なんか定期的に「図書館司書の待遇悪すぎ!」という記事がはてな村はてさ民会でバズっては
反左翼・新自由主義連合に「そもそも図書館司書なんてなりたいやつ多すぎ、市場価値無い、図書館自体が電子化など先進技術についていけない無駄なハコモノ」とぶっ叩かれるのを繰り返し観測する。
どっちサイドも「欧米先進国ではどうなん?」という普段大好きな切り口に全く興味がないんだよね。なんでどうして。
個人的には欧米の図書館司書専門職位は修士課程相当が基準だって話が気になる。
これは労働供給過剰、市場価値低い、技術力低いという問題への対応力の差になるだろうか。
欧米で図書館司書の正規職になろうとすると、日本で言うと筑波とかでとれる図書館情報学の修士、要するにmaster of library and information science相当のものが必須とされている。
図書館は欧米アカデミアでは歴史的にかなり重要視されていた影響で、電子化の時代もとくに大学図書館を中心にけっこう独立性や利権を保っている。
たとえば理系アカデミシャンが大好きなarXivはロスアラモス国立研究所の物理学者が始めたが、現在はコーネル大学図書館が管理運営している。
ちなみに日本ではミラーサーバが京大基礎物理研にあったけど予算不足で停止。まあこれ自体きついが、図書館が管理しないで研究所がやるというのはやはり差だろう。
他にも欧米では「科学・芸術・文学情報のオープン化・電子化」という図書館情報学の重要課題について、各地の図書館がプロジェクトにおいて中心的な役割を果たしている。
ちゃんと予算がついてやっているのは国立国会図書館ぐらいだろう。東大図書館ですらオープン化・電子化の取り組みはまばらだ。まあ予算がないんだろう。
逆に欧米ではそういう専門性を必要とするプロジェクトの実行権やポストを各地の大学図書館が握っており、それを推進するために専門性を持った職員を必要としていると。
こういうでかいプロジェクトに関わることができれば技術力はつきそうではある。
しかし、じゃあ欧米圏での図書館司書専門職位の経済的待遇がいいか。というとなかなか微妙だ。
よく米国で話題になる「修士学位ごとの年収中央値」では下位常連である。
登録がいるが下のサイトで情報を見ると2021年の修士学位のなかで下から五番の年収中央値で、約5万3千ドル。
https://www.statista.com/statistics/226674/worst-masters-degrees-for-jobs-in-the-united-states/
とはいえこの年の全米の年収中央値は5万1千ドルなので、一応上回っているし、労働時間や負荷も考えたらそこまで悪くない待遇ともいえるか。
修士課程を取った人間でそれ以上の条件(正規職に就職してるとか、公的機関に雇われてるとか)がないサンプルの中央値なので、学位の時点で市場価値自体がある程度保証されてるということになる。
では、直ちに欧米では図書館司書の年収は日本より高い!といえるかというとそうではない。
アメリカ図書館協会によると図書館職員全体の年収は2万ドル-3万ドルがほとんど。
図書館司書専門職位をもって「司書」を名乗れるのは修士を持っている人間だけ。
当然それだけで業務は回らないので、窓口スタッフやら配架やら、日々の業務をやるのは結局パートタイマーって感じ。
日本では「司書」としてひとくくりにされてる層が末端までやってるわけだが、この層が単に「司書」を名乗れなくなるのが米国。
比較対象となる、日本の図書館司書は年収中央値が公的データで出てこなかったのだが、求人サイトで中央値を出してるところを眺めるとおおむね300万円台みたいだ。
あと、米国での図書館司書専門職位のような専門性のある仕事を確実にやってるであろう数少ない日本の組織、国立国会図書館の常勤職の年収を見てみると
だいたい中央値500万円ぐらいらしい。国家公務員行政職と同じ給料という扱いみたいだ。昇給もするし退職金他の福利厚生もしっかりある。
なんか、日本と米国の年収の違いを差っ引くと、大体の仮説ができそうだ。
(1)日本も欧米も一部の専門職は安定雇用で、全職業の中央値と同じぐらいかそれ以上にもらえる。それ以外の業務はパートタイマーで年収は低い。
(2)この構造自体は変わらないうえで、専門性を要求するプロジェクトやポストの数が欧米のほうが多い。
(3)だから日本の司書制度に高度な専門性を課した場合、(1)は変わらず(2)は変わる可能性がある。
飽きてきたので仮説を検証するための詳しい定量データを集めるのはやめる。
ただ、結局のところ欧米型にすると、「図書館司書」としてそれなりの待遇を受けられる人間は増えて
その層は技術力もあり、市場価値も最低限は保証され、需給のバランスもとれるが
待遇はそこまで変わらないという事になりそうだな。
筑波とかでとれる図書館情報学の修士、要するにmaster of library and information science 悲しいことに、今は筑波大でも「master of library and information science」は取れないんだよね。代わりに情報学...
