2019-12-13

魔法使い資格を失う

色々拗らせて年齢=彼女なし、素人も非素人も含めて完全童貞

なんだけど彼女を作るという意欲があまり湧かず、気がつけば魔法を使えるようになると噂の年齢を数年過ぎてしまった。

さすがにまずいんじゃないだろうかと思いスマホデートアプリ入れてみた。

まり触らないうちにメッセージがきてマッチングが成立して有頂天になったのも束の間、課金したとたんにメッセージが返ってこなくなった。

有料会員にさせるためのサクラだったと気づいたのはその数日後。

しばらく使ってみたがメッセージどころか足跡もつかない。

その後自分からメッセージを送りまくってみた。

だが見た目も平凡だしお金もないし性格コミュ障だし週末ヒキコモリボッチで自分には女性アピールする点なんてまるでないことを再確認させられて心折れてもうアプリは開かなくなった。

それから数か月後、寝床に入った後いつもの寝る前のネット巡回を終えて何気なくアプリを立ち上げた。

年会費払ってしまっていたからもったいなくてアプリ自体は残していたのだ。

暗い部屋の中、そこだけ明るいスマホの画面に女性たちが並ぶ。

彼氏を探している人たちがこんなにもいる。

同じように彼女たちの画面には男たちが並び、自分の冴えない顔写真も片隅にあるはずだ。

なんだか不思議な気分だった。

こんなにも人が人を求めあっているというのに、自分には恋の波風のひとつも立たないのだ。

それがツラいというよりも完全な傍観者自分がなってしまったというような感覚で、灼けつくような異性への渇望といったものそもそも自分には欠けているのではないだろうか、などとぐるぐる考えているうちに寝てしまっていた。

目覚めたときスマホを体の下敷きにして寝てしまっていたことに気づいた。

画面割れてたりしないだろうかとあわてて取り上げて画面ロックを解除した。

その時見慣れぬ通知に気がついた。

「Nさんとのマッチングが成立しました」

デートアプリからの通知だった。

寝る前に確かにアプリ女性プロフィールなどを見ていた記憶はある。

このNさんのプロフィールも見た記憶はある。

しかマッチングするような操作をした記憶は全くない。

状況から考えるとどうやら寝落ち直前にNさんのプロフィールを開いていて、その後なんらかの無意識操作が行われてNさんにマッチングリクエストを行ってしまった可能性が高い。

しかしそれよりもなによりも驚くべきことはNさんが自分無意識リクエスト承認してしまたことだ。

意識のある自分がさまざまな女性に送ったリクエストはことごとくネットの海の向こうに音もなく消え去ったというのに。

操作ミスであると伝えて謝るべきじゃないか

でも自分みたいな人間承認してくれた相手に対して失礼では?

頭の中でいろいろな考えがせめぎあって結局

マッチングした」

という事実を捨て去ることができなかった。

操作であることは隠してメッセージの交換へと進んだ。

Nさんは都内で働く2歳年上の女性だった。

プロフィール写真はメガネをかけていて地味な印象だった。

しかメッセージ交換でわかったのはスポーツバーに通うのが趣味というNさんはかなり積極的性格ということだった。

完全に陽キャで完全な陰キャ自分とは違いすぎる、という不安感を初めてのおつきあいへの期待が上回りついに初デートを行う運びとなった。

実際に会ったNさんは小柄でやっぱり地味な見た目だったけどプロフィール写真よりもちょっとだけかわいく見えた。

予約してたレストランで昼食を食べ、二人で比較的有名なデートスポットを巡り、これまたネットで予約してたレストランで夕食を一緒に食べ、とてもとても平凡なデートであったとは思うけど、この年齢までおつきあい経験自体が無い自分にとっての精一杯だった。

Nさんとはその日いろんな話をした。

男性と張り合うような職環境にいること。同じ成果を出しても女性には不安定な職位しか与えられないこと。

ストレス発散にスポーツバーで羽目を外していること。

自分とは全然違うタイプだったけど、人はそれぞれ悩みを抱えながらやりくりしてるものなんだな、と思った記憶がある。

お酒も少し入り今日はここで散会かと思われたその時、Nさんがもう少し飲みたいと言い出した。

Nさんはお酒に強いらしい。自分は酒に弱くデート台無しにしたくないのであまり飲まずにいたのだが、若干それが気に入らないという様子に見えた。

想定してない状況で混乱する中、Nさんは

「君の部屋で飲む」

と言い出した。

この日、地方在住の自分デート自分自身が一泊するつもりでビジネスホテルに部屋を確保していた。

その部屋で今から飲むというのだ。

マジで?これってそういうこと??

高まる期待、激しく鼓動する心臓

くそういう期待がなかったわけではない。

これからそういう流れがあるやもしれないと妄想もしてた。

でも未経験初デートこなしたばっかりの自分にできるのか?

魔法使いの資格を持つ身であるにもかかわらずまるで中学生のように緊張している姿はたから見るとかなり怪しげだったと思う。

コンビニビールなど買いこみホテルフロントを難なくパスし部屋に入った。

そういうつもりではないかもしれない。

そういう可能性を頭に浮かべつつ、セミダブルサイズのベッドに並んで座る。

Nさんは

「ここなら君が酔いつぶれても大丈夫

だという。

そうなんだろうか?

缶をあけ、ビールをあおる。

このときのNさんとの会話はとりとめもなくたわいもないものだったと記憶している。

ビールをあおる。

酔いがまわり始め体温が上がってくる。

ビールをあおる。

手は出ない。手を出せない。

ビールをあおる。

どのくらい時間が過ぎたか定かではない。

程よく酔ってしまった頃、Nさんが

「そろそろ終電から帰るね」

と立ち上がった。

コート羽織り帰り支度するNさん。

どうすんの?いくの?いかないの?

頭の中でぐるぐる思いが回り始める。

(迷わず行けよ。行けばわかるさ。)(CV:アントニオ猪木

人生最大の勇気を振り絞って立ち上がりNさんの手をとり抱き寄せた。

それからキスをして帰らないで欲しいと伝えた。

紅潮した頬でNさんが見つめてくる。

「そんなつもりじゃなかったんだけど…

えええええええええええええええええええええええええ?

違ったの?

やっちまったの?

下着もかわいくないし…」

やっちまった。やっちまった。

お前はいつもそうだ。

ちょっと待ってて」

Nさんはバスルームに消えた。

どういうこと?

なに待ちなのこれ?

再びセミダブルベッドに座りNさんを待つ。

待つ間なんとなくルームライトを落としフットライトだけにした。

やがてNさんは素肌の上にナイトガウンだけを羽織った姿で現れた。

ベッドに座り肩からガウンをすべらせる。

夜目にもくっきりと彼女の胸の赤い徴が見えた。

僕はパンツおろした。

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