2018-12-26

ワキガ手術記

1.はじめに

身体髪膚之れを父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり。

自分の体は両親から受け継いだものであり,むりやり傷つけてしまわないことが親孝行の始まりである)」という故事がある。

しかし,親から受け継いでしまったものの中には,体を傷つけてでもその痕跡を消してしまった方がよいものがあったりする。

私の場合,それはワキガだった。

季節を問わず,少しでも汗をかくとツーンと匂ってくるあの匂い

唯一効いていた某デオドラントクリームを数年間塗っていたら,仕事ストレスも相まって今年の夏に右わき全体が炎症を起こした。

全治一か月。ついでに右乳首にまで炎症が飛び火したため,恋愛適齢期であるはずの24歳の夏は,右脇と右乳首ステロイド軟膏を塗りこみ,

打ち合わせ中にバレないように乳首を掻きながら,朝から晩までバグを退治する日々を過ごした。

事情により晴れて(?)無職となり,まとまった時間が取れた。

そうだ,ワキガを取ろう。


2.手術前

2018年12月初旬,ネットサーフィンで探し当てた都内の某病院を訪ねた。

以下の3点を満たしている病院から個人的に)最もHP上の説明がわかりやすかった病院に決めた。

関東近郊であること

保険適用できること

・剪除法かつ日帰りで手術ができること

実は家から近いという理由で,某美容外科クリニックの説明も聞きに行ったのだが,

剪除法を希望しているにもかかわらずミラドライの話しかしてこなかったのでやめた。

病院一般的皮膚科で,先生は気を使ってくれたのか小さな声でしゃべってくれた。あと看護師さんが可愛かった。

手術の費用は約4万円程度という説明を受けたが,手術前~抜糸までトータルで5万円見ておくとよいと思う(処方薬もあるので)。

完全に匂わなくなるわけではないという説明も受けた。

手術日はその数日後に電話で決めたが,この時期は余裕があるのか,直近の日付でも空きがあった。



3.手術当日~術後約二週間

以下はEvernoteに残したメモを,時系列にならべたものである

<手術当日>

12:00

病院着。病院麻酔用のテープを貼ってもらい,会計を済ませる。

電子カルテに「臭い強」と書かれているのを盗み見した。えへへ,知ってた。

12:15

薬局へ行く。1Fの薬局で薬を貰う。

12:30

昼食を摂る。薬を飲み忘れかけたが13:00には飲んだ。

13:25

病院に到着,手術開始。

手術着に着替えて台に乗る。麻酔が下手というネットの評判をみて戦々恐々としていたものの,

これまでの経験親知らずを破砕したり、爪が生えてこないよう爪母を一部殺す手術など)に比べればあまり痛くなかった。

麻酔が効いているかのチェックをしてくれるが、時折麻酔が完全に効いてない箇所があって内心ドキドキする(もちろんそういう箇所は麻酔を追加してくれる)。

手術は左→右の順番で、それぞれ麻酔をかけてから施術する流れだった。

施術中は特に強い痛みもないが、”バチッバチッ””キュイーン”という,普段匂う以外に取り立てたイベントもない私の脇とはまったく縁のない音が聞こえる。

ちょっとした恐怖心と,何が行われているのか知りたいという好奇心を理性で抑え続ける。

ただ次第に飽きてきたため、用意していたスマホイヤホンで久しぶりにラジオ聴く

14:10

右側の手術開始。ラジオニュースが14:10を知らせる頃,左側の患部に大きなガーゼを当てているのが見えた。

程なく左側は終了。手術中はずっと腕を耳の横に上げなければならないので、指先に上手く血が流れないのか冷たくなる。

右側は左側と同じように進む。14:50には終わった。

14:50

手術終了。この手術の1番の難所は服を着て帰宅することである

ワキガの手術記をググると,概ね術後の生活が大変だったという記述がみられるが,本当にその通りだと思った。

なんせ両脇にテニスボール大のガーゼが挟まった状況である。腕を真下に下げることはできず(なお真上にも上げられないのでつり革は持てない),

肘を横か前に突き出し状態帰宅することになる。スマートフォンを手に持ち,肘を横に突き出し状態病院を出る。

