2013-01-25

叫びたい

最近話題の高学歴ワープアです。女です。

叫ばせてください。

結婚出産なんてできねーよーーー!!

研究者」として生きていくのは、いい。自分の好きなことだからがんばれるし、ほぼ実力主義世界から男女差別もあまり感じることはない。いわゆるガラス天井の問題も研究世界では少なくなってきていると思う。でもそれは常に競争の中を生き残っていかなければならないということでもある。

ここで研究者人生についてもう一度考えてみたい。高校卒業後、大学進学、研究室に入って学部卒。ここで22歳としよう。まだぺーぺーだ。修士課程の二年間で研究者としての資質を見極められ、認められた場合博士課程へ。ここで24歳。そしてそれから短くて3年間、文系だと大体5~6年かけて博士号取得。ここには3年で博士号をとれる理系ポスドク留学文系留学してから博士号、という違いがありそうだけれど、いずれにせよ博士号取得&留学で通算5~6年かかるという計算だ。つまりなんとかして研究者の「免許」をとったところで、だいたい三十路前後

そしてここで襲いかかる高学歴ワープア問題。

三十路にさしかかった研究者の卵はこれから数年間で、バイトなりポスドクなりしながら、研究の業績を積み、非常勤講師をしながら教育の実績を上げ、一年に一回あればラッキーアカデミックポストの募集に応募を続けることになる。もちろんその募集には他の優秀な研究者たちが100人単位で応募してくるし選考の条件もさまざまなので、最終的には実力だけじゃなくて運だ。2、3年でアカデミックポストにつけた人は超ラッキー。5,6年以内に常勤の職を見つけられればいいな~というところ。そうすうると30代半ばになる。100人単位の応募者蹴落としてやっと大学講師になれました。大学側も教員ポスト減らされて困っている時に待望の若手の登場です。雑用、教育研究に八面六臂の活躍を期待されるわけね。

そうやって仕事がんばって数年がすぎたときふと気づけば、出産リミットを超えてしまっている。

ものすごく頑張ればこの人生の中でも出産ってできると思う。でも、周りを見てると同年代か少し上で結婚出産に至っている人は、博士課程かポスドクの時点でキャリアから降りてる。もっと上の世代になると「結婚すべし」「出産すべし」っていう価値観というか社会的プレッシャーがあったから、女性研究者でも子供をもっている人は多い。でもね、話を聞くと壮絶なのね。「女」ということで表立って差別はしないかわりに「母親」ということで差別する。出産したことそのものを隠し通した人もいたとか。

そうやって上の世代ががんばってきたから、我々の世代が男女間のギャップを感じないで研究に打ち込めるっていうのはわかっている。だから研究を口実に結婚出産をしないということに申し訳ない気持ちにもなる。ただ一方で言えることは、上の世代は今よりずっと就職やすかったということだ。昔は博士号もとらないでよかったし、キャリアが若干出産で遅れても、十分アカデミックポストを見つけることができた。あるいは定職についてもまだ若かったから、仕事が落ち着いてから出産することも可能だった。でも今はそうじゃない。博士号とって研究業績の本数(質じゃなくて)を積み上げないと、スタートラインにすら立てない。言ってみれば「研究者の修業期間」が昔と比べ物にならないくらい長くなっている。それを普通にこなしているだけで、出産リミットオーバーだ。

博士課程からポスドクにかけてはいろいろな意味不安定だ。金銭的な面でもそうだし、明日どこで何をしているかもわからない。ポストがあればどこにでもいく、というスタンスでないと就職は難しい。僻地の、小さな大学任期講師の職にすら、応募者が殺到する時代だ。「定職ありません」「どこに住むことになるか分かりません」「いつ就職できるかもわかりません」この状態で結婚できるだろうか。いや、できまい。結婚どころか恋人をつくるのも難しい。ただでさえ高学歴学校歴のほう)で敬遠されるのに。

それでも男性はいいなと思う。30歳代なかばから40歳代にかけてアカポスについたころに結婚して子供持っていいパパになれる。産休とる必要ないしね。出産の予定があるとか、小さな子供がいるということが採用の妨げになることもないし。

でも女性は? まず20歳代後半から30歳代前半にかけての「産みどき」にワープア状態になる。このとき結婚していまどきめずらしい専業主婦しながら研究続ける、といっても実際この激しい競争のなかでそういう人はふるい落とされて消えていく。じゃあアカデミックポストについたとき出産できるかっていったら、それも普通心臓のひとには難しい。上にも書いたみたいに、待望の若手として研究室の期待と雑務を一身に背負っているのに、就職して1-2年で「じゃあ、産休、育休とりますんでよろしく♪」と言えるだろうか。(言える人もいるらしいよ。そしてそのせいで、その後のアカポス募集のとき女性応募者が敬遠されることに… 大学講師採用面接で「出産の予定は?」と聞くとかアカハラも甚だしいんだけど、それだけ大学側も厳しい状況にあるということのあらわれでもある)

