最近、いろんな話題を見てふと思い出したこと。気持ちのまま書いてるので誤字脱字があると思うけど、多めに見てほしい。
みなさんはバトルエンピツというのをご存じだろうが。
93年にスクウェア・エニックスから発売されたドラゴンクエストのモンスターやキャラクターを使った、えんぴつの形をしたホビーである。略してバトエンとして楽しまれた。
六角形の鉛筆の側面にキャラクターとその行動が書いてあり、転がして出た目を使って戦うというシンプルなゲームである。
バトルエンピルが優れている部分はいろいろあると思うのだが、当時小学生だった私たちにとって一番優れた部分は”えんぴつ”であったことだ。
ホビーでありながら文房具であるバトルエンピツは、基本的に玩具やゲームの持ち込みが禁止されている学校に、”文房具”であるから持っていけるという最大の利点があったのだ。
当時の私たちは休み時間になると筆箱からバトルエンピツを取り出し、互いにバトルした。
学校に来ているのに流行りのホビーで遊べる、ということかも(もちろん、シンプルながら乱数による奥の深いゲーム性も)あって、私の学校でバトルエンピツは大きく流行った。
なにがなんでも学校で遊ばせないようにと動き出した。
ここで、『学校内でのバトルエンピツの使用は禁止』と言えればよかったのだが、私の小学校は少し回りくどい方法を取った。
『鉛筆を転がすと中の芯が折れてしまい、使い物にならなくなるので止めましょう』
これでもかというほどオブラートに包んだ表現で注意喚起したのである。
鉛筆を大事にしましょうという善意に訴えた方法であったのだが、当然のことながら我々、子供たちはバトルエンピツを鉛筆として使おうなんで微塵も思っていないので、ガン無視である。
子供の善意を信じたいという小学校側の想いは大変すばらしかったのだが、実際の子供はそんなに可愛げのある性格ではなかった。
まったくもって収まらないバトルエンピツブームに頭を抱えた小学校側は新しいルールを規定する。
上記したように、元々バトルエンピツを文房具として使う気のなかった私たちは、削ることもなくそのまま持ち込んでいたのである。
そこに目を付けた小学校は間接的に削っていない鉛筆の持ち込みを禁止することで規制しようとしたのだ。
実際、バトルエンピツは鉛筆の側面を使って遊びなので削ってしまうとマス目が見えなくなり、機能しなくなってしまうという弱点もあった。
これは実際にバトルエンピツを検索して実物を見てもらうとわかるのだが、バトルエンピツはマス目と先端に余裕が設けてあり、3分の1くらいまでは削っても問題がないのである。
なので特に頓着しない私たちは、普通にバトルエンピツを削って学校に持ち込み遊んだ。
ただ、効果が全くなかった、というと正しくはなく、一部のコレクター精神を持ってる者たちは削ることを嫌がり、持ってこなくなる子もいた。お気に入りの鉛筆に傷をつけるのを嫌がった子もいた。
しかし、そんな子供は稀有なほうで、ほとんどの子は削って持ってきて遊び続けた。
さて、これまでバトルエンピツを規制したい小学校と遊びたい子供たちの攻防であったが、ここにもう一つの勢力が加わることになる。
冒頭で説明した通り、バトルエンピツはドラゴンクエストのキャラクターを使っており、バトル要素もあって遊ぶのは圧倒的に男子が多かった(私の学校での話なので、他の場所ではどうだったかはわからない。
また、子供の頃は男児よりも女児の方が精神的な成長が早い傾向があり、そういった男女差もあって女子側はどちらかというとバトルエンピツには冷ややかな対応だった。
そのため、女子生徒たちはバトルエンピツを規制したい学校側に味方することになる。
それで何が起こったのか?
先程も行ったように削っていない鉛筆の持ち込みが禁止されたことで、女子は男子の鉛筆をみて削ってないものがあればそれがバトルエンピツが否かに関わらずに教師に報告し始めたのだ。
いま思うとめちゃくちゃ馬鹿馬鹿しいやり取りなのだが、規制を強めたい学校側の意向にも合致し、教師も褒めるために自治活動は一気に拡大することとなる。
それが男子と女子の対立にもつながり、教師(学校)側の後ろ盾もある女子のほうがやや強き、といった感じになっていく。
閑話休題。
さて、間接的に規制を強めたものの、まだ抜け道があるためにバトルエンピツブームを抑えきれない小学校側は、ついに最後のカードを切った。
規制の方向性が明後日に向いている気がするのだが、小学校側は大真面目である。
表向きは鉛筆を転がす音が勉学を邪魔するから、というものであったが、どう見てもバトルエンピツのブームを止めたい気持ちがスケスケだ。
流石に転がして遊ぶホビーであるバトルエンピツにとっては致命的な規制であり、このルールの前には私たちも抜け穴を見つけられず、学校で遊ぶことは出来なくなってしまう。
とはいえ、小学生の流行の流行り廃りにも波があり、すでにバトルエンピツのブームは過ぎ去りつつあり、私たちも特に反発することなくそれを受け入れた。
バトルエンピツ自体はこの後もなんやかんやで20年ほど商品を出し続けたようだが、私たちのブームは1年も続かずに終わったのである。
……しかし、ここで話は終わらない。
先程にも上げた自治厨と化した女子と一部の男子の暴走が始まる。
バトルエンピツのブームを止めたい小学校側にとっても都合がよかったので、放置された彼ら彼女らはブームが終わった後も積極的に活動していた。
当たり前の話なのだが、故意じゃなくても鉛筆は転がるものである。
たまたま置いた鉛筆が転がっただけで、彼女たちは鬼の首を取ったかのように「〇〇君が鉛筆を転がしました!」と教師に言うのだ。
バトルエンピツを規制したいがために最初は好意的に捉えていた教師たちも、次第にそれを鬱陶しがるようになる。
何せ、授業の間に何回もそうやって通報しては授業を止めてしまうために、思うように授業が進まなくなったからだ。
しかし、当事者の自治厨と化した生徒たちは”自分たちが正しい”と思い込んでいるために暴走は止まらない。
ヘタに意図を隠したのも悪手だった。
「鉛筆が転がる音なんて誰も気にしない」という意見に彼女たちは「私は気になる!」と反論して収集が付かなくなったのだ。
学校が決めたことなので、教師たちの積極的な介入もできないまま、鉛筆が転がっただけで授業が停止するという悪夢のような状況はしばらく続くことになる。
最終的にいつ収まったのかはわからないのだが、自治厨と化した生徒たちも教師が疎ましく思っているのを徐々に感じ始め、ゆっくりと沈静化していった。
そして私たちがかったバトルエンピツはブーム終焉とともに普通の鉛筆として使われることになる。
というか、いまだに実家で使われてることがある。結局、転がしたところで中の芯が折れることはなかったようだ。
さて、この事例をもって私があーだこーだ言う気はなくて、ただ思い出したので何となく書いただけです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
わかる。 あとエスパークス。
増田の人生が詰まってる長文
なつかしい、お金が無くて買えないヤツがオリジナルバトエンを作るもテンプレだなぁ
懐かしい。あとジョー戦もよくやったね。手紙をハート型に折ってまわすやつも。