2020-12-05

詐欺まがいのAIベンチャーを辞めた人の話

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この物語フィクションです。実在人物や団体などとは関係ありません。


とあるAIベンチャーに入ったことを心の底から後悔している。

「◯工大学発ベンチャーです!自由に開発できる風土です!」みたいな宣伝文句に騙されて入ってしまった過去自分をぶん殴りたい。

何がヤバかったかって?

会社とある人物(卍と呼ぶ)がヤバすぎた。

そいつはクソみたいなアルゴリズムSを 何でもできるAI と宣伝していた。

いまどき「何でもできます!」なんて宣伝する馬鹿いるわけない、って思うじゃん?

マジなんだこれが。

講演会営業先で卍が言うんだ。

「うちのAI基本的に何でもできます

「脳と同じ働きをします」

ディープラーニングよりも軽くて高性能です」

でもって騙されるやつがいるんだこれが。

信じられないだろうけど本当にいたんだ。

騙されるやつはだいたい会社役員とか高齢コード書けない人間

そういう人を意図的に狙っているようだった。

うまいこと口車に乗せられたら、お客さんが抱えている課題を聞き出して、「うちのAIならできます!」と言う。

「じゃあやってみて」と言われるので、「チューニング必要があるのでお金をください!」といってPoCの費用をもらう。

そして営業内容を知らないエンジニア仕事をブン投げる。

「すごい意義のある仕事から頑張って!でもこのアルゴリズム絶対使ってね!」


そのアルゴリズムってのは卍が昔作ったと言い張っているもので、人工知能なんてとても呼べない低性能なものだった。

(卍はコードが書けないので多分学生か同僚に作らせたんだろう)

卍はそのアルゴリズムが大好きで、かなり執着していた。

このアルゴリズムを貶す人間絶対さない。

このアルゴリズムを使えばあらゆる問題解決できるはずだ。

割り当てられたエンジニアはそのアルゴリズムSの最強性を示す仕事をすることになった。

で、だいたいできない。

クソアルゴリズムがクソすぎて、どう使ってもクソみたいな結果しかでない。

クソ以外のプログラム必死に工夫して結果を出すのが常態化していた。

「頼むからこのアルゴリズムSの使い方を教えてくれ」

自分で使い方を書いてくれ。そしたら俺たちも使えるようになるから

と、卍の言う「何でもできるAI」を教えてもらおうとするエンジニアは多かったが、「忙しい」とか「使い方を考えるのはエンジニア仕事」とか言って卍は逃げ回った。

一度だけ卍がコードを書いたことがあるのだが、for文すら書けないド素人であることが判明した。

エンジニアたちは絶望した。

うまく結果が出なくてプロジェクト炎上することも多かった。

「できると言ったじゃないか!」と怒った客に対して卍は「もう少しやればできる」と時間を稼ぐか逆ギレした。

アルゴリズムSをうまく使えなかったり、アルゴリズムSの性能に文句を言ったりする人間は何らかの形で粛清された。

会社の全体メール罵倒したり、会議で吊るし上げたり、技術指導と称して詰問しまくって精神的に追い詰めたり、自尊心破壊するような言動がいつもの手段だった。

嫌になった社員はどんどん辞めていった。


一度、とあるプロジェクトディープラーニングを使って成果が出たことがあった。

経験者はご存知なように、ディープラーニングは優秀だけど使い所によっては成果が出ないなんてザラにある。

けどそのプロジェクトではうまくディープラーニング機能した。

エンジニアは正直にそれを卍に報告した。

卍は面白くなさそうに聞いていたが、一応成功したわけだし、渋々成果を客に報告した。

いたことに、卍はその成功事例を、自分アルゴリズムの成果のように宣伝し始めた。

「これはディープラーニングを使った」とは絶対に言わない。

エンジニアたちの不信感は最高潮に達した。

3年以上在籍した社員は1人もいなかった。つまり3年以内離職率100%だ。

卍は辞めていった社員悪口を言いまくっていた。あいつはガキだ、社会人として未熟だ、小物だ。。。

悪口と陰口に嫌気がさして辞めていく社員も多かった。

まりに多くの社員が辞めていくので、採用計画頓挫し、全然人が増えなかった。

不信感をもったエンジニアガンガン辞めていって、いつの間にか新人が入ってきて、その新人が不信感をもって辞めたくなる頃にはまた次の新人が補充された。

卍の穏やかな第一印象に騙されて入ってくる新人が後を絶たなかった。

まりに多くの社員が辞めるので、投資家心配して卍に意見したが、逆に投資家攻撃対象になってしまった。

出資してくれる人に攻撃するって何考えてんだ?

投資で得た資金を食いつぶしながら、そのAIベンチャーはしぶとく生き残っている。

実態がヤバすぎるので、会社として成長することはあり得ないだろう。


ベンチャーと協業を考えている人や、入社を考えている人に言いたいのは、そのベンチャーが本当に技術力を持っているのか慎重に確認してほしいということだ。

詐欺師は口がうまい

口先の説明画像動画だけで、さも自分たちは技術を持っているかのように見せてくる。

そんなときは、「目の前でデモンストレーションしてくれ」「アルゴリズム説明してくれ」と詳細を問い詰めてほしい。

ITに強い技術者を連れてきて色々質問させるのも有効だ。

実際には存在しないモノや技術存在すると錯覚させ、お金を払ってもそれを提供しないことは一般的に「詐欺」と呼ばれる。

構成要件である「騙そうとする意思」が立証できない場合刑法的に追及することはできないが、AIに関する宣伝の多くは詐欺に近い。

すべてのベンチャーヤバいわけではない。

ここで書いたベンチャーはクソだったけど、本当に価値ある事業を目指しているベンチャーも多い。


怪しいベンチャーに騙されて不幸になる投資家エンジニア、騙されるお偉いさんがこれ以上増えないことを祈るばかりだ。

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