2019-04-08

anond:20190408014023

広い意味調和し、繋がる必要はあります。さもないと単に、とっちらかった話になってしまます

けもフレ2の場合、キュルルが「みんなのことが~大好きなんだー!」と叫び、これが多分メインテーマなわけで、だとすると、「リョコウバトを絶滅させ、イルカアシカにショーをさせ、イエイヌ人間なしには生きられなくした人間の業」はメインテーマと真っ向からぶつかるアンチテーゼなわけで、その業とどう向かい合うかは、避けて通れない話でしょう。軽く触れるだけで終わらせるのは構成的に不備があります

けもフレ2のメインテーマは「おうち探し」だと思ってました。そうだとするとヒトの業はアンチテーゼとしては機能しないです。ただ、テーマについて、議論を受けて改めて考えなおしてみたのですが、それぞれ責任の取り方を示唆する決着にはなってたと思いますイルカアシカは芸のネタを与えてあげる、イエイヌは(他人ではなく)飼い主が戻ってくるのを待たせる、リョコウバトには「ひとりじゃないみんなが仲間」ということを教える。イエイヌ不憫感のある結末でしたが、あそこでキュルルちゃんが代わりの飼い主になってしまえば、視聴者は「ああ犬を捨てても誰かが拾えばいいんだ」と受け取ってしまいかねない、飼うことの責任を結果の悲しさを見せることで匂わせた、そういう意図だったのではと思います木村監督仕事受けたあとインタビューで「娯楽なので、ぶっちゃけ監督なんて誰でもいいんですよ」とお話したそうです。この言葉謙遜、およびプロとしての矜持だった、道具に徹するという意志の現れだったのでしょうが騒動で傷ついていたファンには「たつき監督への侮辱か」と受け取られてしまったようで、残念なことです。作劇のプロとしての基準がどのようなものか存じませんが、一般的エンタメ方法論の尺度では、(見得を切った割には)十分な水準に達していなかったということでしょうか。俺としてはとっちらかっているとまでは思えなかったです。

「野生解放と言わずに野生解放で急に強くなる」は、わかりやすさ優先ではなく、むしろ、わかりにくくなっています

野生解放を明言しないの目的が引っかからないようにするため。性格自己申告の目的がわかりやすくするため、と申しました。サーバルは対ビースト戦でも野生解放を使っているので、視聴者最終話のシーンでは引っかからないだろう、と考えたのでしょう。むしろ俺は貴方レベルでそれを見落としたことに驚いています。すくなくとも演出の目論見は失敗したと言っていいでしょうね。

ミドリケムリクサ自体回復できるのに、なぜ、赤を回復してしまわないか、は、複数の葉を重ねて作られた赤を「治す」ことで、元に戻してるのかもしれません。

いただいた他の論はあまり説得力を感じませんでしたが、この解釈は的を射ていると思います考察によって筋を通すことができる、それに耐えられる作品になっている。そういう信頼がたつき監督にはあり、木村監督には無かったのでしょう。見返しておられるとのことで詳しくは控えますが、あらゆるポイント伏線と回収があります。りんが記憶の草を触られて居心地悪くしているシーンは流し見るとなんかエッチ雰囲気に見えてしまますが、きちんと意味のある描写です。内面世界の外への進出、この観点で二作品の差を論評するのはいささか無理があるのではないでしょうか。俺はけもフレ2もSFアドベンチャーとして設定を考察していますしかし先に触れてらっしゃいますが、全体的な伏線-回収のスタイルには2つの作品は確かに大きく異なっています

「さぁとっとと野生解放するのです」… かの名言を忘れているとは。おっしゃる通りで返す言葉もないです。やれやれ咀嚼が足りてないですね。噛めば噛むほど味が出る、これがたつき監督けもフレ1以後の作品凄さでした。個人的には、けもフレ2もそのスピリットを色濃く受け継いでいるように思えます

ただケムリクサという作品は、全体を通して様々な伏線があり、矛盾意味不明に思えた描写が「なるほど、こういうことだったのか!」と思う瞬間が何度もありました。だからこそ、矛盾と思える部分についても「もしかして、これはこうなのでは」と考えたくなりますけもフレ2は、そういう作品ではないので、

