2021-11-09

父親と会話することが苦痛だった。

子供のころから父親と会話することが苦痛だった。母親とか姉とか会話するときは楽しく会話していても、父親があの独特の雰囲気で会話に割り込んでくると途端に空気が変わって、楽しい時間が一気に気まずい嫌な空気に変わるのがすごく嫌だった。

父親北海道大学獣医師資格を得てきた一般的にはインテリに分類される人間だったろう。ただ、コミュニケーション最初から難があるとみなされたかどうかわからないが、親から突然牛飼いになれと借金を負わされて嫌な仕事をやることになったと、「母親を経由して」散々聞かされて育った。ここで母親を経由してというように、まともに父親と会話したこと殆どない。中学校2年生ぐらいのときに、宇宙に興味が出て、父親に聞いたところ、思いの外詳しかったので、2〜3日詳しく聞いたことがあったという、その例外を除けば、「うん」とか「はい」とかそういう形式的な生返事をしただけで、どういうことを考えていたとか、何が好きとか、趣味はなにかとか、およそ父親に関する情報を会話からたことはない。

いつも母親経由であれはなんたら、これはどうこう、とか言う情報を得ていた状態で、まともに話したことはなかったというか、話す話題もなかった。父親はしきりに俺と話を一時期したがっていた。でも、最初に戻るが、父親が会話の輪に入ってくる会話というのは苦痛のもので、

相手が嫌がることをすることで興味を得てほしいというような幼稚な会話スキルが透けてみえて、本当に嫌だった。

当時はここまで分析できなかったが、自分父親と同じようなコミュニケーション苦痛になるような人間にはなるまいと心に誓っていた。

そんな父親も今年の4月半ばに72歳で亡くなった。借金ばかりで残してくれたものほとんど無く、残務処理を11月にまだやっているような状況だ。

亡くなる前、自分精神病気入院していた、自分人生に悩みを抱えていた。こんなときドラマだったら、今まで疎遠だった父親に話しかけると思いの外感銘を受ける言葉をかけてくれて、展望が開けた、というような安っぽいストーリーを思い浮かべて、メールとか対面とかで初めて対話を試みてみた。だけど結局「おらわからん」という田舎もん丸出しの投げやりな返事だけだった。書きそびれたが「おらわからん」「おらはしらん」は父親の口癖で、しきりに話ししたがるときはあるくせに、肝心の話の中でなにか要件というかタスクが発生するとすごく嫌がるので「おらわからん」「おらしらん」といってタスク回避したがるのが常だった。だからからも信頼されない、誰も話しかけないというのがループになっていたように思う。結果話もしないから、会話スキルも、そもそも口の筋肉も衰えて、さらに会話ができないという悪循環に陥っていたんだろうと思う。

ここで、父親父親自分自分というふうに切り分けできれば嫌な父親だったねということで終わらせられたんだろう。問題は、自分父親に似てきたというところだ。

もともとネズミの脳で、他人との会話の中で出てきたワードを覚えられないというのは大学生ごろから気にしてきたのだが、社会人として仕事をする中でも仕事をうまく覚えられないというような形で(でも社会人1年目はそんなこと考えなかったと思う)顕在化してきた。仕事がうまく行かない+うつ病という組合せで一時期休職したりして出世コースから乖離していくなか、同期からは早々に連絡を取り合う関係ではなくなり、大学の友だちとはだんだん疎遠になり、仕事上の同僚とは大して話すことがない(他の人は毎日話しをしていたか特別静かな職場というわけではないので自分話題を振らなかったせいではある)という状態慢性的になった結果。

  • (良い話題が思いつかず話しながら考えるせいで)重い口調
  • (同じく頭の中で考えても考えてもいい言葉が出てこないことで結局無難単語を繰り返すことで出てくる)狭いボキャブラリー
  • (同じく頭の中で考えても考えてもストーリを紡げないということで出てくる)隠しきれない焦り(まわりも焦らされる)

という状況が日常的になった。いま人と会話することが非常に怖い。頭の中でストーリー全然組めなくなった。他人から言われた話も半分くらいしか理解できないようになってしまった。仕事上かかってくる電話はなるべく取るようにしているが、電話でも口が回らず、要件を伝えるのがやっとかっとで、細かいニュアンスとか、気づいたこととか伝えきれなくて、結構確率電話のあとうまく伝えられなかったなあ、という感想になることが多くなった。

まり

という状況に陥っている。会話する機会が無くて会話に関する脳の機能が低下しているということだと思っている。今思えば父親も同じ状況だったのだと思う。

父親と同じ最後は嫌だ。本当にどうすればいいか悩んでいる。

まず他人から言われたことを半分くらいしか記憶できないネズミの脳というのは精神をやんだ病院で「リーディングスパンテスト」というのを受けて定量化できることは知った。でもそれを改善する方法というのはネットで探したけれど見つからなかった。

ストーリー仕立てで話すことができないというのは、昔はできていたと思う。なぜできなくなったのかわからない。どういうトレーニングをすれば改善できるだろうか。

言いたいことを表現するボキャブラリーが出てこないというのは1番めに関連しているような気はする。記憶力を高めればなんか改善できそうな気はする。

父親は同じような悩みを抱えて、性格的に諦めてしまったのだと思う。他人と話す機会も多くなかったし、話すことを拒否する内にどんどん会話に関する筋肉が衰えていってしまってー>会話が困難ー>より会話に関する筋力が低下、という悪循環になってしまったのだと思う。自分は同じ轍を踏むわけにはいかない。なんとしてでも、この状況は改善できるものだと考えて脱出したい。

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