はてなキーワード: プライヴァシーとは
[追記]
ちなみに現行の、アメリカにおける中絶合法化の根拠になっているロー判決は、「中絶権がある」とは認めておらず、中絶を禁止する州法は、当該女性に対するプライヴァシー権の侵害であるとする、いわば「財産権保護」的な意味合いでの調整が行われているだけである。女性の中絶権を犯しているから中絶禁止州法が違法なのではなくて、プライヴァシー権の侵害である。
プライヴァシー権は憲法にも関連法にも規定はなく、判例に拠るしかないかなり弱い権利だ。歴史的にも新しい権利であるが、ロー判決を批判する意見としては、この判決が新たにプライヴァシー権なるものを「立法」した立法権侵害であるとする説がある。連邦最高裁がかなり通常よりは踏み込んで逸脱していることは間違いない。
そこまでしても、中絶をし得る法拠はプライヴァシー権と言う、場合と状況によってはかなり緩くしか扱われない権利であって、近代法の母国のアメリカでは注意深く進められていることは留意すべきだろう。
共通テストで鼻出しマスクで失格になった受験生、可哀想すぎる。絶対に救済措置が与えられてほしい。
事前申請すれば別室で受験できたのにって、事前の申請にも医師の診断書がいるんだろ? ハードル高すぎだよ。
「マスクが苦手」にも程度というものがある。「マスクをつけると皮膚がかぶれる」から、「顔に異物があるとなんとなく落ち着かない」とか「鼻まで覆うと息苦しい」くらいのものまであるだろう。
前者の人はともかく、後者くらいの人までわざわざ病院で「マスク着けるの困難です」っていう診断書を取ってくるべきだったっていうの? ていうか、取れるの? そんな診断書。
口だけ覆うというのは、人によっては、感染対策をしつつ自分にとってのベストコンディションを保てるやり方だったのかもしれない。人の感覚というのは多様で、「医者にかかるほどではないが、不愉快で落ち着かない」という領域は十分ありえる。そういう人たちが事前の申請をせず鼻マスクで臨んだとして、それは失格処分を受けないといけないほどのことなんだろうか?
昨年度まではマスクをつけなくても試験を受けられたのに、今年度からはマスク必須になるなんて、マスクの有無でコンディションが変動する人にとってあまりに気の毒だ。しかも、それで「常識がない」と叩かれるなんて。それもそんな制約を気にする必要のなかった世代の人たちに。最悪だ。
そう言えばよかったじゃんって? 理由はわからないけど、パニクってたとか、それどころじゃなかったとか、色々あるでしょ。頭が真っ白になって思考停止状態になっちゃった可能性もある。30代のサラリーマンじゃなくて20になるかならないかの若造だぞ。
大勢の人の前で理由を言いたくなかったのかもしれない。マスクをつけられない人は、公共の場では、いちいち自分のセンシティヴな情報を開示してまわらないといけないのだろうか。「私にはこれこれこういう障害があってマスクが苦手なんです」って? プライヴァシーはどこに行った。一橋大でゲイの青年が自殺した事件やHIV感染者の裁判であれだけアウティングを責め立てていた良識派の皆さんはどこに消え失せてしまったんだ?
私は、じっとしているのが苦手な性質だ。手で何かを弄っていないとどうにも落ち着かない。それはペンだったり腕時計だったりマスクだったりする。会議中には腕時計を外して嵌め直す動作を何度も繰り返すのが習いになっている。
そんな私からすると、マスクを触るな、とお医者さんたちが口を酸っぱくして言ってるのは、理屈はわかるけど無理だよ、と思う。だって顔になんかついてたら頻繁に触るでしょ? メガネだってしょっちゅう触ってるのに、マスクを触らずにいられるわけがない。だから私がもし試験場にいたら、マスクを触りまくっていただろうなと思う。それは自分が落ち着くためで、そして人生を左右する共通テスト会場で何よりも優先されるのは自分がいつも通りのコンディションで問題に向き合えることだ。
私には、鼻出しマスクの受験生たちが他人事とはまったく思えない。彼らは鼻をマスクで覆うことができなかったのだろう。鼻をマスクで覆うと落ち着かなかったり苦しかったりするんだと思う。そしてそのことを試験官に伝えるだけの冷静さあるいは度胸がなかったんだろう。
少なくとも彼らは、口は覆えていた。それでは不足なのだろうか。マスクを完璧につけることが苦にならない受験生と、医者から診断書をもらえるくらいに激烈な症状の出る受験生は試験を受けられるけど、マスクで鼻まで覆うとなんとなく不快になったり調子が落ちたりするくらいの受験生は試験を受けてはいけないのだろうか。
ほんの少し前までは、マスクの有無で受験資格が制限されることなんてなかったのに。マスクのことなんて気にせず受験勉強をしていればよかったのに。いきなりこんなことになるなんて。
あまりにも気の毒すぎる。救済措置が必要だ。追試験の受験が認められるべきだ。
救済措置が与えられないなら、一人でも抗議行動を行おうと思う。幸い、この抗議行動にはプラカードは必要ない。隊列を組む必要もシュプレヒコールを叫ぶ必要もない。ただマスクを外すだけでいい。こんなことでひとりの受験生が失格にされるのは絶対に間違っている。こんな理不尽が許されてはならない。間違った社会への抗議は行われるべきだ。だから抗議の意思表示として私はマスクを着けない。……まさか、たったそれだけのことが社会の抑圧に対する抗議になるだなんて、去年の今頃は予想だにしてなかったけど。