2022-08-06

AI拓也に見るAI創作

最近DALL・E2やmidjourneyなどの高性能お絵描きAI一般公開されて「AI創作」というトピックがかなりTLを賑わせている。

一方ニコニコでは、去年の暮れ頃からAI拓也」という淫夢派生コンテンツが安定した人気を得ている。

扱っている題材がガチ倫理的に終わっているので気になる人は勝手に調べてくれって感じだが、簡単に言うとAIのべりすとを活用して、拓也というAV男優ブログの特徴的な文体模倣しつつ様々な短編を生成するコンテンツだ。

この最悪なコンテンツは「AI創作」というトピックに関してそこそこの知見を与えてくれるような気がするので、現在AI拓也界隈で使われている手法について簡単にだがまとめてみる。

なお、俺はAI技術に関しては完全に門外漢なので技術のところは信用しないで欲しい。

参照元の調整

AIが参照する学習データを偏らせることで、文体模倣することが出来る。

これはAIのべりすとではMOD機能として実装されており、太宰治村上春樹などがプリセットとして用意されている。

お絵描きAIでも「油画風」とすればそれっぽいのが出てくる。AI拓也ではブログを大量に学習させたMOD使用することが半ばデファクトスタンダードになっている。

突飛な表現

AI文章生成は、多分人間理解している意味内容からの推論ではないのだと思う。そのため、突飛な表現が頻出する。これは多分緊張と緩和みたいな話?(よく知らん)

文章意味理解できるが内容の意味わからんという齟齬面白いんだと思う。

お絵描きAIでキショいドラえもんがウケてるのと同じ?

列挙

AIのべりすとは数字が本当に苦手らしい。そのため、〜なもの3選!とか言って平気で4とか5とか続けてくる。

これと突飛な表現を掛け合わせることで意味は分かるが脈絡のない項目が無限に生成できる。これはAI拓也界隈では「松本人志現象」という謎の名称が当てられていてかなりウケている。

リセマラ

AIが望み通りの結果を出力してくれることは稀である。そのために数をこなすことで望みの結果を得ようとしている。恐らくAI拓也もバズってるAIイラストもそれなりの試行回数を重ねた上でのものだと思う。

また、リセマラの過程自体が突飛で面白いものもある。何度やっても主人公死ぬ結末になる天丼ネタなど、不謹慎ではあるが面白い

これは後述の編集技術との協奏もある。

小技

とはいえ数をこなすのは手間である

そこで、より望みの結果を出力するためにAIに与える情報を上手くコントロールすることでより望みの結果に近づける確率が上がる。

AI拓也界隈では、語尾の設定を霧雨魔理沙にすることで元ブログ特有の〜だぜ口調を導入するとか、「Wikipediaより」と記入することで地の文を真面目にしつつ内容を突飛なものにすることでより面白い文章を生成している。

また、適宜人力による修正を加えることで方向性を調整することもある。(更には、人力による修正AIボケに対するツッコミと捉えて1つのウケに昇華しているものもある。こういう発想できる人がAIを使うのが上手い人だと思う)

先日「AAAゲームスクショの方が母数が多いからそっち指定した方がより雰囲気似るよね」という趣旨ツイートがバズってたが、多分仕組みとしては同じ。

AI生成コンテンツはここが1番作者のセンスによる部分が大きい。黎明期である現在では、小技は知見として広く共有されているが、時代が下るにつれ属人性高まったり、小技の価値が高まって情報商材としてやりとりされたりするんじゃないかなと思ってる。

編集

ここも作者の手による部分がかなり大きい。

AI拓也は画面には基本的文字しか表示されない。そのため、視聴者は読み上げボイスを無視して先を読むことが出来る。

適当な作者は生成した文章をそのまま貼り付けて音声をあてて投稿していることが多いが、再生数の多い動画では笑いどころとなる部分を意図的に表示させなかったり、読み上げ直前で文章を変えるなど、見せ方に創意工夫が見られる。

お絵描き界隈にはまだ見られないが、展示とかインスタレーションみたいなより規模がでかい話になるとこの辺の話も大事になってきそう。

コミュニティ形成

多分これがAI拓也が最も先進的な部分だと思う。

未だにニコニコ淫夢動画を見ているやつなんて本当にひと握りなので、コミュニティがかなりクローズドものになっている。

そして投稿される動画さらに少ないので、伸びてる動画はみんな見ているのが前提になっている。

そのため、動画Aでの面白要素が別の投稿者による動画Bでも参照されることが多々ある。「松本人志現象」のような語録の形成はまさにコミュニティ形成によるものだ。

コンテンツ多様化みたいな話があるが、AI無限コンテンツを作ってくれるのでさら多様化が進むと思う。例えばマイナーCPBL創作界隈とかで、界隈の小説を参照させることで理論上は無限供給可能になる。お絵描きAIでも、特定モチーフによるコミュニティ形成されたりするかもしれない。

以上簡単に述べた。多分もうちょっと丁寧に検討したらよりAI創作一般拡張できる理論みたいなものが見えてくるのかもしれないが、俺にその能力は無いので誰かに任せる。

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