これには異を唱えておきますけもフレ1にくらべてもケムリクサは、伏線-回収のプロセスがかなり表面に出ており、しかも草や姉妹の周りで深く・複雑に織り込まれています。流し見していると、在りし日の姉達の思い出や、草の種類など、設定開示が多すぎて雑音が多い視聴感になると思うのですが、すべてに筋を通すべく没頭してみれば、極めて大きいS/N比を持っていることが判る。他方けもフレ2では、けもフレ1の設定との整合意識しなくてはならなくて、キャラクターかぶらないようにしなければならない。ヘラジカプロングホーンは性格はごくごく微妙に違っています舞台装置の融通がケムリクサほどには効かない。遅いジャパリトラクターと海の二人のスピードの差、ホテル位置時代を重ねた末のキャラクター同士の関係性の変化。そういうことで破綻がないようにしなければならなかったわけです。ボスウォッチでキュルルちゃんを探すことができてしまうと、けもフレ1で海に落ちたボスラッキービーストは探せなかったのと矛盾が出る。伏線だけでなく視聴者の印象にも配慮しなくてはならない。最終話唐突ボートが出てくると、あれ? けもフレ1のかばちゃん出立でバスを使ったのはなぜだよ、というショックを与える可能性があるので、うみのフレンズ回で予め出しておく。”うみのごきげん”はそのタイミングで合わせて出す。パーク内でのボスウォッチの在り方は、けもフレ1では”脳みそソコについてんのか!?”というビックリ要素でしか無かったですが、バスハンドルディスプレイウォッチをかざせというようなGUIがあるところからみて、ウォッチボス形態の一つだったと考えられます。そして引き出しに大量の異型筐体のボスウォッチ。「コレを持っていって」っと手渡す。様々な疑問に筋を通す解釈を俺は見つけることができました。見逃してしまうような設定開示を考察で結ぶことができる、これはたつき監督お家芸だったはずですが、継いだ最初仕事再現できる手腕には舌を巻きます

このようにけもフレ2では設定が矛盾しないように、しかもそれを前面に押し出さず(制作が苦労している感が出ないように)背後で処理している。考察を進めると考える上でヒントになる(あるいは制限になる)情報があちこちにあるわけです。視聴時の情報の引っかからなさが、けもフレ2の優れたポイントです。キュルルちゃん出自も明示的には解決されませんでしたが、一話中心にためつすがめつしてよく見直すと推測の材料が仕込んであり、最終話Cパートですべてが繋がるわけです。キュルルちゃんがキュルルちゃん本人のフレンズなら、コレは擬似的に不老不死を実現していることになる。そうすると、けもフレ1の山頂の戦闘機にも理屈がつけられるような気がしませんか。よくある批判に、キュルルちゃんの正体が最終的には謎じゃないか、というものがありますがそれを言うと、わかばの正体も最終的には謎でした。俺から見ると、どちらも読み解くのが… とても楽しい貴方ほどのレベル視聴者にこの作品メルヘン扱いされているのは、勿体無いことこのうえないです。”義憤”や”同調圧力”などがそうさせてるとしたら… ううむ、最初の諍いのとき制作プライドを曲げてでも頭を下げて、互いに許し合うべきだった。残念です。

あのシーン(引用者注けもフレ1の全員集合シーン)を、フレンズセルリアンで再現した、けもフレ2は本当に何をしたかったのだろう……。

牽強付会ですよ。囲まれた敵に立ち向かう描写は自ずとあのようなカットか、あるいは上空から俯瞰のような見せ方になると思います。まさに悪意をもって粗をさがそう、好意的にすべてを伏線ととろう、そのような態度の差が、けもフレ2とケムリクサの評価を分けた一因なのでは。

「優しい世界」と呼ぶかは意見が分かれるかもしれません。ただ、ここで書いたようにキャラ基本的な優しさ、裏表のなさなど、けもフレ1とも共通してる作家性があり、だからこそ、全体として、けもフレファンの人にも人気が出た、くらいは言えると思います

それを仰るなら、けもフレ2も優しい世界になるでしょう。センちゃんアルマーさんもペパプに暴行を働いたりキュルルちゃん誘拐したことはあったけど、基本的には裏表はなく素直で親切心が高く、イエイヌに貢献できたことを「善いことをしたね」と振り返る。ただその在り方がひたすらにストレートなので、視聴者視点では行動が横暴に見える。けもフレ2のジャングルメンバーは互いに本気で諍いしていますが、キュルルちゃんの仲立ちもあってか最終話ではツンデレ仲良し感を醸し出しています。”キャラ基本的な優しさ”や裏表のなさを実現するのは、恐れながら申し上げますが、難しくないでしょう。人数を絞ればキャラも立たせやすいのでは。そのうえで悪役を自意識のないモンスターにしてしまえばよいわけです。その程度で「優しい世界」とみなせるならそれこそ監督なんて誰でも良くてもできるでしょう。たつき監督が立ち上げた「優しい世界概念スピリットは、けもフレ2にもケムリクサにも息づいていますが、しかし全く道半ばだと思いますけもフレ1でも博士サーバル図書館来館時に背後から頭に蹴りを加えていますし(フクロウ能力表現としても蹴るまでは不要だった)、アニサマコラボ動画では大量のフレンズ酷使して、かばちゃんを、りょうり要員として使役しています視聴者全面的エンパワメントするというか、癒やしとしての芸術表現はここからもっと発展していくべきでしょう。監督名に自動的にくっついてくるラベルにしておくのはもったいない

