はてなキーワード: エドモンド本田とは
ストリートファイター4のパチンコが打ちたかったからだ。
カプコンも業績があんまり良くないので、モンハンと一緒に出稼ぎに来ているのだろう。
台に座る。懐かしい顔ぶれが、まだ、闘っていた。
ブランカの強キック(バク転みたいなやつ)を連発されると何もできないまま負けたものだった。
そこから、ジャンプ強キック→しゃがみ強キックっというコンボを覚え、
立ちガードからしゃがみガードに切り替えられない友達を倒しまくったものだ。
それから、親指の腹の痛さと引き換えに波動拳を覚え(同時に竜巻旋風脚も)
そこから「前に歩きながら波動拳を出す」という友達のアドバイスを信じ、
そして波動拳で飛ばし、昇竜拳で落とし、ソニックブームには竜巻旋風脚という、
いわゆる波動昇竜という基本の闘い方を覚えた。
そこから、中段攻撃と投げ、弱中強の使い分け、めくりという概念、
とにかく、僕はリュウと一緒に、もう20年近く闘ってきている。
そんなところにずっと、ずっと惹かれている。
懐かしい顔も、見たことがない顔も居る。
とにかく、彼らの闘いはまだ続いているし、
リュウは20年経った今でも、真の格闘家を目指して闘っている。
手持ちのお金が半分くらいになったところで大当たりを引いた。
そのまま確変に突入した。確変中はリュウがライバルと闘うのだ。
僕のリュウは強い。並み居るライバル達を波動拳でKOしていく。
大当たり中、確変中は意外と退屈なので、僕はスマホを弄っている。
ダンは相変わらずダンだった。
どうしようもなく格好悪くて格好良くて、愛すべき男だった。
僕のリュウはどんどん勝ち進む。
僕が小学生の頃、必死で覚えた波動拳を繰り出し、ライバルを倒す。
闘う。波動拳。KO。増える出玉。
僕は退屈な顔をしてケータイを弄る。
当然勝つと思っていた僕のリュウは、3ラウンド目で相手の必殺技を喰らい、
呆気なくやられてしまった。
ずっと続くと思っていたリュウの快進撃は意外と呆気なく終わった。
それでもリュウは「俺より強いやつに会いに行く」のだろう。
彼の闘いはまだまだ続く。
僕の元には出玉だけが残された。
なんとなく、なんとなくだけど、
リュウがあのラスボスみたいなヤツを倒せなくてよかったと思う。
どうにも説明できない、個人的な感情だけど。
僕は勝つリュウの背中も好きだけど、挑み続けるリュウがひどく好きだったんだなぁと思った。
もう当分、パチンコ屋には来ないなと、思った。
「ゆうちゃんは大きくなったら何になりたいの?」
「あたし? えとね、えとね、……わらわない?」
「笑うわけないじゃない。ほら、言ってみて?」
「じゃあいう。えと、え、え、え」
「え、何?」
「エドモンド本田!」
「……え? えども……、何?」
「エドモンド本田は、エドモンド本田だよっ! どすこい、ってそらをとぶんだよっ! ぷぱぱぱぱってすごいはやいはりてをだすんだよっ! すごいよねっ!」
「う、うんそうだね、凄いね」
「エドモンド本田はちゃんこをたくさんたべるんだよっ! だからすごくすもうがつよいのっ! すてきでしょ?」
「で、でもその、エドモンド本田? お相撲さん、なの? だったらゆうちゃん、女の子だからお相撲さんは無理じゃないかなぁ」
「おすもうさんじゅないよ、エドモンド本田だよっ! 先生、わかってないなあ!」
「ああ、うん、ごめんね? そうだねエドモンド本田になるんだよね? その、うん、なれたらいいね」
「うん! あたし、ぜったいエドモンド本田になるっ!」