ある時期男は顔じゃないって友人に主張しまくった
友人は皆「やっぱり誰も相手にしないようなのは、中身もダメなんだよ」と言い張った
一人と別れたらまた次、分かれたらまた次と、一人一人のブサイクと本気で向き合った
恋というものは、付き合ってみていいところが見えてきたら生まれていくと甘く見てた
「私と付き合ってくれないかな」と告白すると、返事は「ばかじゃねーの?」って言うやつと「オレのこと好きなの?なんで?なんで?」系が多かった
ばかじゃねーの?って言ってたやつも、直後「付き合ってあげてもいいよ」みたいなOKの言葉を吐いてくれた
まずデブ、「太ってたって頭の中身とは関係ないでしょ、誰にも迷惑かけないじゃない」という私の思いはすぐに裏切られた
「俺って恰幅がいいってよく言われるんだよね、強そう?あいつ見てよガリガリ ぶつかったらふっ飛んじゃうよ」
「女は細くないとね、○○ちゃんちょっとウエスト締めたら?ご飯半分貰おうか?」
体型なんて問題ないと言っていた私の体型をデブに文句付けられるなんて
ずっとそんな感じでいちいちイラっとするような言動をする人だったので数日で別れた
別れた後「え、まだ何もしてないのに」って言葉に耳を疑った
それはそうと、他のデブも試してみなければ
「俺の逞しい体に惚れたの?」
やっぱりデブは自分を逞しいと思ってるのかな、そう思いつつ肯定
「○○ちゃん、野菜も食べなきゃ」とたこ焼きを食べてる私にポテトチップスを差し出す
「バカだなあ、これはポ・テ・トじゃがいもだよ~その抜けたところがかわいいんだけどね」
まあジャガイモでもいいけど、といいつつポテトチップスに手を伸ばした次の瞬間、デブは私のたこ焼きにマイマヨネーズをたこ焼きの体積以上ぶちまけた
私が人に迷惑をかけないと信じてたデブが、今私の昼食を台無しにし、私を太らせようとしている
でも、これはやさしさなんだと思い込もうとした
ごめんね、と謝られてその後残りのたこ焼き入りマヨネーズを平らげてくれた
ウオオと焦って皿をガードする私の腕にマヨネーズ
一日でマヨネーズかけるなって言う事を忘れた上、勝手に他人の食べ物にマヨネーズ、私の腕にもマヨネーズ
怒りが爆発しないように下を向いて心を落ち着け
「忘れただけかもしれない、もう一度言えばいいさ」と思い、正面を向いた私の前には食べる気を失った私のスパゲッティを抱えて食べてるデブが居た
次のデブへ
それから何度かデブと付き合ったが、「デブがコンプレックスで痩せたいとウジウジする割りに、解決方法をアドバイスすると言い訳をするやつ」
「逞しいということに自信持ちすぎてるやつ」「デブだけどこれでいいんだという自然体のやつ」が居た性格的には「他人の食べ物と自分の食べ物の境がないやつ」が非常に多く、「自分の味覚をみんなの味覚だと思うやつ」も多く、他人の食べ物なのに、分けてもらうことを前提に選ばせたり、勝手に調味料をかけたりするやつも居た
「自信を持っているデブ=ずうずうしい」の図式もできてきた
後は「彼女は痩せていてほしい」と体型上の要望が強いやつが殆どだった、面倒なのは「痩せていて欲しいが、自分と同じように食ってくれ」バカ?普段以上に食えば太るわ
こんな理不尽な願望もずいぶんと投げかけられた
私はデブはおおらかで優しい人が多く、デブだからもてない、デブだから付き合いたくないというのはただの偏見だという考えを捨てるしかなかった
そして次にブサイク、「顔が悪くても、人の好みなんてそれぞれでしょ。キモがられてる人だって普通と変わらないはず、あんたたちがいじめっ子なのよ」という主張をしてきた私だが
一般的な好みで言うブサイクでなければ意味がないので、何人かにキモイ男を挙げてもらったりして選んでいった
私の知人からしたら「自分がキモイと言った人と○○が付き合ってる・・・私あの子の好きな人の悪口言っちゃった」と不安に思ったのか
それもブサイク6人目くらいまでの話だが
それはさておき、告白してみた「私と付き合ってください」
今回は個々のケースは書かず、大まかにまとめてみる
何故か酷くあわてだす人が多かったが「え?ウン」「・・・(頷くだけ)」も多かった
「今日はいい?」「そろそろいい?」「俺のこと好きなんだよね、やりたい?」「どんなエッチが好きなの?」「2人の記念すべき日はいつだろうね」「いつやれるの?」
キモがられてても、普通とかわらない、その先入観は間違いだった
コミュニケーションがろくに取れない、二言目には下系か、じろじろ私を品定めしてくるだけだ
元から親しかったわけじゃないから徐々に親しくなっていって、恋が芽生えたらセッ○スって言う普通のルートを通ってくれない
付き合うまでに親しくなり、チャンスがあればと狙い続け、付き合う前にやってしまった人も居る
普通の会話もし、仕事や勉強の話もし、おいしい食事を食べ、徐々に距離を縮める
それが出来ない
それはきっと、私が付き合ってくれと言ったから、期待が膨らんだんだと
自分を反省し、真面目に「今まで話したこと無かったし、少しずつ進んで行きたいんだ」「まだお互いよく知らないから」と説明した
8割のブサイクが、とたんに不機嫌になった
半分はその後ロクに口を利いてくれず、かと言って「別れるしかないのかな?」と言うと別れたくは無いらしい
うち一人は「別れる前にすることがあるだろう」だそうだ
別の数人目のブサイクは「別れなくてもいい方法があるんじゃないの?」らしい
そうだ、別れなくても、歩み寄ってくれ、距離を縮めていけたら別れなくて済むはず
数人目でそう確信した私は、それ以後は「まだやらない」と説明した後不機嫌になるブサイクに対し、仲を進展させるため、親密になるため距離を縮めようと
友人を紹介したり、いろんなところへ誘って頑張った
すると、男友達を紹介すると、「あいつ馬鹿そう」「偉そう」「男とちゃらちゃら遊んでるの?」
女を紹介すると「あの子はすぐやれるの?」「あの子俺の事見てたよね」
「飲みに行く時に誰か誘おう」と持ちかけると、ブサイクが指名するのは全て女
実際飲み屋で、キャバレーのように周りは全て女で、ブサイクが一人真ん中に居るような光景になることもあった
逆に友人を紹介してもらうと、その友人は女友達を呼べと騒ぎ暴れ
上から私の服を覗く、彼氏のブサイクは見せ付けるようにスキンシップを求めてくる
うんざりした
「まだやらない」宣言の後、不機嫌にならないブサイクはどうだったか
結局誰とも会話は続くようにならなかった人を紹介しても話さない、2人で居てもジロジロ見てくるだけメールでは細かいところをチクチクと褒めたりけなしたり
「今日耳に毛がでてたよ」「昨日眉毛整えたんだね、まぶたの上の毛がなくなってた」
「やっぱり無理みたい」と振られたこともあった
結局誰とも長続きしなかった
ブサイクは今まで付き合ってきたどの普通の男とも根本的に違ってた
友人達からの「男の趣味が悪い」というレッテルと、数人のストーカーが私に残された
友人に「だまされちゃった、デブはおおらかじゃなかったし、やさしくもなかったよ、選ばれたブサイク達はどう贔屓目に見ても普通の男とは違う常識の中で生きてたよ」と泣きつくと
「だから言ったでしょ」と優しく抱きしめてくれた
「他人の食べ物と自分の食べ物の境がないやつ」が非常に多く、「自分の味覚をみんなの味覚だと思うやつ」
まあ、当たり前なんだよな、歪むんだよな