イーロン・マスクがテスラ社で成功してTwitter社で成功しなかった理由は、テスラ社とTwitter社では適切な行動(リスクの取り方・試行錯誤のやり方・リーダーシップスタイル)などが異なるのに、テスラ社と同じ仕事のやり方をTwitter社でもやっていたことだと思う。
「古いガソリン車企業(トヨタやGM)に挑む革新的なEV専業ベンチャー」という立ち位置の企業だ。
なので、
SNS業界ではトップ企業に近い。自動車でいうとトヨタ。なので、
企業の立ち位置が違うのだから、それに合わせたリスクの取り方・振る舞いをすべきだったのに、マスクはしなかった。
結果として世界規模に影響を与えるSNS企業のCEOとして評判を毀損したし、それがTwitter自体の評判の毀損にもつながったと思う。
事業の肝は物理的な仕組みだ。EVの走行システムやロケットの打ち上げシステム・機体など。
物理的な仕組みに対しては実験がやりやすい。何かを試した後もとに戻しても物理特性や反応は変わらないからだ。コイルの巻き方を変えて性能が下がってので巻き方をもとに戻したら、物理法則が変わって、変更前のパフォーマンスに戻りませんでした、とかはない。
なので、テスラ社では、アナウンスなしで、矢継ぎ早に、いろんなことを実験するのが、試行錯誤のやり方として良い、ということになる。
事業の肝は「TwitterというSNSを多くの人が使ってくれること」だ。
なので実験をやるなら気をつけないといけない。人は実験したあとにもとに戻しても、前と同じ反応を示すとは限らないからだ。例えば、API連携をほぼ廃止した後ユーザーの反応が思わしくないので廃止前のAPI連携に戻します、といってもユーザーは廃止前と同じように行動してくれない可能性が高い。
なので、Twitter社では実験をする前にユーザーにしっかり説明する必要があるし、あまり色んなことを矢継ぎ早に変えるのは良くない、ということになる。
マスクはテスラ社でやったようにTwitterのサービスに「実験」を重ねた。うまくいかなければ元に戻せば良い、と考えている節がある(急に変更を戻したりするので)。
でも、人間相手のサービスでは元に戻しても行動はもとに戻らない可能性が高い。結果的にTwitterというサービスが「信用できないサービス」とみなされつつあり、そうなってしまうと実験前のサービスに戻してもユーザは戻らない可能性がある。
リスクの取り方とも関係するが、先進的な(リスク許容度が高い)ユーザーが選んで買っているテスラと違って、Twitterはユーザーの幅がとても広く、リスク許容度も様々だ。そこを見誤ってしまい、ユーザーが感じるサービスの信頼性を下げていると思う。
適切なリーダーシップの取り方は組織の状況によって異なる、という学説がある。とある組織で有効なリーダーシップの取り方も、他の組織では有効ではない、ということ。
組織とリーダーシップの相性を診断するやり方としてフィードラーモデルが有る。 3つの観点から組織を見て、「タスク志向型」「人間関係志向型」の2つうち、どっちのリーダーシップが適切かを判定する。
マスクのリーダーシップスタイルは、一貫して、指示型でタスク志向型に見える。
つまり、権限委譲せずにメンバーに対してやることを指示するし、人間関係よりも組織としてタスクをこなすことを重視する。そしてハードワーキングを求める。
さらに、社員のモチベーションは高いしハードワーキングに対する許容度も高い。わざわざベンチャー企業に就職しているのだから。
なので、テスラ社ではマスクのリーダーシップが機能したのだと思う。
加えて、社員のモチベーションは様々だしハードワーキングへの許容度は低い。Twitterが好きで入社している人・給与が高いから入社している人・安定しているから入社している人……色々な人がいるから。
結果的に、マスクのリーダーシップスタイルは全く機能しなかったのだと思う。
マスクはTwitterのCEOとしてリーダーシップを発揮するためには、もっとメンバーの心情に寄り添ったり、チームを心理的にまとめる行動を取るべきだった。
でもマスクはテスラ社やスペースX社での成功があるので、変える必要を感じなかったのだろう。あるいは人間関係志向型のリーダーシップを取れないのかもしれない。
買収して半年もたってないぞ
定性的に辻褄が合う説明ならいくらでもできる もうちょっと客観的な根拠挙げて説明してほしい