まとめ

1.「私、研究するから職に就くまで養ってね♡収入ないけど忙しいから、家事育児協力してね。遠距離別居婚になるかもだけど我慢してね」と夫に言える

2.アカポスについた時点ですぐに仕事投げ出して産休とって出産できる

このどちらかができるくらい心臓に毛が生えてないと、女性研究者結婚というか出産するのは難しい。

なんとか出産に辿りつけたとしてもただでさえ忙しい仕事こなしながら子育てしていくのは難しそうだな~と思う。子供は大好きだし本当に欲しかったけど、自分はたぶん無理だ。それは研究がそれだけ大事だ、ということなので単に自分わがままなんだと思う。私は研究犠牲にしてまで子供を持つことはできないということだ。研究者仲間の男性がその両方をやすやすと手に入れていくのをみると、少し悔しいというか悲しい気持ちになるけど。

出産育児して社会に貢献できなくてごめんなさい。そのかわり一生研究がんばります教育もがんばります。そういう形で社会に貢献していこうと思うので、子供産めなくても許してください。一応の「研究者」になるまでにどれだけの支援を大学や国や諸々の機関から受けてきたかということを考えると、自分研究を捨てて家庭を持つということはモラルとして許されない気もするのです……

以上、女性高学歴ワープアの苦悩をお伝えしました。そんなこと言ってないでとっとと論文書けよ、明日の飯もおぼつかないぞ、という悪魔だか天使だかの声が聞こえてきたのでここで筆を置かせていただきます

  • 能無しが分不相応に研究者なんか目指したらそりゃ幸せになれねえだろう。

  • 俺が見た中で「うまいことやったなあああああああああああああ」って思ったのは、 在学中に研究室のボスと結婚してそのままその研究室で安定アカポスゲット、というパターン。 研究...

  • まぁ、結婚・出産しなくていいんじゃない? 別に『女性』として生きていかなきゃいけない訳もなし。 いやほら、リチャード・ドーキンスのミームって概念あるじゃない。 人間は情...

    • 一度就職すれば仕事しなくてもおk、ってのは「余裕がある状態」と言うんだろうか? それは終身雇用制度がある故であり 「一度採用したら首に出来ないから採用者を絞る=就職自体が...

  • 「女」であることに甘えずに必死にがんばってきたのに、「女」であることに甘えなければプライベートの幸せは得られないんだと気付いてしまう悔しさと虚しさ、というか。

    • この世は圧倒的に地獄だということだな。 どういう形の地獄を受け入れるか、という選択しかできない。

    • 女であることに甘えない、と女子力を磨く。 は別問題だろ。 女であることに甘える。というのは、それで仕事を取ってくる、怒られるのを回避する。などの意味だが 女子力を磨くとい...

      • なんつーか、すげー金持ちの家に生まれたボンボンが「俺は自分の力で頑張っている」とかドヤ顔してる感じの滑稽さだな。

      • いや、「女」であることに甘えないとプライベートの幸せがつかめないっていうのは、元記事でいう「夫に養ってもらう」とか「就職してすぐ産休とる」とかそういうことに対しての話...

        • それを言うなら「自分は何一つ身体的な負担をしなくても子供が持てる」「子供の世話を妻に丸投げしても許される」のは 「男」である事に甘えていると言えるんじゃないのかなあ

  • 言いたいことはわかるけど、長いよ。 もうっちょっと、コミュニケーション能力身に付けろよ。 言いたいことばっかり言ってないで、 読者が読みやすく理解しやすくするためにはどう...

  • 自分で産むのを諦めればいいだけじゃないの? 男性と比較するなら、男性がしたくても自分で出産できるわけではないように、もともと平等ではないしね。 養子縁組をするといい、子連...

  • 「私、研究するから職に就くまで養ってね♡収入ないけど忙しいから、家事育児協力してね。私が就職したら、仕事辞めて家事育児してね。子どもが大きくなったらまた働いてもいいけ...

    • いるにはいるだろうけど、女の腐ったような魅力ゼロのダメ男しかいないだろうなあ。 そんな奴の子供産みたいかっつーとそんなのお断りだろうから、まぁ無理というのが結論。 結局、...

  • 「30超えると、どんどんと年を追うごとに出産が難しくなっていく」ってのは、生物学上、避けられないことだからなー。社会的な制度は、ある程度、周囲の協力で何とかなるし、行政の...

  • 誰に強制されたわけでもなく、自分が好きで研究者になる道を選んだんだろ。 好きな生き方をするのに、何かを切り捨てなきゃいけないというのはごく普通のことだ。

  • 研究職の女性には、うつ病・躁うつ病罹患者が多いそうな。 といっても、噂だけなので、他の職業より罹患率が高いかどうかは確かめていない。   私もうつ病。 (ちなみに私のスペッ...

  • 一人で何もかもはできないからね。

  • 一人で何もかもはできないからね。

  • 一人で何もかもはできないからね。

  • あなたの殉職心は立派です。超頑張って! そして次世代研究者はあなたのような悲痛な思いをしないように、是非とも環境を改善するように働きかけてください。

  • ていうか、男も研究キャリア積もうと思ったら子育てなんかしてる暇ないと思うけどな…。 全部専業主婦の奥さんに丸投げで「ときどき家にいるおじさん」になるんなら別だが…。

  • 博士まで出れば、自分が天才でないことぐらい分かるでしょ? 自分の子供が、どの程度の大学に入りそうか、冷静になって考えて見れば分かるでしょ? その程度の大学に入る人間はいく...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん