今年も土用の丑の日が終わりました。ウナギおいしかったですか?私は食べました。最高に旨かったです。別にこの日にわざわざ食べなくても良いとは思いますが、いやーいつ食べてもウナギは良いものですねぇ。
さて、2014年にニホンウナギがIUCN(国際自然保護連合)レッドリストの絶滅危惧種(IB類)に指定されて以降、このままウナギを食べ続けると絶滅するのではないかという意見がインターネット上でよく見られるようになりました。年々その声は高まっていき、特に今年はTwitterのトレンドにも上がるなど、大きな関心を集めました。人々の間でこうした水産資源についての関心や資源保護への機運が高まることはとても良いことだと思います。その一方センセーショナルな話題ゆえか明らかに間違った言説やミスリードを誘う意見もTwitterを中心に数多く見られかなりげんなりしました。ウナギ資源保護のためなら嘘、間違った意見も許されるという空気すら感じ、違和感を覚えました。まぁ、かようにウナギという魚は日本国民のソウルフードであり、多くの人の関心や意見を集めるものなのだなあと感じた次第です。
以下に私がそりゃねーだろwwwwwwと感じたものを列挙します。あ、不快に感じた人はブラウザの戻るボタンでもクリックしといてくださいw
・バイオウナギ(う〇次郎くん)やウナギ味のナマズ(近〇ナマズ)はウナギと味変わらない!これはウナギの代用になる!というツイート。はっきり言って失笑モノですwどちらも食べましたけどね、結局のところすり身はすり身であり、ナマズはナマズですよ。代用になんかなるわけがありません。本当に味一緒と感じておられるのなら味覚障害なのでは?そんな味音痴に今まで食べられていたウナギがかわいそうです。つーか世の中こんなに味音痴が多いのかと驚いたわ!!まぁ何でもうまいと感じられるのはある意味幸せなのかもしれませんが・・・また、そもそもナマズに関して言えば、コイツがウナギの代用品として利用され始めたのってなんか見た目がにゅるっとしてて、泥っぽいとこが好きそうだし、どことなくイメージが似てるからっていうただそれだけの理由だと思うんですけど。両者は分類も大きく違えば(ウナギ目とナマズ目)身質から脂の付き方まで何から何まで違います。ウナギの脂の付き方は魚の中でも相当特殊で、だからこそ他に真似の出来ないあの味わいが生み出されるのですよ。ウナギの代用品なんて考えはありえません。
・クックパッドで見つけた鰻を絶滅の危機から救う天才的なメニュー(ウナギのタレだけご飯)。ハイ!偽善!キングオブ偽善!そもそも大概のウナギのタレにはウナギ抽出物が入ってるwwwwwwwwwwww乙!!!
・ウナギの旬はそもそも冬、わざわざ旬はずれのウナギを食べる土用の丑の日の習慣なんて廃れたほうが良い。・・・天然ウナギならその通りでしょうね(本当は10~11月くらいか?)。ただ市場の99%以上は養殖ウナギでちゃんと今の時期に美味くなるように調整してますからw 知ったかぶりでモノ言うと恥ずかしいっすよ?
・ウナギは絶滅危惧レベルがアフリカソウやオカピと同じなんですよ!そんな生き物を平然と食べる日本はおかしい!(うろ覚え)。・・・まぁ、IUCNのレーティングだけ見ればそうかもしれないけどさぁ、絶対的な個体数も生息環境も生態的地位も何から何まで違うでしょうが・・・そもそもそういった大型哺乳類と生態系中位に位置するニホンウナギを同列に語ること自体ナンセンスだとなんで思わないかなぁ?まぁこれは植物動物ひっくるめてすべての生き物を同じ基準で絶滅危惧リスクを評価するIUCNのやり方自体に問題があるとも言えるんだけれど。(これやhttps://www.facebook.com/jsfs.wakate/posts/701605086579950 これhttps://c-faculty.chuo-u.ac.jp/blog/eelunit/conference_intro/ が詳しい)。あとよく引き合いに出されてたのがリョコウバトね。確かにかつて鳥類最大の個体数をもっていたこの種が乱獲に次ぐ乱獲で絶滅してしまったことは人類の忘れてはならぬ教訓にしなくてはならないでしょう。ただそれってまっっっっったく生態の違うウナギと同列に扱っていい事例なのかね?そもそも私はウナギが絶滅するとは思っていません。ウナギ産業が成り立たなくなるくらいに資源が減少し、蒲焼き文化が廃れる可能性はあるとは思っていますが・・・まぁそう思う理由はいろいろとあるんですが、ここでは割愛します。まぁ簡単に説明すると海ウナギの資源の実態がまだよく分っていないこと(相当な量があると考えられる)、ウナギの成魚も稚魚(シラスウナギ)もそう簡単に獲れるものではないこと、私自身が川などで今でも腐るほどウナギを見ていることなんかが根拠です(最後のはちょっとアレですが)。
・・・ウナギは絶滅しないだろうとは書きましたが、水産庁の役人の無策、密漁、密輸を黙認する業界団体、ウナギの価格が安いか高いか以外に関心を示さないマスコミ、叩き売りして大量廃棄するスーパーには腹が立ちます(ただその正当性を自分でも納得のいく形で合理的に説明できない)。またニホンウナギの資源量が本来あった量とは比べ物にならないほど減っているのも事実でしょう。ただ絶滅を声高に主張する人たちにはもうちょっと冷静になってほしいと思います。絶滅危惧だからもうウナギ釣り行くのやめよう、なんてツイートも見ましたが、そうして本来身近な存在であるはずのウナギを遠ざけてしまうことで、結果的に彼らに対する関心が薄れてしまい、河川環境に無配慮な改修工事が行われ、個体数に悪影響を与えるなんてことも起こるかもしれません。生物多様性の保全の上で一番怖いのは、人々のその生き物に対する「無関心」です。ウナギ絶滅派(?)の人の呼びかけるウナギの不食運動や採集を控えることはそうした「無関心」に直結するものであると危惧しています。本当はウナギなんてどこにでもいる魚なんです。ただ夜行性なのと濁った場所が好きなのと、かくれんぼがちょっと上手いせいでその存在になかなか気付けないだけなんです。まだまだウナギはたくさん川にも沼にも海にもいます。うな重だけではなく、彼ら本来の活き活きとした姿を多くの人に知ってもらい、彼らと彼らの暮らす環境が守られることを願ってやみません。