その頃自分はM1からM2に上がりたてで、HCI系の研究室に所属していたが特別ブラックというわけでもなく(直接指導にあたる教員との相性は悪かったが)、記事を読んでも筆者の境遇に思いを馳せるぐらいの月並みなことしかできなかった。
それでも、HCIは「一見役立たなさそうなおもちゃのようなものに、理屈をこねくり回して正当化させるのが多いように感じ」るという主張に心から共感したことは覚えている。「おもちゃ」という表現がぴったりだと感じたのだ。「ゴミ」とか「クズ」ではなく、「おもちゃ」。自分も含めて学士・修士の研究は大半がゴミ同然なのだろうけれど、どうしてかHCI研究の一部は「おもちゃ」であるように思えてならない。当時その理由を漠然と考えてみたりもしたが、結局まとまらないうちにほとぼりが冷めてしまった。
今、自分は修士課程を修了して労働をしている……が、このご時世なのでここの所はずっと自宅待機で時間を持て余している。だから、今のうちに寝かせたままのもやもやを整理し、言語化しておきたい。そういうわけで、増田に書くことにした。
一応断っておくと、これから書くことは修士卒の人間の主観に満ちたお気持ち表明であり、HCI全体のごくごく狭い領域の事情を述べているに過ぎない。HCIの学際的な領域は多岐にわたるが、その中でも自分は記憶・感情・コミュニケーションといった人間の精神的な活動をコンピュータ技術で支援しようという趣のことをやっていたから、余計におもちゃ性の強い研究に触れる機会が多かったのかもしれない。そのあたりを踏まえた上で、読んでもらえると幸いだ。
HCIが立派な研究であるかどうかは、HCIおもちゃ問題を考える上で大きな問題にならないと自分は思う。正しく研究のフォーマットに則ってさえいればそれは研究と呼ぶ他ないはずだし、研究の質的な議論は何もHCIという分野に限られたことではない。
学問の有用性は、例えば人文学の軽視だとか、もっと次元を低くすれば三角関数を習う意味だとかで、これまたよく議論の対象となる話題である。自分としては、一般的な学問に関しては直接的な人間への有用性という観点のみで議論されるべきではないと思っている。学問による間接的な恩恵や将来への投資を無視するのはあまりに浅慮であるし、根源的な欲求の充足というのにも価値はあるはずだと考えるからだ。
しかし、HCIは例外だ。HCIは、人を対象とし、大半の場合はエンジニアリング的なアプローチによる課題解決を目指しているのだから、人の役に立たなければ意味を持たない。しょうもないHCI研究は、道具・ツールとして失格の烙印を押されたガラクタの「おもちゃ」なのだ。
自分は、ワゴンいっぱいのガラクタのおもちゃの中にあって気持ちがみるみる冷めていったし、元増田の筆者もきっと同じだったのだろう。
ここからは、自分がおもちゃだなと感じてしまうHCIの特徴について列挙していく。
遊ぶように楽しめる何かを作ること自体は結構だが、課題解決を目指す工学において繰り返しに耐えないモノを作るのは全くのナンセンスだ。
それこそ、人間にとってのお役立ち度は、縁日の射的の景品やヨーヨーと全く変わらないということになる。
HCIの研究やプロダクトが役に立つ前提として、人間というのは常に明るく元気で前向きで、人と繋がりたくってしょうがない生き物なんだと考えているんじゃないかと思わされることが何度もあった。確かに現在の社会においてそのような人々は理想的で偉いのかもしれないが、現実を見ればそのような前提を掲げられるはずもないことは火を見るより明らかだろう。
また、人々に高度な認知的能力を要求するような例も多いが、そのような人々がいくらかエンハンスされたとしてもそれに対するHCIの貢献度は、はじめからA判定の生徒を受け持つ家庭教師のような疑わしさが持たれて然るべきだ。
これは元増田にも指摘のあったことだが、他分野を無理のある形で援用してトンデモ仮説を作るようなことが見受けられた。逆ソーカル事件といえるようなことが、あちこちで起こっているんじゃないかと思う。
大いなる研究の礎として失敗した研究が存在するという考え方があるが、おもちゃHCIは礎たりえない。それは、そこに積み上げられるものが全くないか、あるいは逆にバベルの塔を建てようとしているからだ。つまるところ、未来が両極端なのだ。
当たり前のことだが、何もHCI全体を否定しているのではない。優れた研究・研究者は数多く存在しており、今後も我々の生活を豊かにしてくれるのだろう。
ただ、おもちゃHCIが存在するのも事実で、それに関わると残念ながら莫大なリソースが無駄に終わってしまうから、ちょっと口出ししておきたかったのだ。
はじめに ブラック企業という言葉が市民権を得てしばらく経ちますね。毎年、ブラック企業大賞なるものが発表され、だれもが聞いたことのあるような企業が名を連ねます。それに対...
はじめに anond:20190329034939 この日記が物議を醸してから1年以上経った。 その頃自分はM1からM2に上がりたてで、HCI系の研究室に所属していたが特別ブラックというわけでもなく(直接指導...
TL;DR: HCIって分野に入ったら頭パッパラパーな西海岸投資家系陽キャの互助会で気持ち悪かった
ここまで書くなら完全に特定可能なので実名でいいじゃん。
上に立つべきでない人間が上に立っている。これは不思議だよな。 ジョブス的な変わり者であればまぁ分からなくもないが、この教授はただのサイコパスにしか思えんのだが。 増田の静...
