GPD Pocketという小型ノートPCを2017年10月中にお届けする。
というプロジェクトがそれだ。
今、炎上し始めたのか。
気になったので、調べてみることにした。
そもそも、GPD Pocketとは、深圳(中国)のGPD社による製品のようだ。
GPD社は超小型ゲーム用ノートPCであるGPD WINなど、
では、どのようなクレームが発生しているのか、
(1)Amazonなどの他店で、安く、既に販売がされている。
(2)他店で販売されている安い商品と、Makuake経由で提供される商品との違いが分からない。
(3)エム・シー・エム・ジャパン株式会社が、コメント欄での質問に全く回答しない。
(1)と(2)については、確かに不思議だ。
クラウドファンディングで出資を集め、開発や製造をしているはずなのに、
なぜ、そのクラウドファンディングより先に、しかも安く、他の流通経路で販売されるのだろうか。
そこで、炎上の理由となっている「流通経路」「価格」「一般販売との商品の違い」について、調べてみよう。
なお、(3)については、企業の姿勢や方針の問題であろうから、ここでは言及しないでおくが、
火に油を注いでいる行為に見受けられる。
調べてみると、多くの流通経路で既に販売されていることが分かる。
海外の通販サイトであるAliExpressでは、GPD社のOfficial Storeで、2017年6月頃から販売がされているようだ。
GearBestやGeekBuyingなどといった、いわゆるデジタルガジェットを取り扱う、海外の通販サイトでも販売している。
日本国内に目を向けると、Amazonだけでなく、GPD社の正規代理店と称する複数の通販サイトが販売を行っている。
秋葉原や日本橋といった場所では、既に店頭でも販売されているようだ。
また、ヤフーオークションやメルカリといったサイトでも、既に多く出品されている。
結局のところ、既に(早いところでは6月頃から)一般販売されている。ということは間違いないようだ。
GPD社のOfficial Storeや海外通販サイトでも、599ドルを定価とし、
そこから割引したり、ケース等のおまけを付属する。という価格設定をしているようだ。
時期によると思われるが、割引によって概ね500ドル程度(送料は別かもしれない)で購入できそうである。
日本国内を見ると、概ね6万円程度から6万5千円程度。といった価格帯で販売されている。
海外通販と比較すると少し割高にも見えるが、定価以下の価格であり、
これまで言及していなかったが、GPD Pocketという製品について、
定価86,400円(税込)
Makuake特別価格 30%OFFの60,480円(税込)(200名限定)
Makuake特別価格 20%OFFの69,120円(税込)
定価86,400円(税込)というのは、GPD社による定価設定よりもかなり高い。
Makuake特別価格とされている価格でも、安いとは言えないだろう。
もちろん、海外の製品が、国内の代理店を通すと高くなる。ということは往々にしてよくあることだ。
だが、複数の正規代理店が存在する中で、1社だけ飛びぬけて高い。ということは珍しいだろう。
価格が高くとも、商品やサービスが異なるのであれば、それは当然であろう。
ということで、エム・シー・エム・ジャパン株式会社が明示している"特有の違い"を列記してみる。
(1)技適マークを取得している
(4)GPD社の製造委託工場への製造ラインおよび出荷試験への監査を実施
(1)~(5)が、Makuakeでのプロジェクト開始時(5月)に明示されていたもの。
これだけ見ると、多くの違いがあり、価格差も納得できるかもしれない。
(1)技適マーク
→6月に最初に出荷されたロットから技適マークは全ての製品にある。
(2)PSEマーク
→6月に最初に出荷されたロットからPSEマークは全ての製品にある。(不備があるとの指摘あり)
→多言語対応のOSであり、初期セットアップ時に日本語を含む多くの言語を選択できる。
つまり、(1)から(3)は、他の流通経路で安く販売されている商品と同じであり、
"特有の違い" ではない。
(4)から(9)までの違いが、定価から約2万円も高くなる理由ということだ。
これを高いとみるか安いとみるかは個人差があると思うが、炎上の理由の一つとなっているようだ。
なぜ、このようなことになってしまったのか。
理由として下記が考えられる。
(1)Makuakeでの本プロジェクトは、クラウドファンディングではなく"前払いの予約"であったこと。
(2)色々と勘違いして、Makuakeでの出資(前払いで予約した方)してしまった方がいた。
GPD社がクラウドファンディング(indiegogoとJD Finance)で出資を集め、開発し、販売している製品だ。
GPD社が、クラウドファンディングを始めたのが2017年2月であり、
当初から「6月中に出資者に配送。7月に一般販売開始(定価599ドル)」とのスケジュールが公開されていた。
(indiegogoでも、配送が遅れたり、一般販売が先行したりと問題があり、クレームが発生していたがここではその話は省く)
では、Makuakeでの本プロジェクトは一体何なのだろうか。
答えはシンプルだ。
「クラウドファンディングで作られた製品の、販売代理店による前払いの予約受付」
商社であるエム・シー・エム・ジャパン株式会社は、本業の通り、
海外製品の販売代理店として、前払いの予約を受け付けただけなのである。
結局のところ、問題の根幹となっているのは、
勘違いして、Makuakeでの出資(前払いで予約した方)してしまった方がいたことだろう。
(1)Makuake経由で提供される商品は、海外で流通している製品とは異なった商品である
(2)Makuake経由で提供される商品は、クラウドファンディングであり、これから開発されるものである
(3)Makuake経由で提供される商品は、エム・シー・エム・ジャパン株式会社以外から購入できない
実際は前述のとおりである。
Makuakeでのプロジェクト説明は、このような認識をさせてしまうミスリードであった。
と言わざるをを得ないだろう。
(実際、あるブロガーが勘違いをし、ブログで謝罪する事態もあったようだ。)
結局のところ、上記のような勘違いをしてしまった方々からすると、
「なぜ、他店で、安く、同じものが売っているのか?」という疑問と、
「他店で、早く安く買えるなら、ここで買いたくなかった。」という意見やクレームが出てくるのも、もっともかもしれない
これが炎上騒ぎの原因といったところだろう。
Makuakeを見ると、
クラウドファンディングという名目で「販売代理店による前払いの予約受付を行う行為」が横行しているように見受けられる。
素直に、販売代理店として予約を受け付ければよいのではないだろうか。
今回のような勘違いを招き、炎上騒ぎとなってしまっては、売り手も買い手も損をするだけだろう。
蛇足ではあるが、Makuakeでは、いわゆる出資や投資ではなく売買契約となるようだ。