金の問題だろうな 自分の出身大学に寄付してるやつなんて日本だと皆無だろうし、それが無い以上国からの金に頼るしかないんだがこれもまた限界がある
高等教育機関のライブラリアンになるために求められるのであって、 そもそも売り手市場の仕事じゃない そんな仕事海外でも大して多くないのだから
林業が儲かる社会とそうでない社会とかもあるしなあ
専門教育に対するリスペクトに差がありそう
文系で勢い余って修士とか博士取った人は学芸員になっている印象 日本は敬称としてドクターとかプロフェッサーを全く使わないくらいアカデミアに対する敬意がないのに、司書がーっ...
アメリカは著作権法のちがいにより ・図書館で電子書籍を貸し出しできる ・個人が自分が買った電子書籍を日数をきめて友人・家族に貸し出しすることができる なお日本はできません...
日本てある意味文化の再整理を民営化してるんだな 欧米は文化を尊びすぎて貴族が独占して停滞しがち
そもそも日本は修士持ちや博士持ちの待遇が大して良くはない。
まじでこれなんだよな。 arXiv ミラーみたいな現代に求められてるものを提供できたなら、図書館司書の必要性を理解する人も増えただろうにね。 実際に日本の図書館司書がやってるのは...
とりあえず日本だと司書資格は公共図書館のためだけのものって点が絡むからそうではない国と話がずれるのでは? 大学図書館の職員の方々が高度な仕事をしている知識と能力を身に...
そもそもとくにヨーロッパは修士でないとまともな仕事に就けないからな。 日本でも有望な官僚に海外留学させて修士取らせたりするけど、そうしないと「低学歴」扱いだから。 (東大...
そうは言ってもポン大修士と東大学士なら後者の方が信頼性は高いわけじゃん(そんな事ないというポン大修士いたら実名出して返信よろwww) そこらへんの日本特有の事情もあると...
外国は どこの大学でたかよりどんな成果を出したかだから 「金があれば学位は取れます。あなたの実力はあなたが何をしたかで見ます。」 って感じなんで学部はまだそういう段階じゃ...
なんか文章読めてないみたいだけど 東大学部卒より日大修士のほうが”上” なのはヨーロッパの価値観であって、日本での話じゃないよ なんでそうなるかといえば先に書いたように親...
アメリカについて言ってるのはわかったけど、ヨーロッパって具体的にどの国の話?EU全部?
言うまでもなく日本にも正規雇用の図書館司書がいるわけで給料もたとえば地方公務員なら他の職員並で決して低くないですね。 正規になるのに修士課程が必要なわけでもなく、むしろ...
日本で修士・博士に進めるのは金銭的に恵まれたひとが多いし、博士課程進学者は減っているんだよね。 現在の図書館司書の専門性の低さは、 博士が少なく就職でとくに優遇されない日...
ちょっと一緒くたにしすぎ 多分端折ってる部分で、ある程度元増田も把握してるんだろうけど アメリカとヨーロッパでもだいぶ違うし元増田が言ってるのはアメリカの話がメインじゃな...
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