ジェンダー論が好きなはてなーは興味あるんじゃないかと思ったため紹介する。
8月11日に日本で公開される映画『バービー』が、アメリカの一部男性の中で波紋を呼んでいる。
(核心を突くネタバレはないけど色々言及あるので、まっさらな気持ちで視聴したい人はブラウザバックしてください。)
バービーランド― そこはすべてが完璧で、毎日がハッピーな〈夢〉のような世界!
ピンクに彩られた世界で暮らす住人は皆が“バービー”であり皆が“ケン”と呼ばれている。そこでバービーと恋人のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン、デート!
そんな完璧な毎日が続くバービーランドからある日ふたりは、完璧とは程遠い“人間の世界”(リアルワールド)に迷い込んでしまう……。
この映画は概ね好評だ。
同時期に公開された『オッペンハイマー』の売り上げを上回っており、それなりにバズっていると思われる。
https://www.tiktok.com/@its.julien.brown/video/7255724744698268954
しかし、映画を視聴した一部の男性が的外れな批判をしており、物議を醸している。
代表的なのがアメリカ人のコメンテーター(39歳男性)で、『バービー』の批評動画でなんとバービー人形を燃やした。
炎上商法を利用しているとはいえ、子供のおもちゃであるバービーをわざわざ購入してドロドロになるまで燃やしたのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=kC4aFx2xiTM
私も映画は未視聴のため想像に過ぎないが、保守的な男性の反感を買っている理由として、
バービーランドはジェンダーバイアスから解放された女性が自立して生活できる理想郷のため、「必ずしも男性は必要ない」もしくは「家父長制は不要」といったニュアンスを含む描写があることが原因だと思われる。
TikTokでもいろんな感想が飛び交っており、保守的な男性の意見に反論する投稿が多い。
映画を通じて、思っていたより男性は「女性への抑圧」に対してかなり無関心・無自覚なことが分かった。
また、バービーランドと現実世界の違いを「男性嫌悪」でまとめる浅はかさに頭を抱えている。
その上、女性に「必ずしも男性は必要ない」と思われると自分の存在価値がゼロに感じてしまうような歪んだ価値観を普段から持っているらしく、価値観を改めないとこの映画を楽しめないことにそもそも気づいていない。
保守的な男性の意見に反論するにあたって、「ジェンダーバイアス」がよく取り上げられる。
女性を古いジェンダーバイアスから解放させると自分の価値がゼロになって困ることを、当事者たちは言語化できていない(もしくはあえて言わない)のだ。
一方で、映画からジェンダーバイアスを取り除くための指標の一つとしてベクデルテストというものがある。以下の項目に当てはまるかチェックするだけだ。
1.少なくとも2名、女性が出てくる。
2.互いに会話をする。
映画業界の男女比率や作品内容にも左右されるので、ベクデルテストが絶対!というわけではないが、4割の映画は「女性は男性の添え物」的な表現がある可能性が高いということだ。
すなわち、女性はフィクションの作品の中ですら抑圧されやすい性なのだ。
一部男性が発狂している中、とある女性が19歳の息子に「ケンについてどう思った?」と聞いたところ「これまでの映画の女性の役割(女性=添え物)を表しているように感じた」と返したそう。
これまでの世代を直すことは難しいけど、これからの世代が『バービー』を理解できたら、きっと未来は明るい。そう思った。
白人も黒人もアジア人も、細い人も太い人も、トランス女性も、みんなみんなバービー!
現実でもそれが当たり前になることを願っている人が、この映画を支持しているのであろう。
まともな男性の割合は数十年前と比べたら増えていそうだが、まだまだだなと思う今日この頃。
面白いかどうか、好きかどうかはさておき、『バービー』が視聴者に伝えたいことを理解できる男性が日本に沢山いることを願う。
話は逸れるが、主役のバービーを演じている役者のすっぴん画像を投稿し「彼女は10点満点中5点だ」と外見を評価したツイートが炎上した。
https://www.insider.com/tiktok-leads-backlash-to-men-calling-margot-robbie-looks-mid-2023-7
このように女性の外見だけを見て点数をつける男性がいるのは世界共通であり、彼らは insecure men (自分に自信がない男性陣)と呼ばれている。
私も映画は未視聴のため想像に過ぎないが はあ...??
見てねぇ映画でよくこんだけ語れるな