2019-07-07

読書感想文NETFLIX コンテンツ帝国の野望 GAFAを超える最強IT企業

最高に面白かった。

前半の、野心と人間味に溢れて起業したマークランドルフ大企業中間管理職ドロップアウロ組がオンラインDVDレンタルサービスとしてのネットフリックスをなんとか立ち上げるものの、最初エンジェル投資家気取ってた共同創業者アルゴリズム冷酷超人リード・ヘイスティングスに追い出されるのは、「オッ!シリコンバレーやってるNE!」って感じ。

そこは退屈だったけれど、中盤でライバルブロックバスターが出てきてからが最高におもろい。

っていうか、ブロックバスターオンライン奮戦っぷりにどんどん感情移入してしまうのだ。

ブロックバスターは、当時全米最高の店舗型のレンタルビデオショップなんだけど、MBA上がりの若い連中が店舗派や官僚的な組織と戦いオンライン化へ向けて戦う様が本当に良い。

例えるのであれば、関が原の石田三成、『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリー横山三国諸葛孔明みたいな感じ。

最初ネットフリックスのパチもんサイトから始まるもの、打倒ネットフリックス目指して改良に改良を重ねていく。

この戦いが本当に読んでてすっげー面白いのだ。

そのクライマックスが、後半戦の山場で出てくるブロックバスターオンラインの「トータルアクセス」というサービスローンチ

これは、店舗展開をしているブロックバスターの強みを活かし、返却も受け取りも店舗を使える上にそのまま店舗で次のレンタルが一本無料という、

まさに最近流行りの「OMO」(オンラインマージオフライン。まあO2Oの焼き直しですね)っててやつ。

もちろん、最近デジタルうんたらマンはきっと「そんなん当たり前じゃんプギャー」みたいな知ったかをするかもしれんけど、

これは2006年の話であり、それまでブロックバスター店舗インターネット網に繋がれたシステムはなく、衛星通信網をベースにしていた。

任天堂サテラビュー衛星通信スーパーファミコンコンテンツダウンロードする超豪華システム衛星打ち上げるのにすげー金かかっているのに全然売れなかった)かよって感じ。

まあ、2006年ってそんなに昔じゃないけれども。米国店舗展開していたら糞インフラ事情回線スピードはお察しでしょ。

そんな背景の中で店舗と連動するサービス作るって、地獄であり、その地獄を走り抜けて、イノベーションサービスを作り上げたことに、俺は感動したのだ。

で、これでブロックバスターオンラインは大逆転!

市場新規加入者はほぼ全取りの上に、ネットフリックスの会員から離脱者が相次ぎ、崩壊寸前!

アルゴリズム冷酷超人リード・ヘイスティングスもついに降伏言葉を口にし始め、これでついに勝つる!

オンラインDVDレンタルサービス、そして、その先にあるビデオオンデマンド王者ブロックバスターのもとにくるのか!

と思わせて………。

大変悲しいことがおきて、ブロックバスターオンラインは大失速。

このシーンは、読んでてまじで、

銀河英雄伝説』でいうところのバーミリオン星域会戦ヤンラインハルトを倒す一歩手前で停戦になるやつ)、

横山三国志でいうところの葫蘆谷の戦い(司馬仲達を谷に閉じ込めて爆殺しようとしたら雨降っちゃうやつ)を彷彿とさせ、

読んでいるこっちが思わず涙してしまう。

ぜひ、本作で読んでいただきたい名シーンである

なんつーか、まあ本邦でも最近流行りの○○payに見られるような、ITとかWebとかそういうの知らないんだろうなーって感じのプロ経営者様は、米国にもいるんすねって話。

んで、まあブロックバスターオンラインの中心人物たちは失意のうちにブロックバスターを去っていくんだけども、これもまた涙無しには読めず。

横山三国志でいうところの剣閣で剣を折る姜維というか、負けて捕まり縄目をおびて晒し者になる石田三成みたいな感じ。

終盤は、見事生き残り王者になったネットフリックスであるが、アルゴリズム冷酷超人しかいない彼らにも陰りが見られ……みたいな感じで終わり。

ぶっちゃけ、作者は、ネットフリックスいやアルゴリズム冷酷超人リード・ヘイスティングスのこと大嫌いだろうと感じさせれくれるところが節々にあり、最高に面白かった。

もともとロイター経済ジャーナリスト処女作なのだけれど、徹底的に「人」に着目しているのが大変良い、

見せかけの経歴ではなく、徹底的に出自人間関係を洗っており、大変おもろい。

この手のシリコンバレーテック企業本にありがちな当事者たちの大本営発表成功者談を鵜呑みにせず、第三者や反対した人々の意見まで丁寧に拾っている。

それこそ、リード・ヘイスティングスに関しては家系図を書くレベル調査をしているし、主要人物は一緒に働いた上司評価から家庭環境までこと細かに出てくるのだ。

おかげで、どの人物も単なる固有名詞を超えて、性格生き様までリアル描写されており、それがまた読んでいて楽しい

本当に、ブロックバスターオンライン視点ドラマ化とかしたら、日本では絶対ウケると思う。

中盤は本当に山崎豊子小説ばりの面白さで、ほんとあと一歩で、ブロックバスターオンラインは、オンラインオフライン王者として君臨していたのではないか

まあ、歴史は常に紙一重ですね。

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