2012-03-22

化学物質過敏症から医療の主体って化学じゃなくて統計学じゃね的な伺か

http://anond.hatelabo.jp/20120321165303

「どうやら何かの人工物質が関係しているらしい」という所まで突き詰めた

どうやって???

良い疑問だね。

と、偉そうに書いてるけど、実は俺も増田みたいな疑問を持ったことがあって調べたことがあるんで、良い機会だからその話をちょっとまとめてみるよ。長いけど暇がある時に読んでくだされ。

あ。専門家じゃ無いんでちゃんとした奴に裏をとってください。増田に書いてある事を信じるのが許されるのは小学生までだよねー(AA略

まず一つだけ

化学物質」というのは辞書的な意味では全てのもの化学物質であるから、「化学物質過敏症」は全てのものに過敏だと言う意味になってしまうから不適切だ、と言う話は国語の問題、ネーミングの問題なので別の話だという事はまず理解してくれよ。言葉遊びじゃないんで。

ここは「化学物質過敏症」というのが特定の意味を持つ一つ語として扱う。シックハウス症候群やら、有機溶剤を扱う仕事に従事する人間労災として多く発生する各種神経障害なども十把一絡げに「化学物質過敏症」だと報道されて勘違いされることもあるのが面倒ではあるけれど、「全部おまえにやる」と言われて「全部って言ったら全世界すべてのもんだろ!」と反論するガキみたいな事を言っていてはお話にならないので。

突き詰めたってどういうことよ?

この突き止めたというのは、人工物が無い所にいると症状が出ないが、人工物に囲まれているところにいると症状が出る、と言う程度ですよ。きちんと作用順序が解明されているって話じゃ無いです。

それで除外診断というのは2種類の意味があって

  • 他に原因が無いから現状ではその症状に何の診察名もつきません
  • 他に原因が無いけれど症状があるので一応症状の名前つけました

と言う事で、この化学物質過敏症というのは後者の種類になる。

医師によっては前者の立場を取る人がいて、学会などでは前者の立場を取って「化学物質過敏症」という診断は学会として承認しないと言う立場が多い。

前者の立場を取る医師が、それを仮病・詐病だと言っている訳じゃ無い所に注意。つまりもっと適切に診断が分かれるはずだ」あるいは「別の病気、別々の原因で発生している症状である可能性が高いのに、そのような言い方で総括しては問題がある」という立場というわけだそうな。

一応症状の名前つけましたなんて、そんなのアリ?

アリ。おおあり。てか医療なんでそんなのごろごろしてる。

医学というのは科学的に理論性前途行われているように思われるが、実はかなり泥臭い分野で統計学が非常に重要な分野だったりする。

作用順序が解明されていないけれども統計的に明らかに効く薬や治療はたくさんあるし、何故発生するか分からないが統計的に明らかに発生しており病名がついているもの結構あるそうな。

その二つが組み合わさり「原因不明で発生する病気があるが、過去の知見からこの薬が効くことが分かっているので処方するが、実は薬が何故効くのか確定した理論がない」と言う病気も実はかなりあるのだとか。(当然すべてがそうだというわけじゃないので注意。原因、作用順序からからきっちりそろってるのもやっぱり多い)この典型が腰痛肩こりだそうで、その原因のほとんどが「原因不明」で対策のほとんどが「運動すると直る」「暖めると直る」「微弱電流を通すと直る」という話で実際それで十分なので臨床ではそんなもんで済まされていたりする。この辺りはいろいろと調べると面白いよ。結構目からうろこ医学ってものの敷居が下がること間違いなし。

逆に「何故効くのか」という理屈は先にある一方、統計的にきちんと事例を集めると効かないのが詐欺医療(って言うと最近は怒られるので、代替医療とも言うが大抵は詐欺まがい)やら健康食品やらの特徴だったりするので注意。

たとえば「抗癌剤を売りたいメーカ陰謀で潰されてるだ!」等とググると大量の陰謀論がひっかかる治療用の癌ワクチン免疫療法などはこの類いで、効く効くと言われているがつい最近癌ワクチンの開発を進めるベンチャー企業が行ったそれなりの規模の治験で有効性が否定されたりもしている。つまり、盛んに効く理屈宣伝されているんだけど効かない。あ、子宮頸がん予防のワクチンはここで言う治療用の癌ワクチンとは違いきちんと予防効果が立証されてます

(みんな大好き高級砂糖玉でおなじみのレメディとかは代替医療とすら言えないほど最近カルト化が激しいのであえて例にしない)

よーわからんけどなんか例無いの?

食中毒を考えて見る。

  1. たまに死ぬ奴がいる
    • この時点では「突然死ぬ病」という名前が与えられる。
  2. 死ぬ寸前に「夕食を食ったら死んだ」と言い残した奴がいた
    • この時点では「夕食を食ったら突然死ぬ病」と言う名前になる。
  3. 今度は死んだ奴はみんな、うきうきと茸取りをしていたと言う証言が得られる
  4. 茸を家畜に喰わせてみた奴が言った「赤い茸を食わせたら家畜が死んだ」
    • この時点では「赤い茸を食うと突然死ぬ病」という名前ができる。人々はこれに「毒茸」という名前をつけた。
  5. こういった犠牲の上にだんだん積み重ねられて喰ったら死ぬきのこリストができてくる。
  6. さら研究が進み、あるきのこに含まれるある物質人間にある種のアレルギー反応を引き起こす事が判明する
    • この時点で「××物質による中毒症」という事になる。

