はてなキーワード: モーニングサービスとは
来客に対して突然酒を勧めることなど、ありえないだろう。お互いのことをある程度理解したうえで、「お酒は飲めますか? 親睦も兼ねて飲み会などいかがですか? お車は乗らないですよね? 」などと互いに細かく同意を取り、酒席では飲ませすぎないようにするのが酒の勧めかたと言えるだろう。しかし、コーヒーは違う。初対面であっても問答無用で勧めてくるのだ。ある程度気心の知れた仲なら断ることもできるだろう。「先ほど自販機で買って飲んだから」「利尿作用でトイレに行くことになるから」「カフェインを摂るとイライラする」「頭痛や腹痛になる」「心拍の負担になる」「今日は下痢気味なので、胃腸に負担をかけたくない」「今はリラックスしたいので、カフェインで脳を興奮させたくない」などと正直に言えばよい。しかし、初対面の相手にこのようなことを言って断るのも失礼だろう。勧められたコーヒーの扱いはマナーの問題として語られることはあっても、健康問題として語られたことは無いだろう。「アルハラ」は社会問題として定着したが、「カフェハラ」は問題にもされていないのだ。
エナジードリンクのような高カフェイン飲料ではなく、コーヒーごときのカフェインで大げさかと思われるかもしれないが、そんなことはない。カフェインの摂取許容量は個人差が大きいので日本では設定していないが、カナダ保健省では一日当たり最大400mgとしている。これはコーヒーだとマグカップで3杯の分量である。(参考:食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~[厚生労働省] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html)
健康のために、コーヒーは1日3杯までにするべきだといっても過言ではない。そのうちの1杯を軽々しく勧めていいのだろうか。カップが空になったからと言ってさらにおかわりの分を置いてもいいのだろうか。もちろん、お茶出しする人は悪気があってのことではなく、もてなしの気持ちとしてやっていることだと重々承知している。しかし、もてなすのなら、コーヒーに砂糖やミルクを入れるかを尋ねて炭水化物や脂質(1日の摂取許容量に比べたら微量だ)の摂取に気を配ることよりも、カフェインの摂取そのものに気を配ってほしい。
これまでコーヒーを勧めることの害悪を語ってきたが、これからは私が希望とするお茶出しについて述べる。まず、単純にノンカフェインまたは低カフェインの飲料を出してほしい。ほうじ茶や麦茶、あるいはカフェインの無い(少ない)紅茶が良い。カフェインレスのコーヒーというのもあるようなので、それもいいだろう。しかし、人により場合により、カフェインを摂取して眠気を覚ましたい時もあるだろう。お茶出しする側でも「退屈な会議でうっかり居眠りをしないように」と考えているかもしれない。そこでもう一つ提案したいのが、カフェインの有無を選択できるように提供することだ。具体的には、カップにお湯だけを入れて、スティックコーヒーやお茶のパックを別に用意すればよい。こうすれば、各自でカフェインの摂取量をコントロールすることができる。
ここまで読むと、筆者はよほどコーヒーが嫌いだと思われることだろう。カフェインに耐性が無いのだとも。だが、そんなことはない。モーニングサービスのある喫茶店でコーヒーを頼み、トーストやゆで卵と一緒に味わうのが好きだ。漫画喫茶へ行けば、3時間ほどでコーヒーを4杯ほど飲むこともある。しかし、夕方以降から就寝前の間にカフェインを摂取するのは、眠りを妨げるから嫌いだ。それ以外でも自分の意図に反してカフェインを勧められることも嫌いである。
酒豪と言われるほどの酒好きでも仕事前に酒を飲むことは無いし、仕事以外の時間でも常に酩酊状態を維持しているわけではない。アルコール摂取とその効果は個人差が大きいので、酒を飲む時間や量は各々が管理していることだろう。しかし、コーヒーは違う。食事や間食などと共に用意されるだけでなく、来客対応、会議、肉体労働後の休憩時間、仕事終わりのねぎらいなど、様々な場面で勧めているのだ。まるで、社会が人類に対し、カフェイン中毒状態の維持を強要しているかのようだ。これはおかしい。アルコールと同様に、カフェインも健康に対する影響は個人差が大きいので、軽々しく勧めるなどの「カフェハラ」をしてはならないのだ。私が望むのは、カフェイン摂取をセルフコントロールできるような社会である。