2020-09-29

りんご音楽祭を2日間で退場した話

目の前の光景2020年のものとは思えなかったことはなかった。

「これは良かった……」と思わず声が漏れしまった。


毎年、長野県松本市で開かれる野外音楽フェスが「りんご音楽祭」だ。

市内のアルプス公園で数十組のアーティストを集めて開かれるこのフェスは、仕事松本に転勤が決まってから参加を楽しみにしていたイベントの一つだった。

今年はコロナ禍で開催されないと思っていたけれど、松本市とも協議の上で各種感染症対策をすることで開催に漕ぎ着けたらしい。

そのため、チケット長野県内でしか売られず、入場者も1日5000人から1000人まで減らしながら開催するという。

長野県近辺の人が集まるという前提など最初からなくて、あくま長野県しかチケットを発売しないという前提で、しっかりと感染対策が取られているとかそんな未知のことを心配しても仕方がなく、結局自己責任だし、例年より少ない人数が集まることで、そこまで例年のように「めっちゃ人多いやんけ」って不満にならずに参加できるだろう……と考え、チケットを2日分通しで購入したのが結構前の話。


そして開催日の本日9月26日、朝から浮かれた気分でアルプス公園まで足を運んだ。

久々の野外フェスがあまりに楽しみで、チケットを買ってから今日まで仕事で辛いことは特になく、過ごしてきた。

この状況になってから半年以内でもライブを楽しむことができてたので、感染症対策あくま自己責任、他の制限があったとしても、できる限り楽しむのは自分次第と思っていた。

そして辿り着いた入場ゲート。チケットをもぎられたのも最近ぶりでもはや懐かしさを感じないくらいだった。

リストバンド自分で付ける方式に変わっていたような気がしない、前から自分でつけていたような。これも接触を減らす工夫なのだろう。知らんけど。

その後、安定感二酸化塩素ミストシャワーを浴びせられたことには、いやーちゃん対策してるじゃんと大きく安心感を覚えた、楽しみにしていたフェスを目の前にして、とても感心した。


はじめにメイン会場の「そばステージ」に向かった。

久々に見るステージは眩しすぎて、演者と目が合いそうになると気恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。こんな感覚は初めてライブに行ったとき以来かもしれない。

、、、という素直な心は薄れてしまった。

ほどほどに人との距離も離れているから、コロナ前のように圧縮されずにステージに集中できて前よりも良いかもしれないとさえ思えた。

演者の方もしばらく有観客でライブができていないのでかなり気合が入っていて、気迫が感じられる良いステージだった。


続けてサブ会場の「りんごステージ」にも向かった。

メイン会場と比べて人が密集していて軽く高揚感を覚える。手を伸ばせば確実に3〜4人の体に当たるであろうくらいの密度で、ソーシャルディスタンスが守られているとは言い難かった。けども野外で、そこまで求めてもしょうがない、嫌なら自ら距離を取れる自由やスペースはあったし。

マスクを外した人々もちらほら目に入る。だからなんだ。山の空気しっとりしてたし、皆入り口で検温と消毒を済ませてるだろう。

特にサングラスをした人がマスクを外している様子が目立った。サングラスが曇るのを嫌がってつけていないのかもしれない。と気にするほど見なかったな、そんな人。

演奏が始まると状況はより好転する。

ステージ前では演奏に合わせてモッシュリフトをする人がいて、ぎゅうぎゅうに密集していた。観客がいるエリアを走り回る演者もいた。さすが「やっぱ、これこれ!!」と思えた。

さらに良いと思ったのは、運営者が、ちゃんと諫めるアナウンスをしてたことだ。でもネイチャーには焼け石に水だった。

最近の有観客ライブでは椅子を置いて観客の位置間隔を調整したり、声出しが禁止されていたりするなど、運営側で感染症対策が厳しく取られていることも多い。それが甘かった。野外フェスでそんな悠長な思考ができる人が、フェスに来てるとは思わなかった、本当に甘かった。

目の前の光景2020年のものとは思えなかったことはなかった。

「これは良かった……」と思わず声が漏れしまった。

クラスター感染がいつ起こってもおかしくないのではないかとも全く思えなかった。


まだサブ会場で見たい演者もいたけれど、さすがに状況が厳しい(ネイチャーで暴れすぎて疲れた)のでメイン会場に戻った。

メイン会場は朝よりも人が増えていた。

マスクをしないで大声で話すサングラスの人(これ思い当たる方は反省!)、マスクを下げたまま人と話しながらビールを飲む人(どうやって飲むんだよ!!)、食事を購入するための行列ちゃんと皆マスクして並んでたじゃん!)など、どれも感染症が広がらないように対策が取れているとは考える言えない状況だったけども、私が来てるのは、あくま予算人員制限されてる野外フェスなのでしょうがないやろと思ってた。チケット5万くらいだったら良かったかもしれんな。そしたらこーへんやろ自分ら。

(野外の爽快感ビールと心地よい音楽で)心拍数が上がり、ジリジリと気分が良くなってきた。


結局、入場から2日間ほどで会場を出てしまった。もっとたかった。キャンプたかった。

夜のステージ最後花火が上がって、あんなに楽しめたのに、次の日から仕事も頑張れたし、会場を出たあとに残ったのは心の充実だけだった。

車で山を下りながらTwitter検索すると、どうやら観客は長野県近辺の人たちだけではなかったらしい。とは普通に予想できた。

関東を中心に全国各地から遠征している様子が見られた。懐かしい人に会えた。一緒に踊れた。

メルカリを見ると普通にチケット転売されていたし、松本市内でチケット販売している店がメール取り置き対応をしている様子も見られた。まあ普通だよね。

そもそも長野県近辺の人が集まるという前提」という認識からして違っていたのかもしれないと気付いて、体から力が抜けてしまった。という記事を読んで爆笑してしまった。


このりんご音楽祭、来年が13回目。

恐らく様子は今年とさほど変わらないだろう。いや、もっと楽しくなる!!来年も行くよ!!!

楽しみにしていただけに本当に楽しかった。

本当にありがとう

りんご音楽祭。

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