こう言った流れでだんだんと細分化されていく。

で、化学物質過敏症というのはせいぜいこの場合の2番目程度でしかないわけだ。これは素朴な民族伝承みたいなのを例に挙げたけれど、実際最先端医療でもやっている事は同じで、

  1. 症状が存在する
  2. 症状をしらべ、健康体と違う所や症状が発生する条件を分析する
  3. 似たような症例が無いか集め、症例の共通点を得る
  4. 共通点などから原因を抽出する or すでにその場で対処された治療法とその後の情報を収集売る
  5. 抽出された原因やすでに行われた治療の結果から統計的に一番効果が見込める有効な治療法を策定する

と言うプロセスほとんどで似てるよね。もちろん手法機械の発達などはあるわけだけれども、大まかなプロセスは一緒。たとえば集団公害事件などは

  1. 症状が存在する
  2. 共通点を調べる
    • 特定の地域存在している
    • 地域人間は日々その土地でとれた魚を食っている
    • 症状が出始めたのはばらばらではあるが、一定の年より前には発生がみられない
  3. 土地のものを片っ端から検査→なんか魚に水銀が含まれてるんですけど!?
  4. 化学工場排水から大量の水銀が…
  5. 水銀中毒

ってな事になる。

でもさ、予断があるんじゃないの?

そこが疑わしいよね。予断じゃないのか。

そもそも人工物質って何なのか、疑問に思わざるを得ない。そう思わない?

予断があるのは間違いないと思う。と言うか本当は適切な病名がつけられるべきなのに、何でもかんでも化学物質過敏症という事にしすぎという議論があって、便利すぎるわけで。医師人間なので「私化学物質過敏症だと思うんです!」と強く言えば、それを予断として持ってしまって不適切な診断を下してしまうこともあり得るかも知れない。化学物質過敏症を扱う人の中には「化学物質過敏症という概念が広まったことで、潜在的に存在しいていた患者が表に出てきた」と宣伝している人もいるけれども、こんなおおざっぱな概念でそれはねーよと思うし。

しかし「診断の結果、一括で怪しいとされる物質が極力出てこないようにコントロールされた場所だと症状がでないが、通常の場所にいると症状が出る」ということが一定存在する事は事実であり、それらを便宜的に「化学物質過敏症」と呼ぶ必要はある。統計的に症状があることは明らかなので。そう言う意味で本当はもっと違う適切なネーミングがされるべきなのかもしれないけど。

からできるけ、ここから症状が出る物質を一つずつ入れたり出したりするとかして実験をしたり情報を集めたりして、この大ざっぱな括りに含まれるものを除外していかないといけない。もちろん、そこにはブラセポ効果的なものを含む影響も確認する必要があって、ブラセポ効果によって大方の症状が治まるのであればそれは神経性やら心因症(決して詐病という意味では無い)だという診断も含めて行わなければならない。つまり「詳細がわかってねーからこう呼んでるんであって、詳細がわからねーからこう呼ぶなってのはねーよ」と言う訳である

いろいろ面倒なんだよねこの辺り。

まぁ一つだけ言える事は「化学物質過敏症煽りまくって荒稼ぎする悪徳医師モドキやら、詐欺師共はさっさと捕まれ」という事に尽きるわけですけどね。こう言う多種多様ものをひとくくりにしたようなものはそう言う輩が沸きやすいので。

記事への反応 -
  • ってさあ名前からしておかしいと思わない? だってそうでしょう「化学物質」って何だよ。 化学物質でない物質なんてこの世にないよ。持ってきたら賞金出すってRSCも言ってたよ。 特...

    • 「除外診断」というやつだからでっかい概念になっちゃうのはあるていどしゃーないよ。どうも原因が分からないけど何か特定の物質がキーになっているらしいというものを丸ごとぶち...

      • 「どうやら何かの人工物質が関係しているらしい」という所まで突き詰めた どうやって??? そこが疑わしいよね。予断じゃないのか。 そもそも人工物質って何なのか、疑問に思わ...

        • 「どうやら何かの人工物質が関係しているらしい」という所まで突き詰めた どうやって??? 良い疑問だね。 と、偉そうに書いてるけど、実は俺も増田みたいな疑問を持ったこ...

          • ろくに読んでないが一点だけ。 「化学物質」というのは辞書的な意味では全てのものが化学物質であるから、「化学物質過敏症」は全てのものに過敏だと言う意味になってしまうから...

            • つまり 「全部おまえにやる」と言われて「全部って言ったら全世界すべてのもんだろ!」と反論するガキ ですか。 馬鹿が辞書に拘って定義した辞書的な意味での脳内化学物質過敏症...

              • なんだこれ俺に切れてるのか。 化学物質過敏症の「化学物質」ってなんやねん、というツッコミが「全部おまえにやる」と言われて「全部って言ったら全世界すべてのもんだろ!」と反...

                • 化学物質過敏症になるような人間と俺とでは違う 化学物質過敏症を別の病気に置き換えてみると、自分がどんだけ無知なことを言っているか良く理解できると思うがどうか。「鬱病に...

                  • やっぱ話が通じねえなあ。 鬱病になるようなになるような人間と俺とは違う、とか、そういうことじゃないんだよ。 要するに何らかの症状なり不定愁訴があるわけだよ。そのことは、ま...

        • "ホモ・サピエンスがまだその存在に適応していないが、人類の活動によって増えた物質" ってところなんじゃないか それを変に煽る人がいるので面倒な概念だとは思う 微生物(これまた...

          • それを変に煽る人がいるので面倒な概念だとは思う っていうか化学物質過敏症の人って変に煽る人ばっかりだよね。 原因の物質が特定できるならそもそも化学物質過敏症ではない。 ...

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