2016-01-16

スタートアップ社長仕事

ここ数年、起業ブームだ。過去に何度か起業経験がある身として、起業に興味がある人や実際に起業をした人向けに、IT系社長仕事を紹介したいと思う。

金を集める

社長の一番大切な仕事は「会社を潰さないこと」だと思っている。それにダイレクトに繋がるのが資金。金を集めるのは社長の大切な仕事だ。昔、自分はこれを他人任せにしていたせいで、会社危機的な状況になっても全然気づいていなかった。

金の集め方は色々ある。一番わかりやすいのは、別の企業相手に仕事をしてその対価を得るやり方で、受託開発に向いている。仕事をすれば金をもらえる、というスタイルサラリーマン出身の人にはわかりやすいし、学生にもイメージやすいと思う。フリーランスみたいな起業をする人はたいていこのやり方だ。デメリットとしては、常に営業を続け、決して仕事を切らしてはいけない。仕事がなくなり蓄えがなくなれば倒産だ。このような会社場合技術力もさることながら、営業力(個人の場合コミュ力)が大切になる。比較起業やす形態だろう。

にわかやすいのはサービス提供し、そのサービス上で売上をたてるやり方だ。最近流行の、スマホアプリWebサービス起業考える人は大体これだろう。ユーザーから直接金を取ってもいいし、広告アフィリエイトを貼ってもいいし、別の企業提携して売上を立ててもいい。サービスさえ上手く回れば色々な方法がある。自分たちサービスから売上を立てるのは夢があるが、この場合ユーザーを集める」というのが一番むずかしい。普通サラリーマン経験しただけだと、広告の打ち方一つ取っても慣れていない人がほとんどだろう。サービスを立ち上げるだけなら技術者なら簡単だが、継続して上手く運営するには技術力よりマーケティング広報などの経験や才能が大切になることが多い。サービスベースとした起業は難しいが、上手く行っているかどうかを数字判断やすいのがメリットではある。

どのようなやり方でも継続的利益があがればいいのだが、そうはいかない時もある。一切収入がなかったとしても、社員給料事務所代など、いわゆる固定費と呼ばれる支出容赦なく襲ってくる。そういう時にも会社を回すお金を集めるのが社長仕事である。そういう時は融資、いわゆる借金を考えよう。銀行が貸してくれるならそれでよし、ダメ場合でも政府系の支援プログラムなどを頼ることが出来るかもしれない。将来返済が辛くない条件にこだわるにこしたことはないが、目の前の危機を乗り越える方が大切だ。一番気をつけなければいけないのは、融資にはそこそこ時間がかかるので、調達中に資金ショートしないようにしなければいけない。本当にヤバくなる前に検討を始めるのが良いだろう。

最後に、投資を受けるやり方も一応説明しておきたい。融資とは違って、(一般的には)株を渡すことによってお金を得るやり方だ。このやり方は、投資家が将来的にその株が出資金の何十倍もの高値で売れることを期待してお金を入れるやり方になる。投資を受ける判断をした以上、必ず投資家にその株を現金化させるチャンス(一般的exitと呼ばれる)を用意しなければいけない縛りが出るのがポイントだ。これで数千万円の資金調達して、しばらく収入なしでサービスを作る、というのが最近流行りの起業のやり方である投資については色々な話があるが、投資を受けて成功する会社は5%にも満たない(多分1%にも満たない)という事実と、投資を受けて運営する会社は当然投資家株主に入るので、経営に口出しされることを覚悟しなければいけない、という2点だけはしっかり認識しておく必要がある。個人的に、社長が一番大変な起業がこれだと思う。自分は1社きちんとexitまで持っていったが、正直他人にはおすすめしない。

人を集める

社長の次に大切な仕事は、人を集めることだ。一人で会社起業することも出来るが、それは一般的はいわゆるフリーランスという分類になり、あまり起業はいわない。社長は人を集めないといけない。

やはり知り合いと起業するのがいいだろう。できればある程度長い付き合いのある知り合いがいい。考え方が似通っていて、自分に隠し事をしない、できれば自分とは全然違うメンタリティを持っている、そういうパートナーがいればベストだろう。共同経営者として迎え入れるのが望ましいと思う。あまり付き合いの長くない人と起業をするのはおすすめしないが、自分技術素養がない場合、どうしても技術者必要だろうから、そういう場合は仕方ないかもしれない。個人的には、そういう状況になるなら起業しないほうがいいと思うが。

