2021-12-31

アラサー社員上司に呼び出される。

貸し借りした本について楽しく話していたはずだったのに、雲行きが怪しくなった。

つの間にか「あなたは本をよく読むから早く結婚しろ」という趣旨の話に変わっていた。文脈行方不明である

あなたのところは両親の仲がいいでしょう」

なるほど、そう来るか。

「まあ一般的夫婦だと思います

「そうでしょう。あなたを見れば分かる」

頭を殴られたみたいだった。

一般的な、の後に(熟年離婚しかけの)というカッコ書きがあることを目の前の上司は知る由もない。 両親の仲は私にとっての地雷だ。

周りを見下し、気に入らないことがあればすぐに大声を上げて物に当り散らし、時には食器を投げつけてきたり叩いてきたり、自分の兄妹の子(私からしたらいとこ)と私たちの頭の出来を比べて「あんたはバカだね」と言い続けたモラハラの父。ヒステリックで四六時中私たちに父の悪口を垂れ流して、「結婚するなら絶対別居婚よ」などと自分ができもしないことや父への恨みを私に託し続けた母。今でこそ年の3分の2程度別居して一応は落ち着いてるけど、本当に、何で結婚したのかも離婚しないのかも不思議で仕方ない夫婦

物心ついた時には怒鳴り合う声、時折物が壊れる音が我が家に響くのが当たり前の毎日だった。いつ両親が喧嘩を始めるかと怯えていた、伝書鳩ピエロケアイカーの私。今でもその当時のことを思い出すと心臓バクバクする。あと、今も男の人の怒ってる大きい声は過剰に怖いし、いつ力がこちらに向くか分からいから深い関係になるのも結構怖い。

幸い、お金に困ったことはない。しかし『居心地のいい家』は知らない。

結婚は本当に幸せなのか?

これまで生きてきた中で、幾度となく考えてきた。

自分だけでどうにもできないことゆえに、幸せにも不幸にもなり得る。それが長い間かけて出した答えだ。

両親と同じ轍を踏むのは嫌。加えて誰かと家族になるだけの心の余裕はない。とにかく自分お金を使うのが大好きで、ついでに休日趣味が忙しくて時間の余裕もない。

高校生の頃、母に「なぜ離婚しないのか」と尋ねたことがある。「あんたが大学に行けないし、お父さんが死んだ時にあんたたちにお金がもらえないかもしれないじゃない」という理由だった。子どもに関するお金はそうだけど、おそらく専業主婦ゆえに金銭面の不安があって離婚できなかったのだと悟った。同時に、もし子どもを産んで離婚してシングルで私が受けたのと同等の教育を施せるだろうかと考えたら、率直に難しいと思った。その時から私の人生設計子ども存在はない。

世の中、金だ。頼れるのは自分の稼ぎだけ。

から、私はワンマン社長ブラック会社で3年も薄給に耐えて、ひとりで生きていけるだけの職に就けた。

今の会社に入ってすぐの頃、お金が安定した今なら過去を上書きして“一般的幸せ”にありつけるのではと思い、何度か婚活に参加してみた。無駄を省きたいから備考欄に「子ども不要」と書いた。話す度に、子ども存在人生設計にないのとその理由を思い起こしてしんどくて、参加を止めた。

ひとりであれば自分幸せにするだけでいい。きちんと相手を思いやる余裕ができれば、いつか隣にパートナーがいる暮らしもいいと思う。ただ、やっぱり今の私はそれが難しいので、自分に使いつつ甥っ子になるべく遺しつつ、ちょっとでも助けになればいいと、ひとり親家庭子どもへの支援をして自己満足に浸っている。

トラウマに触れられたせいかマスクの下の口元が引き攣る。窓から差し込む陽射しは暖かいのに、指先が冷たい。

目の前の上司は「○○さんはどうだ?シュッとしてていい男だ」と、私を他会社から来ている未婚の人とマッチングさせようとしている。話を聞くに、どうやら、その未婚の社員と「誰々はどうだ?」「派遣先の人とだと色々あるので」というやりとりがあったらしく、それに対してぶつぶつ言っている。

ここで私の地雷をぶちまけたらこの話は終わりになるんだろうか。いや、まともに話すのが2回目の人に私の育ちの悪さは知られたくない。

ぼんやりする頭を必死に動かして受け流していたら、私が結婚するまで言い続けるなどと言い出した。こんなのがこれからずっと続くとか無理だ。前の会社だかの女性にも言い続けて30後半になって結婚したとかどうとか言ってるけど、無理。というか、本社だかの人間と話してる時に『今はそういうのハラスメントから』と言われたけどなあとか、ハラスメント自覚ある分余計タチが悪い。

「今は自分以外のことを考えて受け入れるだけのキャパティはないので」

どうにかそれだけ言い返したら 、「何を言ってるんだ。いいか、私はあなた説教してるんだ」とさらに“説教”された。

「失敗を恐れてるんだ」決して成功とは言えないロールモデルを見て育っているのに、恐れないことなんてできるの?

だんだん考えるのがつらくなって、とにかく早く終わってほしくて、「ありがとうございます」とか「そうですね、たぶん自分ではなかなかそういう気持ちにならないので」とか、意味のわからないことを口走っていた。全然ありがたくない。思ってもいないこと言うなよ、私。

閻魔の前で裁きを受ける罪人の気分になってきた。吐きそう。

少しして上司用事があるとかで解放された。地獄のような30分だった。貴重な昼休みが飛んでいった。

自席に戻ってからはぼーっとして仕事が手につかなかった。夜に寝ようとしたら昼間の出来事が浮かんで涙が出てきて、しばらく寝れなかった。

それから何となく毎日トゲトゲした気持ちを抱えて過ごしてきた。

年末に今年のあれこれを思い出しているうちに、トゲトゲを跳ね除けて怒りが込み上げてきた。しかし怒りをそのままぶつけるのは具合が良くないように思う。だから気持ちの整理も兼ねてメモ代わりにこれを書いている。

何も知りもしない人にプライベートにずけずけと踏み込まれたことはすごく不愉快だ。

自分にとっての幸せ他人にとっても幸せとは限らないのに、その価値観押し付けられたことも不愉快だ。

何で職場仕事以外のことで説教されてるんだ。

何で仕事以外のことで職場で落ち込まなくてはいけないんだ。

年が明けてもう一度同じようなことがあったら、はっきりと「プライベートことなのでこれ以上は触れないでほしい」と言い返す。

それでもあれこれ言われたら、私の育ちに関することを話してもいいと思えるような信頼している直属の上司相談する。

これは私の決意表明だ。

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