2019-04-27

夢見りあむが悲しい

正直に言うと私は夢見りあむのことが嫌いだ。大嫌いだ。なんで嫌いなのかはっきりさせるために夢見りあむの嫌いなところを書き出して分析したメモなんかも残っている。真剣に嫌いだ。

全部は書ききれないので省くが、アイドルという職業をなめているのか? とか、生まれ持った資質(胸がデカい、顔がカワイイ実家が太い)のおかげで今まで自分享受してきた「得」を過小評価して、マイナスの側面にだけスポットを当ててぬるく生きていそうだ、とか、夢見りあむが登場してからしばらくずっとそういう(おそらく嫉妬込みの)負の感情がぐるぐるしていた。

しかし同時に、夢見りあむが好きな人もたくさんいるだろうなとも思っていた。

こういう言い方だと語弊があるかもしれないが、「たかフィクションキャラクターである夢見りあむにここまでの強い感情を持ったという事実、私の「夢見りあむが嫌い」という感情が、むしろ夢見りあむというキャラクターの持つ「力」を私自身に証明することとなった。

私のTwitterにも「夢見りあむ」という新人アイドルを愛し、楽しんでいる人たちがたくさん流れてきたし、そういう空気に水を差すのは本意ではなかったから、夢見りあむについて積極的言及することは避けてきた。

だが、今回の選挙の夢見りあむ周りの動向を見ていて、夢見りあむ(とその周囲)に対する感情が爆発したのでここに書いている。

人気投票選挙というのは、(大規模なものであればあるほど)「空気を作ったものが勝ち」という形になりがちだと思う。だから、界隈の空気を見ている中で、素朴に「今回の総選挙は夢見りあむが上位になりそうだな」「下手したらCGになるかもしれないな」という予感はあり、今のところその予想は当たっていて、それについて特に衝撃というものはなかった。なかったはずだった。

それなのに、夢見りあむが上位にいることが、なぜかとても悲しく思えた。

その理由自分で整理して分析してみようと思う。

まず、夢見りあむというアイドルに対する雑感を述べる。

夢見りあむは、表面的には現代の世相を強く反映したアイドルであると思う。所謂メンヘラ(もどき)」や「サブカル」を全面に押し出しアイドル。髪色や服のデザインドルオタ設定など、絶妙リアリティバランスの上に成り立っていて、それゆえに彼女共通項を持つ人間感情やらなんやらを仮託されやすい。「夢見りあむ〇〇してそう」みたいなオタク意見には彼ら彼女らの実体験が多分に含まれているように見える。そういうことを狙ったキャラ造形であると思うし、その試みは上手くいっていると思う。

もっと踏み込んで私個人の夢見りあむ観について考える。

彼女アイドルの持つ「使い捨て消耗品」としての面を認識したうえで、それでもアイドルになろうとした人物だと思う。

アイドル使い捨て消耗品」という夢見りあむの発言は悪い意味でよく取り沙汰されるが、これも「アイドル」というものが確かに持っている側面には違いない。そしてこれは、夢見りあむが「こうなりたい!」という強い憧れからでなしに、完全なる消費者、客の目線アイドルを見ていた時代があるからこその発言であると思う。

そりゃ若さゆえの見通しの甘さもあっただろうし、「ちやほやされたい」という、「なめ腐った」と言われてもおかしくないような動機、恵まれているのにつらいだのやむだのほざく甘ったれた態度に、嫌悪憎悪を抱く気持ちは痛いほどわかる。私もそうだからしかし、そんななめ腐った動機で、負の側面を認識しながら、そのうえでアイドルとなった夢見りあむには、その覚悟に見合った輝きが備わっているとも思う。私は大嫌いだけど。

ここで総選挙に話を戻す。

Twitterなどにおける夢見りあむの扱いを見ていると、総選挙で夢見りあむが上位に食い込んだことに、某五条さんや某コイルやの騒動ときのような大衆心理が全く影響しなかったとは、残念ながら思えない。

勿論、夢見りあむに投票した人が全員愉快犯的な感情でそれをしたわけではないだろうと思う。真剣に夢見りあむを愛して夢見りあむに票を投じた人だってたくさんいるはずだ。

しかし、愉快犯浮動票が流れなければ、夢見りあむがここまで上位に食い込むことなどなかったに違いないという確信はある。

そして、浮動票を投じた層の大半は、きっと一年も経てば夢見りあむのことなんて忘れて別の楽しいコンテンツで遊んでいるのだろうなと思う。

今回夢見りあむに投じられた浮動票は、多くの人々から夢見りあむが「使い捨て消耗品」として扱われていることの証左であると思うのだ。

アイドル使い捨て消耗品」と口に出した夢見りあむがまさしく「使い捨て消耗品」として利用されていることに、痛快な皮肉を感じている人もいるだろう。

私は夢見りあむが大嫌いだが、夢見りあむのこの皮肉な動向に対しては苦しさを覚える。

夢見りあむの一連の発言を見るに、彼女は確かにクズ意識が低くて甘ったれたクソ女ではあるが、オタク目線心理に対する主観的理解と、アイドルという仕事に対する客観的理解を持った新しいアイドルであるとも思う。

オタクちょろい」と言いながら、そのちょろさが飽きやすさの裏返しであることを彼女理解しているはずだ。理解しながら、それでもその一過性のちやほやを喜ぶ。夢見りあむにはそういうところがある。

炎上でもいい!目立ちたい!」は紛れもなく彼女本心だろう。様々な事情のもと歪んだ承認欲求の正直な発露だろう。しかしそれは、一時的に満たされてもそこから先に繋がることはなく、また新たな飢餓を生む「欲」でしかなくて、「何に代えても実現したい夢」ではないはずだ。「炎上『でも』いい」ということは、炎上でない方法で目立つ方が嬉しいということなのだから

からこういう「その場のノリ」みたいなもの唐突に上位になってすぐ飽きられるネタ枠でいるうちは、夢見りあむ本人は永遠に満たされない、穴の開いたコップのままのように思えて、それが悲しかったのだと思う。

炎上アイドル属性」とか、「アンチの行動が全部りあむの燃料になる」とか言って夢見りあむを持ち上げてる連中は、夢見りあむについて真剣に考えたことがあるのか? 夢見りあむが何を考えているのかとか、夢見りあむが何を望んでいるのかとか、そういうことに欠片でも興味を持ったか? 夢見りあむのことなんて流行りのネットおもちゃぐらいにしか思ってないんだろ? シコれる野獣先輩程度にしか思ってないだろ?

どうせお前ら一年後には夢見りあむのことなんてすっかりさっぱり忘れてるだろ。私もきっと忘れてる。私は「嫌い」というところからそれなりに真剣に誠実に夢見りあむに向き合ったつもりではあるけれど、それでもやっぱり一年後には忘れていると思う。

でも、たぶん年に一度くらい、命日にふと故人を思い出すように夢見りあむを思い出すんだろうなという予感もある。悲しい。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん