2018-01-30

ゲーム会社入社しても夢なんて作れない

数年前、某大手ゲーム会社入社した。会社については億万が一身元特定を防ぐため、嘘にならない程度にぼかしてあるのは許して欲しい。

ゲーム会社に入った理由単純明快で「ゲームが好きだから」だった。心に残るゲームを作りたいとも夢見ていた。名作は?と聞かれ名前が挙がるような。

実態は程遠い。まだ若手で経験が浅いという面もあるが、今のまま働き続けていても歴史に残る名作が生み出せる気はまったくない。

まず、会社で働いて作る以上、面白いかどうかより売れるかどうかを気にしないといけない。

コンシューマゲームの開発費も、最近スマホゲームの開発費も膨れ上がっている。

開発費が高いということは、会社としては当然それと同等かそれ以上のリターンがないと作りたくはない。

面白いイコール売れるという訳には必ずしもならない以上、作れるゲームは限られてくる。お金が稼げるゲームだ。ユーザーから評価で「面白かったです!」「続編待ってます!」という意見をたくさんもらえるようなゲームでも、数字が悪かったら続編が作られることはない。ファンの声より実際の数字の方が雄弁だ。

ソシャゲなら適当キャラがかわいくて確率が低いガチャ入れれば儲かるんだろ?」と言う人。ぜひ作って運営をしてくれ。そんな簡単はいかないから。

ソシャゲヘビーユーザーでも一日にプレイするソシャゲ数は限られているから、その限られた中にねじこめるようなゲームじゃないと企画が通らない。もしくはサービス開始から短期間で畳む羽目になる。

「どこかで見た○○のようなゲーム」「ガワ替えゲーム」は少なくとももう通じないのではないだろうか。結局のところIPに頼るしかなくなる。

さらに、何か少しでもまずいことがあると「公式」「ご意見フォーム」の向こうに人間がいると思われていないような罵詈雑言も大量に読む羽目にもなる。そのうち何も感じなくなるが。

次に、覚悟していたことだったが労働時間がキツい。

36協定を守っているのか疑わしいような部署が当然のように存在している。その部署会社的に問題になるかというと、なんと売れ売れのタイトルを作っているから特例として上層部から守られている。特権階級だ。アホらしい。世間の風潮と逆行している。

マスター前などが忙しいのはもちろん分かるし、毎日定時に帰れるなんて夢はそれこそ持ってなかったが、普段から人員数と仕事量が見合っていない。いくら世間が働き方改革と言っても、人と予算が増えない限り一生改善されないだろう。

自分が今作っているゲームが、自分が今まで全くプレイしないジャンルだったというのもモチベーションが上がらない要因のひとつだ。テストプレイデバッグ苦痛で、仕様アイディアに頭を悩ませても楽しくなくて、もちろんゲームの一ジャンルとして売られていると認識はしているが、誰が買うのかすら想像がつかない。勉強のためにとそのジャンルゲームを買ったが、やはり自分には合わない。例えるなら、スマブラカービィしか使えない初心者ガチ格ゲーを作らされてるようなものなので、スタートラインが遠すぎるのだ。

自分楽しいと感じられないゲームを、ユーザー楽しいと思ってもらえるにはどうすればいいんだろう。

仕事だと割り切って、どうにか自分のやりたいことをねじ込んで面白そうに作る先輩もいるが、到底自分には辿り着けない次元だ。若手が提案することなんて、FIX時には度重なる上司のチェックにより原型がない。それでもっと上の人にツマランこうしろと言われたらその通り直す。それが仕事だ。

やはり「会社である以上お金がないといけない、という理屈は覆しようがないほどの真実だ。

夢を作りたいという夢を見すぎていたのかもしれない。それでもあまりに悲しい。

全く興味がないジャンルの、お金を追求したゲームを作り、長時間労働のため帰宅するころには疲弊してコンテンツを吸収する時間もない。

こんな状況で夢など作れるはずもなかった。

一番夢を持っていた新人時代企画書を作りプレゼンをしたが、「これ、○○(弊社同ジャンル有名タイトル)より売れるの?」と鼻で笑われるだけだった。

転職も考えているが、プランナーというものは目に見えやすスキルがつかないし、特筆して得意だと胸を張れることがない。独学しようにも今これを書いてるこの時間が帰り道だ。身体を保つには時間がなさすぎる。このままずるずると、今の会社でなにかの塊を作り続けるのだろう。

もしこれを読んでいる人で、ゲーム制作に興味があり、作りたいものが既に自分の中にあるとしたら、インディーズで作ることをお勧めする。会社に入ってまで作る必要はない。

スキルがないと悩むプランナーなら早めに得意分野を見つけて頭一つ突き出そう。放っておくとこのように手遅れになるから

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