はてなキーワード: 採点競技とは
フィギュアスケートのルールに強制棄権の規定を追加するって、結構とんでもない話なんじゃと思ったので書く。
今回の中国杯の脳震盪?の個別の件に関しては、選手の意思を超越して強制的に棄権扱いにできるようになってほしい思ってる。
ただ、ISUの公式サイトのルールをぼんやり見てると、このルールの精神から強制棄権制度を作るのはすげえ難しいなという感想湧いてきた。
ジャッジの匿名性、技術審判と演技審判の分業とか逸脱度?の管理とかからすると、ISUは「我々の中に不正をする人間は存在する」という徹底的に性悪説に基づいてルールを作ってる。
匿名ジャッジなんて、不正の成果を確認できないようにするためという凄い思考だなと若干ビビるし、
分業も全体に対する一人の人間の影響を下げるための部分もあるだろう。
ここまで来るとやたら複雑な採点方式もジャッジ一人一人が不正の実行したくても計算が追いつかなくなるためじゃないかと疑いたくなる。
「不正の試みが存在しても実際の実行を困難であり、仮に実行されたとしても影響を十分に小さくする構造を持つ」ルールが望ましいとされてる。
この構造を持つルールがドクターの(あるいはそれに基づく審判の)権限による強制棄権なんて認めるわけがない
いや、不正するなよ!ちゃんと選出しろよ!って話だけど、ISUは不正するって強く信じてるから
そんな強い権限を少人数に渡せない、怖すぎる。
あとこれは妄想要素強めなんだけど、選手の演技そのものが不正を防ぐ重要な役割を果たすという考えもあるのかも
採点基準やジャッジは選手の演技を評価しても、選手の演技そのものを止めることはできない。
ジャッジはどの選手のどの演技に対しても採点の結果を出す義務があり、その対象を選ぶことはできない。
そして選手はどのような状況でも、演技とその評価を公の元にする権利がある。
そういう関係じゃないと不正は容易に行われるだろう、という思想なのかなあ
確かに、フィギュアよくわからない人には何のこっちゃになる状況なのかも。
浅田選手は最終的に6位で確かに思ったような成果ではなかったのかもしれないけど、彼女のフリープログラムは世界で最も難しい構成をしています。トリプルアクセルは女子選手で跳べるのは現在彼女だけで、過去にも跳べた人は4人だけととても難易度の高いジャンプです。
実際、フリープログラムでは浅田選手の基礎点は全選手の中でもトップでした(全選手の中でのフリー順位は3位)。採点は「技術点(基礎点+出来栄点)+構成点=総合点」で行われます。採点競技の問題点でもあるのですが、フィギュアの場合は後半に滑る選手にどうしてもジャッジは点を多くつける傾向にあります。浅田選手はショートのミスが響き前半滑走でしたので、ノーミスで素晴らしい演技をしたにも拘らず出来栄点と構成点があまり伸びませんでした。
結果的にはフリー3位、総合6位なわけですから、確かにここまで騒ぐほどの結果ではないと思われるのもわかります。ただし、それは本当に結果だけでの結論であって、フリーに限って言えば歴史に残るぐらいのものすごい偉業だったわけです。
それと、どうしても長年フィギュアを見続けている者にとっては、浅田選手がずっと逆境に晒されてきた状況を知っています。彼女に不利なルール改正が数多く行われました。それにも文句ひとつ言わず、苦手なジャンプを練習してきたこと彼女の肩を持ちたくなるフィギュアファンは、とても多いと思います。フィギュアは芸術的な要素が強いとはいえやはりスポーツですから、難しいジャンプや苦手な要素を克服し、努力する選手を称賛したい気持ちになるのは致し方が無いことなのかもしれません。
特に彼女は既に二度トリプルアクセルに失敗していましたし、前日のショートはひどい出来でした。直前の練習でも身体が固く、これはもうだめかと誰しもが思っていたところでした。それが、フタを開けてみれば、ノーミスで美しい、最高の演技だったわけです。実際私も前半の段階で大泣きしておりましたし、今でもそのシーンが映るとちょっと泣いてしまいます。フィギュア好きにとっては、感動なしでは見られない最高の演目だったわけです。ナショナリズムの欲目もあるかもしれませんが、正直なところメダリストの誰よりも記憶に残る滑りでした。
…とはいえ、本当にフィギュアファンでもない人には、ただただ演技を流してスタジオで泣いてるアナウンサーが「真央ちゃんすごい」って言うだけでは、さっぱりわからないと思います。きちんと何が凄い、ここが良かった、という解説があれば、多少は違うのかもしれませんが。日本のメディアの軽薄さは自分も実感しているところです。