少子化の原因として子育て世代の貧困が挙げられていますが
これとは違う原因が存在しているようです
このあたりはバブル期でも少子化が進展していることと
都道府県別出生率トップの沖縄は都道府県別所得最下位でもあります
つまり所得と出生率は逆相関の関係すらあるのです
また社会普遍的に
「都市は出生率が低く地方は出生率が高い」
という大原則があり
これ以上の東京への集中を防ぐのが一助かと
例として
日本全体:東京よりも
都市への人口集中が激しい北海道では
道民540万人中札幌市民は195万人
札幌市民195万人中
面積で最大の南区の人口は14万人
残りの180万人、つまり道民の1/3は
東京23区より狭い面積に居住している
北海道内でも札幌市の出生率は
ほかの地域と比べて低く
札幌市に人口が流入すればするだけ
北海道全体の出生率が下がっていく
東京一極集中で問題視される東京ですが
その東京でも所得や子育て支援でリッチな区部よりも
むしろ貧弱な島嶼部で出生率の高い傾向が見られます
そして真の問題は経済的理由ではありません
経済的な問題にしてもファクタに過ぎず
実は「選択肢の多さ」が成婚率を狭めています
男5女5程度の小集団で、男女ペアを作らせる
それぞれの人気はトップの2人に集中する
これを10人ごとのグループでやっているのが地方
東京の場合、男100女100の集団になる
人気が集中するのは、やはりトップの2人
男98人と女98人は不本意なペアを強いられる
地方の5人ずつグループから東京へ人間が吸い取られる
5人ずつのグループが歯欠けし、地方でもペアが作りにくくなる
これが現状。地方でもペアは作りにくくなっている
かりに100人を語るとしても
地方だと「10人の小集団×10」
人気が集中するのは20人獲れるわけですが
都市圏だと「100人の大集団×1」で人気が集中するのが2人
頑張ったとしてもせいぜい5で、20人には到底及ばず
10×10よりマッチング率が低いんです
本当に少子化をなんとかしたいのなら
地方に分散するべきですが、肝心の雇用がなく
ますます出生率の低い都市への転出が捗るという悪循環
これはエシャラン(梯団)の定理といいまして
この場合は結婚に対するありとあらゆる要素
(収入、学歴、身体的特徴etc.)に応用できます
大集団は小集団よりも選択肢が多いように見えますが
より近似の需要要素が比較されるので、結局のところ選択肢が狭まります
もう一つ注目すべき点は堕胎です
第1次ベビーブーム(と呼ばれる)
「戦前の高出生率の残り香」直後の急減で
この時期にあったのが
中絶解禁(優生保護法の恣意的運用 経済的理由による中絶)
じつに出生数の7割が中絶されました
なぜ中絶が解禁されたか?
農村は社会普遍的に出生率が高く
衛生状態などにも左右されるが「都市1:農村4」前後
この状況で農地改革を行うと
農地改革で土地を投げ与えられた元小作人
小規模自作農は、農村の高出生率を背景に
継代によって営農継続困難なほど土地が細切れになってしまう
これを防ぐために、中絶解禁が実行された
それでも父母が存命である限り
農地という雇用環境は限定される
そこで、農地改革によって土地を得た
元小作人の子弟たちは「農地によらない雇用先」
出生率の低い都市を目指すこととなった
彼らこそが「金の卵」団塊世代
そして「金の卵」団塊世代の人口移転こそ「戦後の繁栄」
地方人口を都市集約し、都市の限られたリソース(土地)を
とりあいさせることによって生み出された「高度経済成長」と言う名のバブルなのです
高度経済成長期以前、地方は供給1に対し需要0.8~1.2
都市は供給1に対し需要3前後だったわけですが(流入人口比)
それ以後は人口移転がありまして
供給1に対し(各地方から吸い取った)需要9前後が積みあがり
地方の価値は下がり、都市の価値は高まることとなりました
価値は、需要が過集中することで生み出されるもの
需要の過集中には人口移転が必要、ところが地方がカラッポ
移民ぐらいしかアテがないのが現状の日本です
地方はすでに人口を都市に吸い取られつくしているので
景気拡大に必要な人口移転
それに伴うバブルを駆動する能力が不足しており
今後考えられるのは
現在残り火の残っている地方都市から
東京に人口を吸い取りあげ
東京のみで駆動するバブルを実現するぐらいでしょうね
実際 公示地価価格推移を見るに
すでに「東京のみが生き残る」フェーズに入っているかと考えられます
もっとも 大規模災害が起きた際に
そうした東京が果たして無事でいられるのか?と言った点からは目を背けているのですが。