2023-09-24

叶わない夢

喪失とは、価値観アップデートだ。

ポジティブに捉えるならそうなると思う。

僕は人よりも物事を悲観的に捉えやすタイプだと思う。

人よりも答えを出すのに時間がかかるタイプだし、自分認識に対して懐疑的人間だ。いや、そうなってしまったと言った方が正しい。

僕にとって会社を大きくするということは、自己認識の誤りに気づいていくプロセスのように感じる。なぜならば組織は、会社は、社会との利害調整をどのように行ったかによって利潤の最大化が期待される。社会に求められる利害調整の最大公約数システムとして包括的に捉えたときに、会社は拡大する。大抵の場合自己認識が間違っていたことを認めることによって拡大の兆しを捉える。

他方で、自己認識の誤りに気づくということと、創業した会社をどうしたかったのかという点、理想を追求するという点で矛盾が起こる。この矛盾こそが、意思決定の歪みをもたらし、悩み、苦しみ、間違った判断を招いている。

まり、出発点が間違っていた場合継続意思をどのように保つのかという究極的な問いに戻りかねないのだ。

左派資本主義に向いてない」僕はそう思う。

学生時代から自分比較的左寄りの人間だったと思う。しかも、その左寄りの発想が稼ぎを生み出すという点で相応しくないかもしれないということもまた、おそらく大学生のうちからうっすらと気づいていたことなのかもしれない。

自身の持つ価値観のものが、欲望との接合点になかった場合、もれなく葛藤に堕ちる。社会適応することの難度が高くなっていることを実感する。

だけど自分は、今思えばその手の悩みを「生きるためには仕方ねえ部分もあるだろ。じゃあお前はもう一生社会構成員にはなれねえだろ」と一蹴できるタイプ人間でもあると思う。この社会のものが悪意駆動ということに対して、しかたないで済ませられる程度には理解があると思う。でもそれは、なぜそう思えるかでいったら、「たまたま自分能力的に言えば比較的上位レイヤーとして生まれ育つことができた」と自覚しているからだと思う。客観的に言えば自分は怖れられるタイプ人間だし、マッチョなことを言うタイプだと思う。そんな自分が「思想でいったら労働党寄りだし、保守層って感じでもない。」って言ったら驚かれるかもしれない。

これは自意識問題なのだ。なぜそのような自意識ねじれが起きてしまうかで言えば、理由一言で表される。つまり

成熟した社会では、どんな能力を持つ若者ですら相対的弱者であるから

その構造認識している。少なくともそう思う。

その中でも、「究極的な競争に身を置く」ことを決断したということでもある。これは正直普通決断じゃない。よっぽど深刻な悪意を孕んでいるか、よっぽど誠実かつ相当自分能力を過信していないとできないことだと思う。おそらく自分後者だった。

高い能力から繰り出される成熟社会における付加価値へのこだわりは、組織拡大に悪影響を及ぼす。自己認識社会認識のズレが引き起こす諸問題従業員困惑させる。

会社拡大は大まかにいって採用事業つのマーケットから価値を認められることが重要だ。正直うちらのようなサイズ会社採用マーケットで選ばれることの難度は鬼高い。

労働集約ビジネス個人能力依拠して成立するとするならば、その個人能力付加価値要素になると認められない限りは品質の維持ができないことを意味してしまうが、そもそもそのようなフィールド品質競争優位をもたらすことを兼ねてより企画してはいけないのだ。当然創業メンバーは気が狂っているので、その手のマーケットトップブトップの品質を出すことくらいできなければとても起業なんて博打を打ってでないだろう。だけど現実的採用できる人員構成のことを鼻っから検討もしていないことも同時にある。

自分場合は「未経験でも自分の想定している通りの経験を踏めば誰でもできるようになるだろう」って信じていたし、そのことが自分を常に悩ませてきたと思っている。

育成に取り組むことも組織拡大において一番最初に捉えてしまうかもしれないが、経験的に言って、それがもっと最後に取り組むべき課題であると言わざるを得ない。

なぜ銀行人件費に対して支出することを許容しないのかのその意味をずっと考え続けていたが、彼らはやはり確率的にそのような支出が取り返しのつかないことになる可能性を誰よりもよく理解している。

高い品質を維持することの難しさと、顧客定着の難しさを同時に学習する。理想論で言えば顧客定着のその割合が高ければ高い方がいいに決まっている。でもなぜ現実的にそうなっていないのかをもっと深刻に考えるべきだ。「自分であればその課題を克服できるのではないか」という安易な驕りが、成長を妨げる可能性を考慮していない浅はかさをまず呪うべきである

はっきり言おう。自分がつくりたかったのは自分平穏だっただろう。

そのために、自分と同じ夢を見てくれる人ができる限り多くいてほしいと願った。

それは、今もこれからも望むべきではない。

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