2023-11-29

医学部なんて入るんじゃなかった」の続き

はじめに軽く自己紹介地方M6医学部6年)の24歳。

3年と少し前「医学部なんて入るんじゃなかった」という文章漠然とここに投稿した。進級がかかった試験の直前だった。涙をぽろぽろ流しながら、カフェの端の方の席で書いたのを覚えている。

まだエントリは消していない。事前にそちらを一読してから読んでもらえるとよいかもしれない。

医学部なんて入るんじゃなかった」は、バズるというほどではないけれど、ネットの隅で少しだけ話題になった。あたたか意見も厳しい意見もたくさんいただいた。あれからいろいろなことがあった。もし自分と同じように苦しんでいる人がいるとするならば、後日談まで書かないと誠実じゃないじゃないか、と思った。マッチングや卒試にも目処がついたので、国家試験勉強息抜きも兼ねて、自分現在地を記しておく。

どこから書くべきか迷っているが、過去記事と照らし合わせて丁寧に近況を綴っていこうと思う。

まず「医学部なんて入るんじゃなかった」とかつての自分は息巻いていたが、結果的には、心境に変化が生じたというか、医学部別に悪くないと思うようになった。医学教育の賜物かもしれないし、苦楽を共にした学友のおかげかもしれない。かつての自分の状況を考えれば、驚くべきことだと思う。

思うに当時の自分は、人間というものに対してずいぶんと悲観的になってしまっていた。コロナ期間が長かったことも大きい。けれどもあの記事でいただいた意見を参考にして、人間絶望せず向き合うというか、積極的交流を図ってみたら、自分と同じ痛みを抱いていたり、同じでなくとも大変な状況をくぐり抜けたりしている子が意外に多いことを思い知った。ノートを見せてくれたり、塞ぎ込んでいる時に一緒にスタバを買いに行ってくれたり、何だかとても優しい子が身近にたくさんいて、シンプルに驚いた。自分は一人ではなかったし、今となっては勉強部屋で毎日楽しくやっている。

受験の同期たちの存在も大きかったかもしれない。彼らは大人視点から自分の悩みに向き合ってくれたし、家庭環境に引くこともなかった。

振り返ってみれば「人に恵まれた」に帰着するのだけれど(友人たち、先生方、本当にありがとうございました)、歯車ひとつでもずれていたら、どうなっていたかからない。人生は意外に上手くいくし、意外に上手くいかないこともあるし、そのハンドルを握り続けることは容易でないという気づきが、唯一の学び。

続いて、家庭について。家庭は、残念ながら崩壊した。おいおい、と思う人もいるかもしれない。熟年離婚というやつだ。ただ、養育費卒業まで出してくれることになり、母方の家庭も長年の苦労を見透かしてか、支援をしてくれている状況だ。臨床実習が始まるころに手続きがだいたい終わった。

あれだけ絶対的ものだと信じていた権力機構が、いとも簡単バラバラと崩れていくさまに、気持ちよさを覚えなかったかといえば嘘になる。清々したし、寂しさはない。薄情かもしれないが、しょうがない。

趣味は相変わらず楽しくやっている。とても上手くいっており、その道の友人もたくさん増えたし、努力すればするほど報われる辺り、今までの人生の苦労のお返しを、急いでもらっているようにも思われる。就職関東なので、今よりずっといろいろなことがやりやすくなるだろう。

もう「欠陥品」と呼ばれることもない。勉強趣味はそれなりに頑張っているし、プライベートもそこそこ楽しくやっている。健常な人間「擬態」しているというと穿ち過ぎだろうか。

残念なことに、自己肯定感の低さは治っていない。褒められたら社交辞令と反射的に判断してしまう。けれども今の私には、それを笑顔で受け止める分別がある。

こと異性関係においては、どうも以前の良くない自分……過剰に怯えがちで人間を信頼しきれない自分がほの見えるようで、現在お付き合いさせていただいている人に、それを茶化されることもある。根本問題は治ることはないと思う。全てのこころ問題離婚程度で治るなら、私は今こんな文章を書いていない。離婚事実自体に苦しめられることもある(自分も原因の一端を担っているはずなので)。

うそう、以前のエントリをあげた時、「あなたはどこに行っても上手く行かない。あなた自身問題がある」といった内容の言及をいただいた。それは本当にその通りだと思う。私は人より落ち込む頻度が多いし、落ち込み具合もひどいものがある。特性は一生十字架として背負っていくほかないのだ。一方で、当事者ダイレクト当事者たる要素をぶつけることの暴力性に関しては、少しばかりの思慮が必要だと考える。

どれだけ歪んだ形でも「大学に通えたこと」には感謝している。卒業を目前にして、特にそう思う。世の中には寝食さえままならない被虐待児が多い。辛さは比較するものではないけれど。

というか、過去自分、かなり荒んでいて驚いた。もし私と同じような子がいたら、大丈夫だよ、と肩を叩いてあげたい。世の中は思ったより悪いところじゃないし、どんなコミュニティにも気の合う人は存在する。視野を広く持って、絶望しすぎないで、どうか、家庭以外の安心できる居場所を見つけてほしい。

将来何になりたいかは、まだあまり決めていない。志望科は内科だが、精神科にも興味がある。かつての自分みたいな子供の、絶対的な味方でありたい。

何だかふわふわとした文章になってしまいましたが、以前私にいろいろと言葉をかけてくださった方々、どうもありがとうございました。

職種の人でしたら、いつかどこかでお会いできるかもしれません。

その時を待ち望み、まずは国家試験を頑張ります

本当に、ありがとうございました。

  • 医学部入れてくれる金持ちに生まれてよかったね これが社会学部とかだったら中退してただろうし 毒親だなんだと恨む方に傾いていっただろう 医学部を肯定するのは結局は資本主義の...

  • 最初の文だけ読んで、医学部ってB1、B2、B3、B4ではなくてM1、M2…となる知見を得た。 二行目以降は読んでない

  • https://anond.hatelabo.jp/20200901143750 3年後

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