立場上自分のブログに書けない愚痴を聞いてほしい。これから話す業界で仕事をすることが多く、こんなこと実名で書けないし飲みながらの愚痴でも言えないのだ。
先日オリジナルメンバーでPRESENCEというバンドがワンマンライブをやると発表があった。
このバンドはベースは後にジュディーアンドマリーというバンドをやるし、ボーカルの奥様は多田かおるという漫画家なので有名は有名なのだがメジャーデビューのあと三枚しかアルバムを残さずに解散した程度のバンドである。(というか、ものすごいライブバンドだったのでインディーズでの音源もデモテープ一本しかない。)
当時のバンドはブームでデビューは割とできるが、売れなきゃ解散するというのが当たり前だった。
ここ10年ほど、この時代のいわゆる「ジャパメタ」と呼ばれるジャンルのバンドの復活ブームではある。
あの当時のロッキンFに載っていたようなバンドはだいたい一度解散して復活している。
それは先程言ったように当時は「売れないから解散」みたいなのが当たり前だったので別にロックバンドにありがちな不仲による解散みたいなものが少ないのだ。(実際不仲なメンバーもいるがそれは仕事が上手く行かなくてギクシャクしてる…みたいな不仲で恨みつらみの不仲ではなく、時間が解決してくれる不仲が多かった。)
もしくは訃報が多くなってきてみんなが集まる機会がふえたりして同窓会がてらセッションをやったりしてたのだ。
人が死ぬと人が集まり新しいものが生まれるというのは不思議なものである。
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長い前置きが終わりここからが本題。
今回のPRESENCEのワンマン公演のチケット代がべらぼうに高いのである。
なんと一万円、一万円ポッキリだ。(よく調べたらポッキリじゃなかった。)
どんな大きなホールでやるのかと思えば
東京は2公演、場所は高田馬場CLUB PHASE。
できて20年ほどなので古くもなく新しくもないライブハウスである。
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週末(金土日)のイベントで3500円
平日のワンマンで4000円
週末のワンマンで5000円
(すべて会場で500円のドリンク代がかかる)
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この、ライブハウスのチケット代というものは企画者がいなければほとんどがバンドに支払われる金額である。
なので一つのバンドしか出演しないのであればそのバンドが、企画者がいるのであれば企画者がチケット代を決めるのだ。
出演するバンドはライブハウスにノルマだったり機材費だったりホールレンタル料だったりを支払ってライブをする。
バンドがお客さんを呼べなくてもライブハウスは一定数お金をもらっているしドリンク代の売上があるので正直関係ないのだ。
(ライブハウスのオーナーに「もっとお客さん呼んでよ」と小言を言われるのはいわゆるライブハウス企画のライブで、ライブハウスによっては近年一切やっていない。メリットがないし昔のようにライブハウスがバンドを面倒見る時代ではない。)
説明のようにチケット代は自分で決めれるので自分にもっと価値があると思えば別にいくらにしてもいいのだ。
所謂、大御所と呼ばれるジャパメタのおじさんたちは平気でライブハウス規模のライブで7000円8000円のチケット代を提示する。
もちろんそれでも会場はそれなりにいっぱいになるのでその値段でもいいのだろう。
来るお客さんの年齢層が40代以上というのも関係していると思うがはっきり言って7、8000円のライブ代なんて外国から来るアーティスト並である。
プレゼンスの1万円で言えば、あと5000円足せば世界的有名なKISSの東京ドーム公演が見れるのである。(ちなみにこのKISSのライブも今回は1.5万、2万、2.5万のチケット販売で高かった。)
プレゼンスのメンバーにはミュージシャンとして生活をしているメンバーも居る。その「ジャパメタ」と呼ばれていたバンドの出身の人達にはそういう人たちが結構多いのだ。
有名な人で言えばLAZYの影山ヒロノブやMAKE-UPの山田信夫(共にアニソンシーンで有名)だったり専門学校の講師をしている者、母体のバンドが数百人お客さんを呼べるからとほそぼそとセッション活動や地方のソロ公演(所謂ドサ周り)で生活する者、完全に裏方で楽曲提供やレコーディングだけで生きている者、母体のバンドよりも楽曲提供のが有名な人など様々なんとか皆が当時のまま音楽で食べていこうと今まで続けているのだ。
CDが売れない今、ライブによる収益というのは彼らにとってとても重要な収入源ではある。
だがしかし、この一万円というチケット代は絶対自分たちの首を締めることになるのだ。
ミュージシャンのギャラが上がれば、いずれはどこからも呼ばれなくなり、自分たちで何かをするしかなくなる。
はっきり言ってジャパメタなんてシーンはただでさえ日本では小さなシーンであるHM/HRシーンの中の物凄く小さな小さなシーンである。
その価値があると思っているのはもう数千人しかいないのだ。その数千人もほとんどが40代以上となるともう無くなっていくしかないシーンなのである。
大御所と呼ばれるメンバーたちはまだ50代~60代だ。まだまだミュージシャンとしては引退するには早い。
ファンとして、死ぬ寸前までステージに立てとは言わない。年齢やキャリアとともにギャラが上がるのも当然である。
だけどもその一万円は違う。見る側、ファンの立場で言えば30年ぶりにツアーをする彼らに一万円の価値がないとはこれっぽっちも思わない。
仕事上のお付き合いで言えば、はっきり言って自分たちの首を自分たちで締めてるだけにしか思えないのだ。
それぐらいお金を取らなきゃこのバンドをやりたくないのであればやるべきではない。
今のミュージシャンの収入源の殆どはライブ収益だ。大事な収入源を減らすことはしちゃいけない。
企画する側、彼らに仕事を作る立場としては、はっきり言ってその価値はないのだ。
ローディー根性丸出しの人たちが企画する地方のライブだって君たちのギャラで常に赤字なんだ。
バレエを観に行く自分にとっては「やっすい」という感じ。