2021-10-18

日本共産党立場を明確にすべき

日本共産党2021年総選挙政策の中で非実在児童ポルノについて言及していることが話題になっている。

個人的には、非実在児童ポルノに対する言及のものよりも、7「女性ジェンダー」の項目と60「文化」の項目で内容が矛盾している(ようにも見える)ことが問題だと思う。

「ようにも見える」と留保しているのは、矛盾していない可能性もあるからだが、ともかく実際の文章引用する。

以下が、項目7「女性ジェンダーから引用

―――児童ポルノは「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年2014年改正)における児童ポルノ定義を、「児童虐待性的搾取描写物」と改め、性虐待性的搾取という重大な人権侵害から、あらゆる子どもを守ることを立法趣旨として明確にし、実効性を高めることを求めます

現行法は、漫画アニメゲームなどのいわゆる「非実在児童ポルノ」については規制対象としていませんが、日本は、極端に暴力的子どもポルノを描いた漫画アニメCGビデオオンラインゲーム等の主要な制作国として国際的にも名指しされており、これらを適切に規制するためのより踏み込んだ対策国連人権理事会特別報告者などから勧告されています2016年)。非実在児童ポルノは、現実・生身の子どもを誰も害していないとしても、子どもを性欲や暴力対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広め、子ども尊厳を傷つけることにつながります。「表現の自由」やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待性的搾取対象とすることを許さな社会的合意をつくっていくために、幅広い関係者と力をあわせて取り組みます

https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021s-bunya-007.html


続いて、以下が項目60「文化から引用

日本共産党は、文化芸術基本法憲法基本的人権条項を守り生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。

 ――「アームズ・レングス原則」(お金は出しても口は出さない)にもとづいた助成制度確立し、萎縮や忖度のない自由創造活動環境をつくります

 ――すべての助成専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

 ――「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガアニメなどへの法的規制の動きに反対します。

https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021s-bunya-060.html

一見すると、項目7では「非実在児童ポルノ」を規制対象としていないことを問題として扱っており、項目60で児童ポルノ規制名目にしたマンガアニメなどへの法的規制の動きに反対するということと矛盾しているように見える。

しかしながら、項目7は、「漫画アニメゲームなどのいわゆる「非実在児童ポルノ」については規制対象としていませんが」からまり国連人権理事会から勧告があることを述べつつも、「子どもを性虐待性的搾取対象とすることを許さな社会的合意をつくっていく」という着地点になっているため、法的規制を行うことを明言はしていない。つまり、「子どもを性虐待性的搾取対象とすることを許さな社会的合意をつくっていく」ことがあくま目的であり、その過程で法的規制必要とするかは明言されていないため、項目60の法的規制に反対するという政策とは矛盾していない可能性もなくはない。

しかしながら、これは項目7を支持する人に対しても、項目60を支持する人に対しても、不誠実な内容になっているのではないか



まり、項目7では、児童ポルノ禁止法に対する言及として、「非実在児童ポルノ」が現在規制対象になっていないことに触れ、国連勧告に触れ、あたか非実在児童ポルノの法的規制を目指しているかのように読める文章になっている。項目7を支持する人は、非実在児童ポルノ問題視しているはずで、結局「『児童ポルノ規制』を名目にしたマンガアニメなどへの法的規制の動きに反対」するというのが日本共産党政策であるとすれば、項目7を支持する人にとってミスリードな内容になっているように見える。

逆もまた然りで、項目60を支持する人は児童ポルノ名目とした法的規制問題視しているはずで、項目7で法的規制を行わないことが明言されていない以上、自分の支持する内容と矛盾しているように見えるだろう。「『表現の自由』やプライバシー権を守りながら」という言及はあるものの、現行法について「規制対象としていませんが」から始まる文章規制対象とする着地点を連想させるし、そのときどきで「表現の自由」の範囲を変えてしまうのではないかという懸念が出てしまう。



個人的には、「子どもを性虐待性的搾取対象とすることを許さな社会的合意をつくっていく」ことと「表現の自由を侵す動きに反対」すること自体矛盾しないと思っている。しかしながら、それに対して明言がないため、結局党の方針がどのようなものであるのか判断する判断することができなくなっている。

こういう記事を書くのはどうせ自民党支持者だろうと思われるかもしれないが、私自身は日本共産党に一票を投じることも結構ある。良くも悪くも日本共産党政権を取るようには見えないので、自民党政権を盤石にしないための一票の候補として日本共産党が入ってくるのだ。政権交代となると話はまた検討必要だが、政権交代がどうせ起こらないのであれば政権が盤石であるよりは交代の可能性があるくらいの方が国民の方を向いた政治が行えると思っている。そういう意味で、私は日本共産党積極的に支持しているかは怪しいが、消極的には日本共産党投票することがあるくらいの人間だ。

所詮、私は消極的な支持者であり、日本共産党からすれば取るに足らない指摘かもしれない。しかしながら、上に書いたように、矛盾しているようにも見える政策はどちらの政策を支持する人に対しても不誠実な内容になっているように思えるし、立場を明確にする説明があった方が良いのではないか個人的には思う。

  • 矛盾してないよ。 法解釈とすれば法なら「後法優先の原則」てのがあって相互に矛盾してる場合はあとからくっつけた法が優先して適用される 今回でいうとあとから追加されたのは「...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん