カゲプロもといカゲロウプロジェクトは8月15日に起こる出来事を描いたメディアミックス作品で、
ニコニコ動画の楽曲から派生し、小説、漫画、アニメ、劇場版等で別々の展開をする面白さが売りだった。
ご存知かとは思うが、おそ松、鬼滅、今ならツイステとかに先駆けて、キッズが多くて民度が最悪、というイメージの代名詞だった。
私は当時成人していた社会人だったがこのジャンルにいたく執心した。
元々じん(自然の敵P)の作る音楽を気に入っていて、小説を出すというので興味本位で読んだ。ハマった。
正直お世辞にも上手とは言い難い小説だったが、楽曲、動画も含めてアマチュアの手による一大作品というのは熱があった。
拙い所も含めてカッコいい!エモい!支援したい!夢がある!割と珍しい感情ではないと思う。それが大人だろうと。インディーズバンドのようなイメージ。
そういう風に素直にハマって、中に入ってみたはいいものの、確かに実際自分より年下の人間しかファンが居なかった。
沢山友人を作ったが、よくて高校生、殆ど中学生、小学生も多くて、成人していてお酒が飲めるような人は片手で数えるほどしか居なかった。
とは言え話が通じないなんて事は全くなかった。自分は大して創作などもしなかったけど、ツイッターで繋がった小学生は敬語で話してくれた。
男の子も居た。CPとか担当みたいな概念も薄くてどんな趣味でも年齢でも人種でも仲良しだった。
コミュニティの中での喧嘩や、男の子も居る事で色恋沙汰が始まる事もあったけど、むしろ今まで自分が経験してきたどのジャンルよりも平和だった。
確かに痛い、と表現されるような事もあったかもしれない。でも人に迷惑をかけるような子は誰も見た事がなかった。
カゲプロにハマった事で、コスプレや同人誌に初めて触れた子も沢山居た。どの子も知らないなりに、人に聞いたり調べたりしていた。
同人誌即売会(オンリー)では、親御さんと一緒に本を買いに来る人やスペースの後にお母さんが座っているサークルなどもあった。
本来即売会にはサークル側に年齢制限があったりするが、低年齢層のこのジャンルではイベント側からきちんと許可があった。
別に子供が趣味を楽しんじゃいけない訳でもないし、許可されているなら取りざたされる事でもない。
でも他のジャンルの所謂大人たちからはとっても笑われた。まあ、珍しい事ではあるかもしれないけれども。
私はただの買専だったが、プラバンで作ったストラップだったりとか、手作り感のあるものも多くてそれはそれでよかった。
皆このジャンルが好きで、色んな工夫をして楽しみたいと思ってるのがすごく感じられた。
そんな風に内部に居ると、カゲプロ厨、なんて言葉を投げつけられる事もむしろなかった。
あれはカゲプロのことを特に好きではない人間が使う言葉だから、好きな人間とだけ過ごしていたら聞かない言葉なのだ。
そういう中で、ニコニコ超会議が開催された。ニコニコ動画が主催する一大イベント。
カゲプロも当時大きなブースを作り、そのブース内で新曲を先行して聴く事ができた。私ももちろん朝から並んだ。
学生で中々会えない地方の友人達もこの日ばかりはみんな揃っていて、新曲を聞いたり、グッズを買ったり。とても楽しんだ。
超会議はとっても広いイベントで、ほかにも回り切れないほど催し物があったんだけど、自分たちはずっとカゲプロのスペースに居た。
もちろん皆視聴ブースでは静かに並んでいたし、話す時も出来るだけ邪魔にならないように端っこに居た。
なんと超会議のカゲプロブースで暴動が起きたらしい。視聴ブースが壊された、とか。
カゲプロ厨ではない大人の皆さんは、「カゲプロ厨こわw」「やっぱガキは・・・」みたいな事を言っていたが、
当のカゲプロ厨である面々は皆揃ってクエスチョンマークを飛ばしていた。
なにしろずっとそこに居たのだ。そんな警備員が始末するような事態が起きたらさすがに気づくだろう。
当日そこに居た人間が誰一人としてそんなものは見ていなかった。でも、起きた事になった。
待望のアニメが始まった。
私はカゲプロに利用しているツイッターアカウントのほかに身内友人のアカウントを持っていたんだけど、理解のある友人から「ログインしない方がいい」と言われた。
カゲプロのアニメが始まる前から、そちらのアカウントはバカにするような文面で埋まっていた。
「バカにしたいから今期はカゲプロ見る」等と堂々と言っている人も居た。何故全く内容を知らないのにバカにする前提なのか、腹が立つより悲しかった。
実際のアニメを見て、クオリティがどうだと言われたらそれは受け止める。でもガキが好きな作品だからゴミ、という構図しかそこには無かった。
自分に向けられた作品でない事がわかるなら、ほっといてくれればいいのに。
私はカゲプロが好きだということを殆どの人に明かさなかった。明かせばバカにされ、場合によっては引かれた。
カゲプロに興味があるけど、周囲がものすごく叩くから手が出せないと言われた事もあった。
いっそカゲプロの情報を何にも持たないおじさんとかの方が優しかった。前提条件が無ければ好まずとも「こんなんあるんだ」程度の気持ちで聞いてくれた。
「カゲプロ厨の素行が悪いからだ」と言うには私はその悪い素行を殆ど目撃したことが無かった。
若いからはしゃいで痛々しい事はあったかもしれない。でも流血沙汰とか、木の枝折ったとか、ブースを壊したとか、見ていない。
私の見ていない所であったと言えばそれまでだけど、でももうそんなのは「犯罪者は皆パンを食べている」理論で、カゲプロが悪いから何かをした訳ではないと思う。
ただ、私はカゲプロの事が今でも好きだし、人生で一番楽しい時間だったことに違いはない。
8月15日なのでそんなことを思い出した。
カゲプロ❌ メカクシティアクターズ⭕️