2023-05-29

優しい笑顔文章

先日なんとなくSNSを眺めていたら、友人の投稿が目に留まった。

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「身内です。このアカウントの持ち主は A月B日に永眠いたしました。生前のご厚誼に感謝申し上げます。」

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彼女との出会いは、200X年だった。趣味関係彼女ブログを見つけた俺は、彼女ブログコメントをした。その後コメントを返してもらったり、mixiアカウントを教えてもらったりして、コミュニケーションの頻度が上がっていった。連絡先を交換して電話もした。「おはようからおやすみ」まで、ガラケーで連絡を取り合う感じになった。

お互いの写真も交換して、会ったこともなかったのに電話告白をして付き合うようになった。お互い大学生で、相手首都圏在住、俺は地方在住だった。遠距離のもどかしさがあったけど、俺は大学卒業就職して首都圏に引っ越すつもりだった。

俺は大学4年になると、就活とか何かしらのタイミング夜行バス新幹線首都圏へ行き、彼女に会った。最初会う時は、本当に不安でいっぱいだった。思ってた感じと違うと言われたらどうしようと。彼女は、俺のスーツメガネ容姿を褒めた。それまで容姿を褒められた経験のなかった俺は、褒められたことを単純に受け入れる事ができず、嬉しさよりも恥ずかしさの方が優った。

彼女は、派手な感じのない小綺麗な人だった。背が俺より高くて175cmくらいあった。コンプレックスを感じる必要は全くないのに、「高いヒールを履きたいけど、自分の背が高いのが嫌なんだ」と言った。ネイルをしたり、コスプレをしたり、カメラマンの人に容姿を撮ってもらうことが好きみたいだった。

まり俺の意見や話に対して自分の考えを述べたりせず、基本的に良く相槌を打ち、よく笑う人だった。いわゆる聞き上手な人のように見えた。家庭問題学校問題等によって鬱病なんだと聞かされた時は、人に攻撃されないようにとか、嫌われないようにするための処世術?として聞き上手なのかもしれないと思った。

鬱病が本当に辛そうだった。体調のいい時に始めたバイトも、体調が悪くなると寝込んで欠勤が続き、辞めることになった。「パン屋バイトに受かった、楽しみだ」と言っていたが、最終的にそれも辞めることになった。大学も然り、留年中退となった。「どうして、自分はこんなに他の人ができることができないのか」と悔しがった。

俺は大学4年生の夏頃までに就職内定をもらった。でも、周りの友達ほとんど大学院に進学予定で、自分就職選択が正しいのかどうかよくわからなくなっていた。そして、大学院に進学すると遠距離恋愛をさらに2年続けることになる。彼女電話で悩みを打ち明けると「試験、頑張りなよ!」と応援してくれた。後2年待ってくれそうな気がした。大学夏休み院試勉強に充てて、試験合格をした俺は、彼女に結果を伝えた。喜んでくれた。内定していた会社には、内定辞退の謝罪をしに行った。

その年の暮れ、俺は年末年始首都圏の親戚の家で過ごさせてもらえることになり、どこかに遊びに行こうと彼女を誘った。俺はインドア派でどこかに行きたいとかはなかったから、行きたいところはないか彼女に聞いた。彼女は「109正月セールに行きたい」と言った。初めて入った109想像していたより狭かった上、外は大行列で中は大戦争だった。朝からセールにいき、昼に食事をしながら「正月セール、やべーw」と2人で笑い合った。

つのからか、「(俺が学部卒業して就職したら)もうすぐ頻繁に会えるようになるね」という話題もなくなり、二人の会話がトーンダウンし始めて、とうとう「別れよう」と言われた。院進学の判断をしたのは俺だったし、彼女は明確な意思を持って何かを話す時、結構頑なな人だったから、あまりとりつく島がなかった。そして別れることになった。

それからも俺は彼女と連絡をとった。2年間の博士前期課程を修了後、就職首都圏引っ越した時も、一緒にどこかに遊びに行った帰りに「もう一度付き合わないか?」と聞いた。でも、断られた。それから、お互いに新しいパートナーができたりして、少し疎遠になった。ご飯を食べに行こうと何度か誘ったこともあったけど「行きたいんだけど、体調が悪くて」と断られた。「流石に空気読めよ」って話だったのかもしれないし、本当に体調が悪かったのかもしれない。今から思えば体調は悪化していたのかもしれない。でも、もうわからない。

彼女は、口数が多い方ではなかった。でも、話せば沢山考えていることがわかった。人を蔑んだりすることなく、性格は優しかった。笑顔は素朴で屈託がなかった。俺は彼女の書く文章も好きだった。memorizeとかを昔やっていて、ブログとかでは読みやすくて書き慣れた感じの文章を書いた。何よりこんな俺の稚拙増田とは比較にならないくらい筆に勢いがあった。

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闘病生活お疲れ様。あの頃、俺は君に夢中だったし、手を繋いでデートできるのが本当に幸せだったよ。優しい笑顔文章ありがとう

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合掌

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