はてなキーワード: キョウイチとは
片道約2時間かけて、今時クレジットカードも使えないような小さな小さな映画館にわざわざ足を運んだ。少々面倒くさい気持ちはあったけど、行かなきゃ後悔するような気もしていた。
原作は未読、予告は一度だけ見たくらいで主演2人のこともさほど知らない。BLにおいて何がスタンダードなのかもわからない。そんな私がなぜ決して安くはない映画代1800円を払ってまでこの映画を見たいと思ったのか、見終わった今でもはっきりとは分からない。ただ一つ言えることは、私は再び1800円を財布から出そうとしているということである。
予告映像を見た時、とても綺麗な2人だと思った。妙にバランスが取れていて、それでいて脆そう。私は恋愛映画に美しさを求めがちなのだが、主演のお二人はまさに私の思い描く美しさにぴったり当てはまった。R15だということもあり、地上波では放送されないような気がしたし、なんとなく憂いを帯びそうな映画のような気がして、1人で劇場に行こうと決めた。
内容のネタバレはしないが、物事の対比や心情の描写がとても繊細で、そして何より全ての音が上質だった。書類をめくる音、革靴が擦れる音、肌が触れ合う音、その全てが心地よくてそれだけで劇場で観るに値する映画だと思った。成田さんの視線の使い方、大倉さんの軸がない揺らいだ空気の纏い方は圧巻でした。凄かった。
こんなに美しい二人が、熱を持って身体を重ね合う画はどんなにアダルトビデオに課金しても見れないものだと思う(海外ドラマや映画だとあるのかもしれないけど、日本では珍しい気がした)
登場人物たちは、ありきたりの言葉やなんとなく良い感じの言葉ではまとめられない、人間の愚かで汚くてまさに「ドブ」の中でもがいているような感情も包み隠さず全部見せてくれる。
あと、ちょっとだけ内容に触れると、ワインをプレゼントするシーンの二人のやりとりが堪らなく愛おしくて良かった。基本的にいつも真っ直ぐ真っ直ぐ辛そうなイマガセがこの時ばかりは心の底から嬉しそうだった。頼むから口約束にしないでよ、キョウイチさん。
前回の日記 → 結婚して妻の姓になり7年がたった
僕は前回が初増田だったのですが、予想以上にバズってびっくりしてます。今見たらトラバもまたすごいブコメ数だし……。
生天目(ナバタメ)家の長男だった増田は靏岡(ツルオカ)姓の女性と結婚し、増田の方が名字を変えてツルオカになりました。養子縁組はまだなので、純粋に名字だけです。例によって固有名詞は全て仮名です。
今回は前回の続編と言えばそうですが、名字やら手続きマニアとは関係ないつまらない話です。こういう他でできない自分語りができるのが増田の醍醐味ですよね? 使い方あってる?
なんやかんやあってその後母も亡くなりました(父はこの10年以上前に他界)。これはその時起きたエピソード。父が死んだ時には茫然自失で何も記憶がない僕ですが、母が死んだ時にもやはりだいぶ参っていたようで、以下の話は後から聞いて知ったのでした。
通夜の席でのことです。母は近隣の八木(ヤギ)家の出身でしたのでその場にはヤギ家の面々が勢揃い。遠方のナバタメ家はちらほら。妻のツルオカ家はもっと遠方でしたのでその時には妻以外おりません。そこでナバタメ家のミキコ叔母さん(父のすぐ下の妹。長女)が発言したのです。
「ショウコさん(僕の母)はナバタメのお墓に入るのだけど、私の代はともかく、息子の代になってもお墓がきちんと管理できるかわからないの。だからしばらくしたらキョウイチ兄さん(僕の父)共々別にお墓を作って移って欲しいわね」
その場で僕は生来の暢気な気質からなのかあるいは精神が参ってどうでもよくなっていたのか「へえ。それは大変ですね。そうしましょう」と答えたのです。
しかしこれにはヤギ家の面々が激昂。「ふざけるな!葬式前から墓を出ろとはなんという言い草だ!」いやあ、これはもっともですね。ミキコ叔母さんも流石に空気が読めなさすぎです。
ナバタメ家は結構大きく、正月には一族の女性が作ったおせちを大広間で食べ、子供たちは当主である祖父から順にお屠蘇とお年玉ををもらうような家でした。僕の父は当主である祖父の長男だったのです。でもなぜか父は家を出て若くして死に、祖父が死んだ時には僕は母に相続放棄をさせられました。何があったんでしょうね? 母はナバタメ家に隔意を抱いていたみたいだし、僕の改姓にあんなに反対しなくっても、ねえ?
さて、その通夜の場は無事に終わった(らしい)のですが、結局お墓は移ることになりました。とはいえ、昨今そんな簡単に墓地は買えませんし、墓石を建てるお金もありません。
ここで非常に運が良かったのは、ナバタメ家とヤギ家のそれぞれの菩提寺、大妙寺と寂光寺は宗派が同じであることでした。寂光寺にはヤギ家の納骨堂があり、そこに骨壷を移すことを両寺の和尚様に了承していただけたのです。
大妙寺の和尚様の立会いでナバタメ家の墓から父と母の骨壷を取り出しました。墓石の下部には蓋のついた空間があり、そこに骨壷を入れることができるのです。知ってました? 僕はてっきりスコップで土から掘り出すのかと思ってましたよ。
そして骨壷を抱えて母の地元にある寂光寺に向かいました。人生経験豊富なはてなー諸氏におかれましても、両親の骨壺を持って旅をした人はなかなかおりますまい。割れたらえらいことになりますからね。緊張しました。
この後も納骨堂追い出され未遂やら遺産相続争いなどの面白イベントがあるのですがそれはまた別稿に譲りましょう。最終的には、数年後にナバタメの叔父から連絡があり、この問題は解決しました。
「ミキコ姉さんがそんなことを言ったのだとは知らなかった(叔父は通夜の席におりませんでした)。ナバタメ家の墓はこれを機に姉さんではなく自分が管理するようにしたから問題ない。もしそちらが望むなら、キョウイチ兄さんもショウコさんも戻ってきて構わないよ。」
一体姉弟間で何があったんでしょうね? 僕はあんなこと言われましたが、ミキコ叔母さんのことはさっぱりして好きなんですよね。空気の読めないところとか僕も似てますし。まあ母はそういうところが苦手だったんだろうな、とは思いますが。
骨壺どうしましょうかね? とりあえず、いざというときに行き場がないということだけは避けられたようです。よかったよかった。