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2016-04-04

二極化が進む「艦これ」人気の動向分析 その①


世に出てすでに3年近くが経過しようとしているブラウザゲーム艦隊これくしょん艦これ~」。

ここ最近は、ローソンやすき家とのコラボが行われたり、本家ブラウザゲーム以外にもPS Vita版やアーケード版のゲームが発売あるいはロケーションテスト実施されたりと、その人気は未だ衰えを見せていないように思える。

しかしながらその一方で、Twitter匿名掲示板などでは「艦これの人気はピークを過ぎた」という発言も見られ、首を傾げるような思いをした方は私以外にもいるのではないだろうか。

いわゆるアンチ層の発言ならばともかく、個人の区別が可能なTwitterなどで熱心なファンからもこのような声が聞かれることもあり、ファンの間でも何らかの認識の違いが生じているように思える。


では、その認識の違いはどこから出てくるのであろうか。

例えば、新規参入層と古参層との間の単なる感覚的なずれなのか、それとも何らかの指標として数字に表れてくるものなのか。

そう思って艦これの人気動向を分析していったところ、艦これの人気はある種の「二極化」が進んでいることが判明した。


分析対象

本稿では「艦これ」の人気を表す指標として、

 ・主として艦これ版権を持つ版元が関わる公式関連(ゲーム書籍など)

 ・主にファンが中心として活動する二次創作関連(pixivニコニコ動画など)

の動向を分析する。

公式関連の動向

ブラウザゲーム本編の登録者

公式関連の動向を分析するにあたり、まずはブラウザゲーム本編を取り上げる。


猫予報官氏(https://twitter.com/nekoyohou)による「艦これ登録者数の推移を表すグラフが公開されなくなって久しいが、現在登録者数は2016年1月時点で約370万人程度となっている。

要所ごとに数字を取りだして見ると、

 ・2014年1月:150万人

 ・2015年1月:250万人 (アニメ放映開始時点)

 ・2015年4月:300万人 (アニメ放映終了直後)

 ・2016年1月:370万人

となっており、2014年~15年の平均月間増加数は約8.3万人/月、アニメ放映期間中の3ヶ月は倍の約16.6万人/月、その後から現在に至るまでは約7.7万人/月と、増加量はやや落ち着いたとはいえ、今なお新規登録者数は増加していることが確認された。

このペースを維持した場合登録者数は2016年5月にも400万人を突破するものと見込まれる。


ゲーム本編のDAUMAUの現状

次に、DAU(Daily Active User:日間の総ユーザーログイン数)とMAU(Monthly ~:月間の総ユーザーログイン数)の検証に移る。


DAUMAUともに運営公式からの発表は昨年以降発表されていないが、有志の検証結果(http://togetter.com/li/933974)を元に算出すると、MAUがおよそ35万~40万人/月推定できる。(つまり、毎月40万人程度のユーザーが少なくとも1日は艦これで遊んでいる)

最盛期のMAU100万人、DAUが50万人程度だったことに鑑みれば大分落ち着きを見せたともいえるが、絶対数として未だ40万人規模の人数が少なくとも月に1度はゲームログインしている以上、ゲーム本編の人気はなお高いと言えるのではないかと考える。

また、このMAU:40万人という数字は、2015年検証されたMAU:40万~45万人と比較しても大差なく、現状は新規参入引退者の割合拮抗してある種の平衡状態を保っているものと推測される。


一方でDAUの算出は困難であるが、ゲームイベントの開催頻度に大きな変化もないため、最盛期のMAU/DAU比と同一の比率を維持していると考えるならば、おおよそ18万人程度と予想できる。

しかしこれは算出根拠としてはあまりにも推測根拠に乏しく、この予想DAUは信用ある数字とは到底言えないことを記しておく。


PS Vita版の販売

延期に延期を重ね、2016年2月についに発売となったVita版「艦これ改」は、累計販売数が20万本突破した。

Vita発売ソフトの平均販売数が2万程度であることから、当初経済アナリストに予想されていた50万本には届かないものの「艦これ改」はVita発売ソフトの中でも屈指のヒット作となったと言える。


