2019-11-19

同人誌即売会に気まぐれで参加した。その②

さて、会場には駅メモキャラクターであるでんこ」のコスプレをした人が、結構な人数いる。同人イベントコスプレの発表の場でもあるのだ。

その中に、マココスプレをしている男性がいた。

オタク文化に馴染みのない人の場合

「え?駅メモキャラコスプレって、女の子キャラでしょ?なのに男がコスプレしてるの?え??」

と戸惑ってしまうかもしれない。ましてや、そのマココスプレをしている男性はそれなりの歳月を歩んでこられている、というか、まあ直接的に表現させてもらうと、それはもう完膚なきまでにおっさんである。疑う隙が存在しない、完全無欠のおっさんだ。

わかりやすく伝えるためにあえて直接的な表現をさせてもらったが、僕は決して完全無欠のおっさん女装コスプレをしていることを馬鹿にしていたり不快に思っていたり否定しているわけではない。

実際僕は、おっさんコスプレをしているキャラクターマコ」が駅メモキャラクターの中で割と好きなキャラであるしかし、その衣装をきたおっさんがいたところで不快な気分にはならない。むしろ自分の好きなキャラが、衣装再現して身にまとってしまうほど他の人にも好かれていることに喜びを感じるほどだ。

これはどうしても本当にオタク文化に触れてきていない人には理解しがたいものだと思う。だけど、そういうものなのである、としか言いようがない。

もちろんオタクの中にも女装コスプレクオリティの低いコスプレ嫌悪するような過激派もいる。しかし色んなレイヤーさんが存在するのがオタク文化であり同人イベントだ。それすら楽しんでしまう度量がオタクには必要なのである

(過度な露出ムダ毛ケアをしていない女装などは、規約違反になる場合もありますのでご注意ください)

そんなおっさんマコが本を買いに来てくれた。せっかくなのでおっさんマコに話しかけてみた。

僕「マココスプレですよね」

おっさんマコ(以下、マ)「はい、そうです。マコ好きなので…」

僕「すごいですね!自作なんですよね?」

マ「ええ、半月前に思い立って、何とか間に合いましたよー」

僕「へーすごいなあ。僕もマコが好きなんですよ。見た目から入ったんですけど、性格も可愛くってどんどん好きになっちゃいました」

マ「そうなんですね!」

とまあ、なんとも心温まる駅メモer同士の交流を繰り広げたんですが、会話している最中おっさんマコの「え、でも出してるのうららの本じゃん…」って視線が少し痛かったです。

内心「この大ウソつき野郎!!」と思われたかもしれません。

そんなこんなでイベント時間は過ぎていき、ソロ参加となった僕はそれまで短時間トイレに駆け足で行くことはあっても、他の方のスペースを見て回ることはできないで状況だった。

貴重品を持って、スペースも離席中とわかるようにしていけば問題ないだろうけど、ひょっとすると買いに来てくれた方が「何だいないのかー」で帰ってしまうかもしれない、という不安があったからだ。

でもまあ、イベントも後半に差し掛かり、そろそろちょっとくらい席を外してもいいだろう、と思いたって近所のスペースだけでも見て回ることにした。

先に挨拶を済ませていたフォロワーさんのスペースでキーホルダー買ったり、僕は人の駅メモ旅の記録を見るのが好きなので、そういった本や漫画をいくつか、足早に購入した。

もしも次また機会があれば、もう少しゆっくりと見て回ってみたいものだ。

さあ、いよいよイベントも佳境。ツイッターには撤退報告が散見されるようになり、近所のサークルさんにも店じまいを始めている方たちがいる。

即売会終了時刻は15時半だが、僕も15時15分くらいから片づけを始めた。

なんでもそうだが、お祭り騒ぎのあとは、いつもどこか寂しい。喪失感というか虚無感というか、「終わっちゃったな」って感覚が達成感とともに襲ってくる。

特に同人イベントは、即売会後すぐに撤収作業が始まりあんなに人がいっぱいいたスペースがどんどん片付けられていってしまう。

本も、ポップも、ポスターも、タペストリーも、そして机も椅子も。そこにはもう、島中とか誕生日席だとか、壁サークルだとか流刑地だとかは、跡形もなくなってしまう。

僕は、少し感傷的過ぎると思いつつも、そういう状況がいくつになっても苦手だ。でも多分それは僕だけじゃなくて、誰でも少しは感じていることなんだと思う。

両替目的丸出しで入ったゲーセンエナジードリンクにかすりもしないゲーム、会場までの道が不安とき頼もしかったキャリーケースを引く人、ボカロスプラトゥーン参加者と比べて年齢層は高くリア充感は低かった駅メモエリアのみんな、段ボールを見事にボールペン開封するテクニック、本になってちょっとだけ上手に見えた自分の絵、センスのないサークルスペース設営、悲壮感のあるヤマト運輸の受付のような壁サークルイベント開始前に「絶対買いたかった」と言ってくれたフォロワーさん、開場のときに沸き起こった拍手、「今は大手タイム…」のつぶやき距離を開けられた両隣のサークルさん、見本誌を見ないで即買いしてくれる人、うららなら全部買うやべー奴、本なら全部買うやべー奴、とにかく全部買うやべー奴、見本誌をみてフッと笑顔になってくれた人、見本誌を見てもらっている間僕はどうしてればいいんだろう問題ストラップの売り切れを悔しがってくれた人、中学野球部のようなピュアな力強さを持ったうらら推しの人、おっさんマコの「この大ウソつき野郎!!」という視線、ゲットした戦利品

その時はとても印象的で楽しかたことばかりだ。でも祭りの後にそれらを思い返すとき、どうしても感傷的な気分になってしまう。だけどそれはきっと、仕方のないことなのだ。そして、だからこそ、お祭り楽しい。終わらない祭りはない。終わらない祭りなんてあったところで、それはただの日常しかなくなってしまう。それでは、きっと、あの楽しさを、興奮を、ワクワクドキドキを、感じることなんてできなかったんだ。

そして、またそんな楽しさや興奮やワクワクドキドキに出会いいから、そうじゃない日常を頑張っていかなきゃいけないんだよな。

僕は、すっかり片づけが進んでしまってガランとし始めた会場で行われている、アフターイベントジャンケン大会を見ていた。イベント主催者と、景品を狙う参加者たちが一斉にジャンケンをして勝った人だけ残っていき、最後参加者同士でジャンケンをして勝てば景品をゲットできる、まあ普通ジャンケン大会だ。

勝った、負けた、主催者ジャンケン強すぎて誰も残らなかった、そんな感じで大いに盛り上がって、みんな笑っている。その笑顔にも少し寂しさを感じてしまうのは、流石に僕が感傷的過ぎるんだろう。

ジャンケン大会が終わり、色紙抽選結果発表で、僕の描いた色紙が無事誰かの手に渡ったのを見て、開場を出た。

ほんの気まぐれで、何年かぶりに本を作ったけど、これからまた、漫画でも描いてみようかな、と思えた。

おわり。

  • なっげーけどまあ読んで良かったとは思えた 俺もまた同人誌作ってみたくなったわ

  • こじんまりしたオンリーイベいいよね

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