これは多くの界隈で交わされてきた議論だろう。
「コンテンツをより良くするために、否定的な意見も述べていくべきだ」
「万人に絶賛されるコンテンツは作れない。嫌なら離れればいいだけ」
大体の陣営は両者が拮抗していて、今日もSNSではお気持ち表明組と擁護組がバトルを繰り広げている。
しかし、ことアイドルマスターというコンテンツは、「我々がコンテンツを成長させている」という自負が強いファンが多かった。
自らを「プロデューサー」と称し、推しのことを「担当アイドル」と呼ぶ。
よく外部からは「うすら寒い」と言われがちだが、ロールプレイの一環としては悪くないものと思っている。
元々アイドルマスターというコンテンツは「いつもと違う日常を」というコンセプトのもとにつくられたゲームだ。
没頭するために普段と呼び名を変えることには、きっと意味があるだろう。
我々はアイドルに迷惑をかけないよう、模範的な人間でなければならない。
そういう「矜持」を持っている人も、意外と多いのではないだろうか。
しかし、このアイドルマスターというコンテンツも、他の多くのコンテンツと同様に転機を迎えた。
すなわち、スマートフォン普及によるユーザー層の入れ替わりである。
スターライトステージという非常に取っつきやすいゲームがリリースされ、これまでのファンとは性質を異にする新規ユーザーが大量に流入した。
従来のような矜持を持ち合わせない、新しいファン層が形成された。
従来のファンと新規ユーザー間で最も差があるのは、キャラクターへの執念だろう。
そも、古くからモバマスをプレイしていたファンにとって、「アイドルに声が付いている」というのは全く当たり前のことではなかった。
総選挙で上位に食い込むべくマーケティングを重ね、嫁プロのような形で徒党を組んで士気を高め、リアルマネーをつぎ込み、ようやく手に入れた上位であり、ボイスなのだ。
デレステでピックアップされるアイドルは、どうしても既に声がついた主役級(というとお叱りを受けそうだが)のアイドルが多い。
自分の好きになったアイドルに声がついていないという状態を経験することは少ないのだ。
だから、多くの新規ファンにとっては、古参ファンが総選挙に傾ける並々ならぬ熱意が理解できない。
だから、SNSでバズっている面白いアイドルに、ちょっと票を投じてみる。
そして、夢見りあむは中間発表で3位に食い込んだ。
率直に言って、悲しかった。
たった二人。声無しアイドルを担当する私からしてみれば、どちらもバケモノ級のトップアイドルだ。
他のすべてを一切合切抜き去って、夢見りあむは中間3位に入賞した。
どれだけ熱心にPRしても、地道に布教しても、イナゴのように湧いた新規ユーザーの数の暴力には勝てないのだとすれば、このコンテンツにどう魅力を見出せばよいのか。
今日も多くの陣営が涙ぐましい努力で認知獲得合戦を繰り広げている。
冴えた陣営は、アイドルの「いじりやすい」属性をピックアップして喧伝する。
そんな心の声をぐっと飲み込み、ネタにしやすい所を前面に押し出して知名度を稼ぐ。
絵師に認知され、Twitterで漫画でも描いてもらえれば御の字。
またある陣営は名前が似ている商品や場所と結び付けて、写真付きでアピールする。
変わったところでは、アイドルと縁があるNPOだかNGOに寄付したことをアピールしている陣営もあった。
すべては総選挙の上位獲得のため。
最初から強烈な個性を付与されたがゆえに、誰も宣伝しなくてもSNSで一気にバズった。
そしてイナゴのようなユーザーたちが面白半分で投票し、総選挙を茶番に貶めた。
私はこれが許せない。
アイドルマスターというコンテンツは元来そんなものではなかった。
各々が確固とした担当アイドルを定め、彼女をスターダムへ押し上げるために時間と金を割いた。
総選挙は、断じて面白半分でバズっているアイドルに票を投げる見世物ではない。
さて、冒頭の問に戻るが、今回の件で私は結論を得た。
「嫌なら離れればいいだけ」
これがきっと正解だ。
私は夢見りあむが上位に食い込んだことが悲しい。
まして夢見りあむ自身に罪はないし、彼女を本気で応援している人がいることも勿論知っている。
Twitterで文句を言っても、届いてほしい連中には届かず、そうではない人達の気分を害するだけだろう。
だから最後の矜持として、SNSで夢見りあむに面白半分で投票した人を貶すことはしない。
収まりがつかない分は、場末の匿名掲示板に吐き出して、この界隈からは離れることにした。
私の好きだったアイドルマスターは、最早ここにはない。
ムカつくって言葉をダラダラ書くとこうなる
結局お前らは「敗北者」だから
ポケモンのコイルの時は散々面白おかしくやったのにアイマスになるとこれだよ