話題の第8回シンデレラガール総選挙だが、夢見りあむのシンデレラガールはないと考えている。
夢見りあむは第8回総選挙のために生み出されたアイドルだが、彼女はシンデレラになるために生まれたわけではないからである。
順を追って説明していこう。
夢見りあむについて語るときに、直近で起こった事件で触れるべきことがある。
バーチャルタレントとしての魂の座をかけたバーチャル蟲毒である。
このイベントもまたいわば選挙であり、その構図は非常に似ている。
ヴァーチャル蟲毒において、彼女が盤面をひっくり返すための最初の戦術は、無課金勢という大衆に武器の使い方を教えたことだ。
当初のヴァーチャル蟲毒を独走していたのは、重課金の騎士に守られた姫だった。
重課金の完全武装の騎士だろうと、武器が鍬だろうと、10人ならば?100人ならば?1000人ならば?
ほら、見ての通りだ、寄ってたかれば勝てる、お前も参加しよう。
今回の総選挙とこの構図はよく似ている。
夢見りあむの票は、当然だがほかの上位勢のアイドルみたいな強力な騎士に支えられたものではない。
だがそのうえで中間3位という結果が、この総選挙においては本田未央すら”倒しうる”ことを知らしめた。
これらはもちろん純粋なファンもいるだろうが、興味本位や好奇心、運営への怨嗟や憎悪といったものがないまぜになった薄く広い票田
だ。
これはこれまでの総選挙のお題目だった純粋なファンに支えられてシンデレラを目指す、というストーリーへの巨大な一石だ。
起きた結果だけを見れば、同じように見える両者だが、決定的な違いがある。
りあむはキャラクターであり、意思を持った個人ではない、という点だ。
夢見りあむの言動は運営に完全にコントロールされたものだということだ。
りあむは声もないため、声優の暴走というイレギュラーも存在しない。
つまり、九条林檎の№5のそれはいわば運営への仕掛けだったが、りあむのそれは運営からの仕掛けなのである。
さてそういう見方でみると、夢見りあむの中間3位は別の意味が見えてくる。
彼女は、自然発生した台風ではなく、運営が意図した爆弾なのである。
夢見りあむは、既存の総選挙問枠組みの破壊者であることは間違いない。
夢見りあむの出現によって、アイマス界隈は不可逆の変化を遂げた。
だが、少なくともこの総選挙で生まれる最後のシンデレラには魔法をかけなくてはならない。
夢見りあむは1位でも2位でもいけなかった。
それでは構図が2位もしくは1位のアイドルとの一騎打ちになる。
シンデレラの魔法がかかるためにはそれがりあむに勝つためだけの票に見えてはならない。
りあむは4位以下でもいけない。
りあむが爆弾たりうるには勝てるかもと思わせなくてはならない。
3位がベストだ。
その場合、構図はりあむによる露払いによって否応なく発生した1位と2位の純粋な一騎打ちになる。
りあむは魔法を解いたがそれでもなおりあむに飲み込まれなかった二人は本物ではないか?、と思わせる。
上に2人いることで分かりやすい反りあむの投票先はその2人に分かれる。
つまり、りあむの対抗票として投じられるそれは彼女たちを汚さない。
そしてりあむが勝ってもおかしくない空気のまま、どちらかが勝てばよい。
ここまでくれば分るだろう。
りあむはけして悪くはない順位だったとは考えられるが果たして3位だっただろうか?
1位と2位の一騎打ちを演出するこんなに都合のいい道化がいるだろうか?
シンデレラにしたいアイドルのガチャブーストすらする運営をどうしてそこまで信じられる?
声がついた後、トップアイドルにも下積みにもなれずくすぶるアイドルが少なからずいるのに運営がユーザーに常に真摯であると?
そういう露骨な誘引より、もっと分かりにくく巧みな操作を行うようになったのだけではないか?
総選挙はアイマス最大のコンテンツである以上、票を単純に数えるだけのはずがない。
ドラマの生まれるかどうかわからない総選挙をするようなやわな運営だろうか?
断言しよう、いつからかはわからないが総選挙は間違いなく台本と筋書きがある。
しかし、これはエンターテインメントとして当然の帰結である。
むしろりあむ事変を計画的に起こしたのであればその手腕は大いに評価すべきだ。
きっとこれからもすごいコンテンツを提供してくれるのは確かだからだ。
運営の用意周到さはりあむが投入される前段階として声のあるSSRで実装された新アイドルの投入という実験を行っている点からも見て取れる。
新アイドルがSSRを背負い、声を持つこと、この反響を試したのだ。
いまのゲームは全キャラクターにボイスがついていてもおかしくない時代だ。
そのうえで、新アイドル全員に声をつけない、というのは予算などではなく、もっと大局的な戦略的判断であると考える。
声がついていて、SSRがあったから、それらをねたむ人間からは憎悪しか浴びなかった。
おそらくりあむの声優は既に決まっている。
りあむは明らかに火中の栗であり、燃え上がってから声優を打診するはずもない。
おそらく鎮火のための施策の提示も含めてのオファーが回っているはずである。
そのうえで、あえて、りあむは、声も、SSRも背負ってこなかった。
りあむが、シンデレラに憎悪を燃やす人間からの票を取り入れるためだ。
暴発寸前の彼らの票を投じる先を用意してコントロールする必要があった。
だがそれはシンデレラになるためではない。
彼女は炎上アイドルとして送り出されているが、実のところ家を壊してでも延焼を防ぐ火消しであるのだ。
彼女こそがシンデレラを最後の最後で守るた、最後の魔法使いだ。
だから、この総選挙で夢見りあむはシンデレラガールになることは絶対にない。
だが、彼女は死なないと私は信じる。
これまでアイマスというコンテンツが切り捨ててきた層(見向きもしなかった人を含む)をこそ夢見りあむという女の支持者にしてアイマスの世界に取り込むこと。
この負けるために生まれてきて、生きるだけで地獄の綱渡りするアイドルを、私は愛そう。
遥か空高く飛び立つ姿と同じぐらい、彼女が燃え尽きて墜落するまでのその姿を見てみたいと思うからだ。
まぁなにかまかり間違ってシンデレラガールになるようにことがあれば、それは私が夢をかなえたファンになるというだけなので、私は全然かまわないのだが。
うんち
知的障害者は早く病院にいけ