起業パートナーで一つだけ重要ポイントを挙げておくと、会社が失敗した時に友情が将来にわたって破壊される可能性を認識しておくほうがいい。相手の全く想像もしていなかった側面を見ることになるかもしれないし、ぶっちゃけた話、金のトラブル友情はおろか血縁ですらあっという間に破壊する。会社が失敗すれば絶対友情が壊れる、ということは全然ないのだが、その可能性があるということだけは知っておいたほうがいい。

ある程度会社が回ってきたら、従業員を雇って会社を拡大するのも社長重要な務めだ。初期はやはり知り合いを頼るのがいい。技術者なら特に知り合いを頼るべきだ。人数が少ない会社無能が入ってくると大惨事になる。人数が少ない会社無能が入ってくると大惨事になる(2回目)。特に30人以下の会社では、その人間即戦力か、今の会社必要としているか、将来的に成長のポテンシャルがあるか、自社の雰囲気に合うか、などの採用基準すべてに合致した人のみを採用すべきだ。採用の失敗は本当にでかいダメージになる。自分会社規模が10人以下の時に信頼していた共同経営者に何人かの採用を任せたところ、結果的に大失敗で、たくさんの人が傷ついた。採用には、必ず自分が最終的な判断をし、責任を持つようにしよう。少し大げさな言い方だけれど、社長は今までの社員と新しい社員、その両方の人生責任を持つことになるのだから

トラブル防波堤になる

社長は辛い。トラブルは常にやってくる。仕事が入ってこない、重要な人が辞める、仕事約束通りに達成出来ない、先方からの入金が遅れる、取引先が倒産する、よくわからない訴訟を受ける、社員同士で大きなトラブルが起こる、などなど、予想もしない悪い出来事が次々に起こる。胃に穴をあけてはじめて本物の社長だ、と投資家に言われたことがあるけど、あながち間違っていないと思う。そんなときに、決してトラブルを顔に出してはいけない。会社が順調な時もダメときも、いつもにこやかに笑っていよう。

社長が「辛い」ということを漏らしてプラスになることはほとんどない。社長が辛そうだと、社員に動揺が走る。社内に動揺が走るのがプラスになることはまずない。社長が笑っているだけでそれが回避できるなら、それはもう社長仕事だ。社員は、社長仕事をしていなくてもそんなに気にしないが、社長経営に詰まっているのは敏感に察知する。どんなに辛くても、それは会社の中に持ち込まないようにし、いつも「大丈夫だ問題ない」という態度を取るようにしよう。社長ツイッターで「辛い」「忙しい」とほざくのは論外だ。

もちろん社長が本気で大丈夫だと思ってはいけない。トラブル回避しないといけない。社長トラブル対処に失敗すると会社に深刻なダメージを与える。危機に目をつぶるのではなく、しっかりと対処しないといけない。そして、あらゆるトラブルは最終的に自分が引き受ける覚悟を持とう。社員から「こいつはいつも働いてないから、困ったら仕事を投げつけてやれ」と思われれば最高だろう。

必要ときには社員相談しなければいけない。自分で何でも出来るならずっとソロでやるべきだが、実際は自分ひとりで出来ることには限度がある。社員に頼るのもとても大切なことだ。最終的に自分が全部処理するという大前提を忘れてはいけないが、社員無駄不安にさせず、最終的に社長がなんとかするだろう、という安心感は与えなければいけない。トラブルヒステリックになるなんて論外だ。

もっとも、リストラなど、本当にどうしようもなく社員に痛みを与えなければいけないタイミングというのは存在する。リストラをするのは涙がでるほど辛いが、すべては自分が蒔いた種だ。「株主社員を切れと言われたから」などの言い訳は、たとえ事実であっても絶対にしてはいけない。社員に痛みを強いると決めた以上、最後まで責任をもって断行し、その責任かぶり、その後により良い未来を持ってくるために全力を尽くすようにしよう。

仕事をしない

会社がうまく行っている時、社長仕事をしないくらいがちょうどいい。営業したり、コードを書いたり、勉強会に行ったり、人と会ったり、そういう活動はもちろん良いと思うが、例えば社長が一番仕事をしているエンジニアであるとか、社長が一番営業案件を取ってくるとか、そのような状況はあまりよろしくない。今まで書いたように、何かトラブルがあれば社長には一気に重たく辛い仕事が降ってくる。そうなると社長コードを書けないし、営業にも行けない。社長能力に頼る会社ますますマズい状況になってしまう。なので、社長仕事をしないくらいがちょうどいい。会社がうまく回っているなら、普段は毎日六本木に飲みに行って騒いでいても一向に構わない。「俺はこんなに大変なんだ」と社員に漏らす社長は、色々な意味でろくでもない。会社を安定させ、成長させ、何かあった時にすぐに会社に戻り、全力でトラブルを排する、それが社長仕事である

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