言い訳ばっかだな。これからも言い訳しながら生きてくのか
システム情報学専攻はギフトオーサーシップありなんだ。 不正行為なんだけど、この後でその講師に調査処分はないんだろうなあ。
昔は東大って言えばこれ、みたいに普通にあったよなあ。ファーストは教授、みたいな。
コレスポじゃなくて?
同じ専攻の地方帝大出身者だけど、 うちの研究室でもゴーストオーサーは日常茶飯事だったな ジャーナルに論文が載ったときも共著6人とかだったんだけど、 そのうち二人は教授と准教...
雑魚過ぎワロタw
おそろしや..... 僕の母校の某教授が似たような事を学生に無断でやってクビになってたよ。
やっぱり合う合わないはあるよね。もっと自分に合ったところなら、ある程度の逆境でも何とかなるものだが、合ってないところだと大変。 僕は京大で修士の途中で脱落し、研究会で...
これは分かり易い XXXXXXXXX やろなあ
身バレした? w まあいいわ。 一応、帰国後は某国立大で教える仕事に就いたのだが......。
人生万事塞翁が馬 これはほんとによくあるよね だから現状に絶望することはない
ありがとう。 まあ、出世コースからは完全に脱落したけど、却って好きなことができて気楽で楽しいよ。
やっぱり合う合わないはあるよね。もっと自分に合ったところなら、ある程度の逆境でも何とかなるものだが、合ってないところだと大変。 僕は京大で修士の途中で脱落し、研究会で...
稲見-檜山研
まずは、修士課程の修了、おめでとうございます。 このような状況においても無事修了にこぎつけたあなたの努力は、他の人になんと言われようと、誇ってよいことだと思います。 悔...
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これを特に理論的背景もなく「折り合いをつける」くらいの意味で使って、さも各分野に精通している感を醸し出すことに長けていました。 こういうのすごく役人ウケがいいのよね。...
これは自分も思ったわ 専門外の知識をざらっと舐めて適当な用語だけピックアップして 本業やら関連業やらにちらっと垣間見せるとか 簡単にできて効果も大きい 胡散臭い発言するやつ...
むしろ学際的な融合領域だと話上手くて盛れるやつしか生き残ってない気がする。 元増田のとこもそんな感じだし。
追記 本当は記事に追加するつもりでしたが文字数制限(知らなかった)に引っかかって途中で途切れたのでコメントで失礼します。長文申し訳ないです。 想像以上の反響をいただき、...
追記まで( ^ω^)・・・? お疲れ様です
修士の二年間だけで研究室運営の闇を見抜いた増田は有能。 予算規模やスタッフ・学生が多いビッグラボに入るときは、教員の人格に難があるかどうか重要な選択基準になると思う。 自...
大学は事務職員も腐ってるね。 国公立大学の職場は小さい村社会。 出世競争で同僚へのパワハラは当たり前。 有名大学でも職員がパワハラで自殺してる。 教員も職員もサイコパスだら...
「君にはDisる権利と義務がある」 これを言える教授はすごいと思った
院って学生が学費払ってんだよね? わかんないけどさ だったら研究の他に雑務させるとか、債務不履行なんじゃない? クラウドファンディングで腕の立つ弁護士に依頼して大学訴える...
アメリカだとそうなってもおかしくないと思うんだが、日本では被害者側が黙っちまうんだよな。 あとな、こういう問題って実は連鎖しているんだよ。これまで横暴に耐えてやってきた...
どうせ正義を完璧に敷衍するリソースなんてないんだし、誰かの被害を止めたところで別の弱者にしわ寄せが行くだけなんだよなあ そう思うと誰かの利権獲得運動に肩入れする意義も見...
アメリカでは大学院生の組合があって、ハラスメントに対抗してる http://nagps.org/ http://www.thecgeu.org/ 日本も大学に窓口があったりはするが、結局大学の機関は教授に甘い
先生がメディアによく出てくるところは先生が忙しすぎてあんまり指導手厚くないよ。先生がメディアによく出てくるところは学生としてではなくプロになって研究員として行く方が良...
そもそもそういうとこって研究費が潤沢でないなら行く理由ないよね。
頑張れよー ここのコメントじゃ敵ばかりだけど、世間はお前の味方だからな
人がいないいないという愚痴はよく聞くけど、人がたくさんいてもそれはそれで課題があるのか・・・別世界のようだ
https://anond.hatelabo.jp/20190329034939 とは別の東大HCI系の放置&雑用系人気研究室の出身者だが、状況がほとんど同じだった。 とにかく雑用が多かった。 元増田で挙げられている見学者対応...
これらの不満は全て正論で、特にオーサー云々と飲み会での発言は処分を喰らう可能性があってもおかしくないとは思うが、 その他については同業からすると同情してしまう(念のため...
そして修論に載るファーストオーサーは教授である
これ別にこの研究室の問題だけじゃなくて、界隈に教員なのに実装も論文の添削もろくにしないのが多いのも問題。CSのigrs先生みたいに現役でバリバリできるみたいなのが本当は教員に...
東大のその分野ならI-H研もR研もH-T-N研もほぼ似たようなもんじゃね?