参考までにVita発売ソフト販売数上位を上げると、

○50万本台

 ・マインクラフト(約59万本)

○30万本台

 ・ゴッドイーター2(約35万本)

 ・ペルソナ4(約30万本)

20万本台

 ・DQビルダーズ アレフガルドを復活せよ(約28万本)

 ・フリーダムウォーズ(約28万本)

 ・SAW -ホロウ・フラグメント-(約24万本)

 ・FF X リメイク(約21万本)

 ・初音ミク-ProjectDIVA-f(約20万本)

となっており、DQFFなどの息の長い人気シリーズにも次ぐレベルのヒットであったと言える。


公式書籍販売

2015年以降に発売した書籍について、POS情報から推定累積販売数を掲載している情報サイト(http://book-rank.net/rank/rank.cgi?mode=find&word=%8A%CD%82%B1%82%EA&booktype=2)のデータを用いて検証する。


いくつかの書籍を取り上げてみると、


アンソロジー 横須賀鎮守府

 ・ 9巻:40,650 (初週販売数:24,400 2015/03/14発売)

 ・10巻:34,300 (同18,150 06/15)

 ・11巻:37,150 (18,050 09/14)

 ・12巻:20,700 (10,600 12/14)

 ・13巻:24,300 (10,050 2016/03/14)

4コマ 吹雪、がんばります

 ・ 5巻:45,300 (29,000 2015/05/15)

 ・ 6巻:32,450 (22,800 10/15)

 ・ 7巻:24,300 (10,050 2016/03/14)

○艦々日和

 ・ 3巻:11,350 ( 6,250 2015/03/20)

 ・ 4巻: 8,150 ( 4,150 09/26)

水雷戦隊クロニクル

 ・ 2巻:18,450 (10,250 2015/07/09)


となっており、初週販売数、累積販売数ともに下落傾向にあることが判明した。

(発行日が新しい書籍ほど累積販売数が少なくなるのは時間経過という観点から当然であるが、このような書籍は大体発売後2~3週が売り上げのピークとなる傾向にある)

2014年以前の情報をまとめているサイト(http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n338043)も確認したが、この傾向は当時からすでに緩やかに始まっていたことが分かる。

一般に巻が進むほど購入者は少なくなること、また艦これ書籍の種類が豊富で人気が分散やすいことを考慮すればある程度の販売数下落は容易に想定されうることではあるが、果たしてそれだけに帰結できるかと問われると、大いに疑問の余地はある。


参考までに他の人気作品書籍データ掲載するが、

東方鈴奈庵

 ・ 4巻:33,050 (13,150 2015/08/07)

東方茨歌仙

 ・ 5巻:29,500 (14,150 2014/12/27)

 ・ 6巻:26,350 (11,100 2016/01/27)

Fate プリズマ☆イリヤドライ!!

 ・ 6巻:28,850 (13,150 2015/08/07)

 ・ 7巻:22,220 (22,200 2016/3/25)

アイドルマスター シンデレラガールズ劇場

 ・ 1巻: 5,550 (5,550 2015/01/24)

 ・ 2巻:12,350 (6,250 2015/04/25)

 ・ 3巻: 8,450 (5,050 09/26)

刀剣乱舞 アンソロジー

 ・初陣:53,700 (15,000 2015/06/01)

となっており、現在書籍販売数は東方シリーズFateシリーズに近い数字となっていると言える。


◆その他、特記事項

その他、特筆すべき事項としては

・「ローソン」とのコラボにおいて、首都圏を中心にコラボグッズが配布期間の終了を待たずして配布上限に達した店舗が多数見られたこと

・「すき家」とのコラボにおいて、コラボ初日20人程度の行列形成される店舗があり、一部店舗ではメニューの一部が売り切れになったこと

・3周年記念オーケストラコンサート一般発売分が、初日完売したこと

などを挙げておく。

これらは定量的に扱うことは困難ではあるが、定性的に見てもなお客観的検証可能であることから列挙した。


(その②に続く)

http://anond.hatelabo.jp/20160404011536

 
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