルスは密やかに感染を拡大しているのです。

第一線で活躍している医師は、現場対応に追われてテレビに出ている時間

はありません。出演している医療関係者も長時間メディアに出てくる時間

あれば、出来るだけ早く第一線の医療現場に戻ってきて、今現場で戦っている

医療従事者と一緒に奮闘すべきだろうと思います

PCR検査の本当◆

医療関係者は、もうすでに感染ストレスの中で連日戦っています。その中

で、PCR検査を何が何でも数多くするべきだという人がいますしかしなが

ら、新型コロナウイルスPCR 検査の感度は高くて 70%程度です。つまり

30%以上の人は感染しているのに「陰性」と判定され、「偽陰性」となります

検査をすり抜けた感染者が必ずいることを、決して忘れないでください。

さっさとドライブスルー方式検査をすればよいという人がいます。その

手技の途中で、手袋保護服を一つひとつ交換しているのでしょうか。もし複

数の患者さんへ対応すると、二次感染可能性も考えなければなりません。正

確で次の検査の人に二次感染危険性が及ばないようにするには、一人の患

者さんの検査が終わったら、すべてのマスク・ゴーグル保護服などを、検査

した本人も慎重に外側を触れないように脱いで、破棄処分しなければなりま

せん。マスク保護服など必須装備が絶対的に不足する中、どうすればよいの

でしょうか。次の患者さんに感染させないようにするために、消毒や交換のた

め、30 分以上 1 時間近く必要となりますテレビなどのメディアに登場する

人は、本当のPCR検査の実情を知っているのでしょうか。そして、専門家

いう人は実際にやったことがあるのでしょうか。

◆胸部レントゲン検査CT検査の困難◆

胸部レントゲン検査CT 検査を、もっと積極的にしないのは怠慢だとい

う人がいます。もし、疑われるとした患者さんを撮影したとすると、次の別の

患者さんを検査する予定となっても、その人が二次感染しないように、部屋全

体を換気するとともに装置アルコール消毒しなければなりません。その作

業は 30 分以上、1 時間近く必要となりますアルコールが不足する中、どう

すればいいのでしょうか。メディアなどで主張する専門家コメンテーター

は、そのようなことを考えたことがあるでしょうか。

医療機関の現状◆

今後感染スピードが上がると、重症例も当然増えてきます。もし何百人も

感染者が同時に出れば、その人たちを病院治療しなければいけません。医

機関のベッドは、またたく間に埋まってしまます。それでも心筋梗塞や脳

梗塞やがんなどの患者さんに対しては、いつものように対応しなければなり

ません。今までと同じように医療は維持しなければならないのです。

軽症の人は、自宅や宿泊施設に移って静養や療養してもらい、少しでも新型

コロナ感染症の人のために、病院のベッドを空けるなどの素早い行動が必要

です。そして、新型コロナ感染者の治療が終わり、社会復帰しても良いという

ときこそ、素早くPCR検査をやって確認し、ベッドを開けなければなりませ

ん。そのためにも、少しでも時間必要なのです。医療機関時間をください。

コロナ感染者の増加を、少しでも緩やかなカーブにしなければ、医療崩壊

ます

医療機関への偏見差別

皆さんは、咳をしたり、熱が出ていたりする人が近くにいたら、きっと嫌な

顔をして、文句を言うか、離れていくことでしょう。今この時も医療関係者は、

コロナ感染の恐怖の中で戦っています。戦っている医療機関医師看護師

事務職員にも、子供や孫、そして親はいます。その愛する人たちに、うつ

かもしれないという恐怖の内で、医療職という使命の中で戦っています。そし

自分の子供が、バイキンと言われ、いじめにあうかもしれないという、悲し

みとも戦っています

市中の診療所ならば、医師自身が罹ったら、当然一定期間休診にするばかり

でなく、診療所のすべてのスタッフやその家族心配もしなければなりませ

ん。そして、自分家族のもの危害が及ぶことになります。実際に病院

中で重症患者さんの治療毎日繰り返し繰り返し治療にあたり、家に帰っ

ても人工呼吸器の音が耳から離れず、懸命にしている立ち向かっている医師

看護師の人たちのことを想像してください。そんな恐怖といら立ちと、そし

ストレス毎日の中で生活しています

わかってください。知ってください。理解してください。感染が拡大すれば、

誰もが感染者になります。そのとき偏見差別を受けたらどんな思いをする

のか、一人ひとりが賢明に考えて、不確かな情報に惑わされて。人を決して傷

つけないように、正しい情報に基づいた冷静な行動をするようにしてほしい

のです。まして、地域医療機関活動差別意識で妨げられるようなこと

は、決してあってはならないことでしょう。

◆一緒に戦いましょう◆

もう少し、もう少し我慢して下さい。四週間、何か月いや一年以上になるか

もしれません。病と闘って生きていたいと、つらい治療と闘っている患者さん

もいます。生きていることだけでも幸せなのだと、ぜひ、ぜひ思ってください。

安易に外出して、密集、密閉、密接のところには絶対行かないでください。あ

なたの行動が、新しい患者さんを作ってしまうかもしれません。

お願いします。私たち医療従事者も、ストレスや恐怖に我慢して戦っていま

す。お願いします。皆さんはぜひ、我慢と闘って、我慢してください。戦いは、

長くてつらいかもしれませんが、みんなで手を取り合っていきましょう。

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