2017-08-25

最終学歴で何を買うのか

高校三年生の甥っ子が「進路めんどい」とうだうだしていた。「大学受験はかったるい」「専門学校でいっか」「とにかくどこでもいいから行け行け担任も親もうるさくて」。

なんでも聞いてくれるというお墨付きをいただいた私は傾聴に努めるけれど、心はふんわりと自分の中へと潜り込む。

自分高校時代を思い返してみると確かに、あの頃は何をしたいかなんてさっぱりわからなかった。

姉(甥っ子の母)が優秀だったので何一つ問題なく高学歴ルートに入るのをなんとなく劣等感にまみれた目で見ていた。

周囲の目を気にしながらも、あの時なりにつくった理由(将来の夢?)を足かせに大学受験をしたことを覚えている。

妹は私よりずいぶんとハッキリとした夢を描いて一年専門学校へ進学した。

弟は目的がなかったことと経済的余裕がないことを理由高校卒業後働いた。

から大学専門学校という最終学歴を持つこと、そして最終学歴高校とすることのそれぞれの結果を家族内で見たことになる。

単にあるひとつのケースとして、だけれど。

大学公立だったため学費私立比較すればかからなかったほうで、留年もせず卒業した私はその後一般企業に勤め、あまりブラックさにうつ病発症して退職現在専業主婦。病も軽度の時に救われたため、現在幸せと言える。

妹は専門学校進学のために奨学金を借り、卒業狭き門だった夢はそうそうに諦めてフリーターを続けるも奨学金返済が間に合わず実家に戻り、現在実家自営業を手伝う。彼女彼女なりの幸せ模索しているみたい。

弟は飲食業バイトを続けたのちに同社の社員に昇格、その後独立して自分の店を建てるもうまくいかずに店を閉め、その後はその経験ブログ執筆にあてて副業で稼ぎながら農家で修業中。彼も幸せ

大学時代に学んだ授業は、驚くほど覚えていない。ただ、時間も惜しま研究したこと、そこで出会った刺激的な仲間については今も良い糧となっている。全く別の業種についたが、あそこで出来上がったアイデンティティは大きい。

妹は専門学校時代を忌み嫌っている。理由は授業が入学前に説明されたものと違ったということと、専門学校自体宣伝自分の夢を搾取されたと感じたからだという。夢を叶えられなかったのは自分の才能がないからだ、と理解している。

弟はそんな私たちを横目で見て、一度お酒を飲み交わした際に「学費を払って何を学んでいるの?俺はお金稼ぎながらあほのように人生経験してるよ」と言ったことがあった。あの言葉は、忘れられない。

払った学費はなんだかんだで妹が一番大きいだろうか。

私は大学のものに払ったお金よりもその他の交友関係に使った費用が大きかった。

弟は独立して店に失敗したことで私たち以上の損害を抱えた。

夏休みの終わり、たくさんの高校三年生が、あるいはもっと若い学生たちが、進路に悩んでいるのだろう。

どの学校?偏差値は?親が言うからしょうがない、勉強めんどうくさい、これやりたい、あれやりたい。

ついこの前VALUの騒ぎを見て、あと今更ながら逃げ恥を見ていてぽつんと思ったことだが、やっぱりなんでも見返りがほしい。

なんでもだ。

から、きっと最終学歴にも私たちは見返りを求める。

というか、見返りを求めないで誰かの言いなりになって決めると不幸しか訪れない。

大学に入ったら安定した人生だろうか。

専門学校に入ったらスキルを活かした夢の実現だろうか。

進学を選ばなければ自由時間労働から得る充実感、そして対価だろうか。

なんだか言葉で書けば書くほど薄っぺらくて、そんなもののために(というかそんなふわっとしたもののために)進路なんて決まるか、と思えてくる。

から、進路に悩んでいる状態は間違っていない、と思う。

早く決めろ、どこでもいいから行け、という大人意見は、まあ正しい部分もあるにはあるけれど鵜呑みにする必要はないと思う。

からやってほしいことがある。ここから高校三年生の甥っ子にも話したことだけれど。

まず、進学するなら学費を見てほしい。大学でも専門学校でも。それから、在学する年数も。

その上で、その学費時間投資して「何を買いたいのか」をハッキリ答えられるか確認してほしい。

その形は「夢(状態)」でもいいし、「将来の収入(物)」でもいいし、なんなら「たった一人の親友」とかでもいい。

つり合いのとれる見返りを自分で描いてほしい。

それがどうしてもできないんだったら、ちょっと高値張って無駄な買い物をすることになると思う。

それは、あとでわめいても、誰にも文句を言えないお買い物。

ちなみに財布が親だろうが、奨学金だろうが、自分ではない場合も確かめてほしい。

出所自分じゃなかったら全部借金から

ということをつらつらと話した。

甥っ子は途中からうつむいて、「めんどーだよもー、ゆーちゅーばーになるー」と大声ではやしたてて言っている顔の表情は隠して見せなかった。

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