駅のエレベータの鏡に映った私の姿は,歴史教科書に出てくる笏を持った聖徳太子そっくりだった。

スマホ現代の笏。薄着だと明らかに脇に何か起こっているのがバレバレだと思うので,手術するなら冬がおすすめである

16:30

自宅に帰宅し,なんとか着替えを済ませ(ゆるゆるのパジャマに着替えるのも結構大変だった),

痛み止めが切れそうな気配がしたのでロキソニンを飲んだ。一応食事を摂ろうと思い,カップ焼きそばを食べた。

食事の支度も面倒になるので,一人暮らし食事も用意しておいた方がいい。

19:30

どうにも頭がかゆいガーゼが取れて腕を動かせるようになるまで2日あるため,

どこかで美容室に行ってシャンプーとブローをしようと思っていたが,それまで我慢できそうにない(あと高い)。

洗面台で頭と蛇口位置を調整すれば腕を上げずにシャンプーできそうだったので,

洗髪と洗顔トライ。案外いい感じに洗えた(というか普段よりも丁寧に洗えたためよりすっきりした)。

<手術翌日>

6:30

傷口に痛みが出てきて起床。薬を飲んで二度寝

12:30

起床。無職なのでよく寝た。痛みはないが,一応痛み止めを飲む。再びカップ焼きそばを食べる。

<手術翌々日(抜糸日)>

11:30

起床。繰り返すが無職なのでこの時間に起きてもよい。

抜糸のために病院に行く支度をする。

この手術で1番の難所が術後帰宅することだとすると,2番目の難所は抜糸のために病院に行くことである

少なくとも服を脱ぐのと同等に,服を着るのが難しい。

加えて,この二日間寝返りが打てていないため(脇を固定すると寝返りが打てない),首から肩・背中にかけて猛烈な痛みがある。つらい。

17:00

病院看護師さんにガーゼを外してもらう。

脇に挟まっていたガーゼを取ってもらうと,少し傷が痛むものの,相当楽になった。

傷口自体ではなく,ガーゼを皮膚に固定している箇所が痛んでいたのではないかと推測する。

その後先生に抜糸をしてもらい,帰宅特に痛みはない。

<手術翌々々日>

風呂に入る際に傷跡を見た。傷跡は分かりやすいし,周りの内出血黄色く変色していた(内出血は1週間後にはきれいに消えた)。

<手術約2週間後>

傷跡は少しずつ薄くなりつつある。この調子だと夏にはあまり目立たなくなりそうな感じ。

手術した箇所のしこり(拘縮?)が気になるが,日々マッサージをしていけば柔らかくなるとのこと。日々の生活にも支障はない。

ちなみに汗をかいても匂いは全くしなくなった(自己評価)。

ワキガ持ちなら分かると思うけど,冬の汗のほうが臭い傾向にあるはずなのに,匂わない。夏が楽しみ。



4.まとめ

ワキガの手術を考えている方への申し送り事項としては以下の5点。

・傷跡は術中~術後まであんまり痛くなかった。それよか肩こりしんどい

・手術するなら冬。

日常生活もそれなりに送れるが,一人だと不便なことが多い(シャンプー,着替えなど)。

・翌日から仕事ができるかといわれるとしんどいと思う(病院サイトには術後すぐに仕事復帰できる旨記載されていたが,事務仕事でもちょっと難しいのでは)。

可能であれば抜糸まで休むのがベターだと思う。

・直後の傷跡はそれなりに目立つが,時間がたてば消えていく。

個人的感想としては(今のところ)効果期待値以上,面倒くささは期待値以下だった。

もっと早いうちに手術しておけばよかったと思う。

  • ワキガってめっちゃ迷惑だし本人のせいじゃないから可哀想だし手術で匂いがしなくなったのはよかったね

  • ワキガにもいろんな匂いの種類がありますが、どんな匂いでした? 鉛筆の芯 たまねぎ すっぱいやつ カレー プラスチック とか…

    • 汗をかき立ての時は鉛筆の芯でした,そのあと玉ねぎっぽいツーンとした臭いに変わりましたが。

  • このあと初めて本格的な夏を迎えました。 汗の量は10分の1以下,匂いも普通の制汗剤で抑えられるレベルです。 (逆にこれまで気にならなかった普通の汗のにおいが気になるようになり...

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