その上で、けもフレ2の設定や伏線に不備がない、とまでは私は言えません。

一般的エンタメ作劇論では低評価するしかない、というのは、納得できました。しかし不備があるというならそれを示していただけませんか。広義の悪意について考えたのですが「対抗心さえ悪意」のように考えると、あらゆる創作に悪意は入り込みます問題なのは「悪意が前に出すぎてて、作品として楽しみづらい」ことですよね。作品問題なのか・楽しめない理由が俺たち視聴者にあるか、判別するためには議論を重ねるしかないと思うのです(追記とはいえ、やり取りも長くなったので先は後進に託すとしましょうか?)。

記事への反応 -
  • イエイヌの顛末は悲劇的で、罪悪感を…キュルルちゃんは抱かなかったけど、視聴者は感じることになったと思います。いかがですか。 イエイヌのエピソードは、悲劇として描かれて...

    • 当初イエイヌはヒトであれば誰でも良いということを言っていました。結果的には「別れた大切な人を待ち続ける」ことになるのですが、ヒトであればよいと思っているという設定は、...

      • 当初イエイヌはヒトであれば誰でも良いということを言っていました。結果的には「別れた大切な人を待ち続ける」ことになるのですが、ヒトであればよいと思っているという設定は、...

        • 一般的な作劇として、不愉快なイベントは、単体だと「単に不愉快なだけ」で終わるので、作品のテーマ性として発展させ、そこに意味を持たせるわけです。... あまり関心を持ったこ...

          • あまり関心を持ったことのないポイントなので、勉強になります。僭越ながら、グロテスクさが感じられうる示唆的なシーンが、人物の行動の結果などに繋がって作品としてのテーマに...

            • 広い意味で調和し、繋がる必要はあります。さもないと単に、とっちらかった話になってしまいます。 けもフレ2の場合、キュルルが「みんなのことが~大好きなんだー!」と叫び、...

              • けもフレ2のメインテーマは「おうち探し」だと思ってました。 おうち探しの結論が「フレンズと一緒のここがおうち」であるなら、「人間がフレンズにひどいことした」は、避けて...

                • 3文字で

                • 人が動物の上に立つモチーフ、イルカ・アシカやイエイヌが、けもフレ1以後の「人間がいなくなってる世界」でそれを強調されることが視聴者にとって不快で、それを書くなら悲劇性...

                  • 人が動物の上に立つモチーフ、イルカ・アシカやイエイヌが、けもフレ1以後の「人間がいなくなってる世界」でそれを強調されることが視聴者にとって不快で、それを書くなら悲劇性...

                    • 人間が動物に迷惑をかける点ですが、フウチョウたちが「確かにヒトのおかげで助かったケモノもいるが、ヒトが不用意に近づいたばかりに、迷惑するケモノもいたかもしれんぞ」と明...

                      • 物語を使って視聴者に特定の行動を促すというのは実は無理なのではないでしょうか。 物語に過大な期待をしすぎです。どんな集団にも過激な人はいるし、けもフレファンの集団でも...

                        • テーマに絡めることを諦めて、中途半端なエピソードにしておけば「人間が歪めた動物について考え」るかというと、そういうものではありません。 そうでない理由はないでしょう。...

                          • そうでない理由はないでしょう。その可能性に委員会は賭けたんです。 よくご存じですね。委員会の人ですか? 医者に出来ないことはありますが、医者行くのやめたら健康になる可能...

                            • 「よくご存じですね。委員会の人ですか?」そういう言い方をされるのは腹立たしいです。俺のほうが何か不当な振る舞いを先にしていてたなら教えてください。もちろん一般的にネッ...

                              • 「よくご存じですね。委員会の人ですか?」そういう言い方をされるのは腹立たしいです。俺のほうが何か不当な振る舞いを先にしていてたなら教えてください。もちろん一般的にネッ...

                                • 提示だけして居心地を悪くすることは、作品に悪印象を残すことになり、悪い印象の作品から何かを学ぼうとすることは人間はあまりしないので、負の効果があるでしょう。それを超え...

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