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2013-08-04

いうほど国は何もしてないのか?〜エイベックス松浦氏ポエムに寄せて〜

https://www.facebook.com/maxmatsuura5/posts/280056632132977

はてブで話題になっていたエイベックス松浦氏Facebook投稿

投稿本文そのものちょっと呆れはしたものの、まあ誰しも税金払いたくないからね、という一般的感想しかなかったのだが、コメント欄で本人が、

税金を払いたくないわけじゃない。ちゃんとしてくれと、言ってるだけさ。

国民のためにちゃんとしてくれるならば喜んでもっとたくさん払う!


みたいなことを書いていて、残念な気持ちになった。


ちゃんとしてるなら税金喜んで払う?え?そうなの?

本文ではそんなこと一言も言ってなかったのに?


そもそも国がどのくらいちゃんとしてないか分かって書いてるんだろうか。

ニュースワイドショー政治家がーー官僚がーーと言われているその印象だけで喋ってるような軽薄さ。


「国がエンタメになにしてくれたか」って言ってるけどなんの話?

CDが、浜崎が売れなくなったのは国のせいなの?で、補助金しかったの?

補助金がないとやってけないならその程度の仕事しかしてこなかったってことじゃないの?

まあ「税金払いたくねー」というだけなら十人並みの愚痴としてまだわかる(それに金魚のフンみたいのがいっぱい「いいね!」してるのは意味わからんが)。

それで終わりにしておけば「そうだね」で済むのに、有名人文化人として格好いいこと言っておかなきゃみたいな色気が出てしまったのか。


はたして今の「増税不可避」は国がしっかりしなかったから招いた事態なのか?

ここからちょっと真面目モードで。何はともあれ国の仕事っぷりというのは「予算」で読み解くのが基本なので、それを見てみることにする。

いや、読み解くというほど大層な話はしない。ほんのさわりだけだ。


さて次の表は平成25年度一般会計予算、歳出の部。

92兆円の歳出に対して、ここには書いてないが税収は43兆円。

不足分49兆円のうち43兆円は借金国債発行)でまかなうことになっている。

元本返済(下表の債務償還費)12兆円の4倍弱の額をまた借金しようということだ。


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国債費          22兆円(24%)

        利払費等 10兆円(11%)

       債務償還費 12兆円(13%)

地方交付税交付金     16兆円(18%)

一般歳出         54兆円

        (内訳)※1兆円を超えるもの

       社会保障費 29兆円(31%)

       公共事業費  5兆円(6%)5.2兆

     文教科学振興費  5兆円(6%)5.3兆

       防衛関係費  5兆円(5%)4.7兆

         その他  8兆円

   食料安定供給関係費  1兆円

    エネルギー対策費  1兆円

──────────────────

計            92兆円

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このひどい予算は、多少の増減はあれど、ここ数年ずっとこんな感じ・・・いや、ただふたつ、国債費と社会保障費は増え続けている。

で、肝心な92兆円の内訳だが、22兆円が国債費、これはつまり借金返済だ。

16兆円が地方交付税交付金地方自治体へあげるお金自治体県民税と市区町村民税を徴収してるのになぜそれと別にからもあげるのかといえば、自治体によって税収に差がありすぎて赤字自治体もいっぱいあったり大変なので、再分配しますねーということだ。

次に社会保障費で29兆円、言うまでもなく年金給付医療健康保険等)、その他(生活保護等)に関する支出年金医療も、国民年金健康保険料として払っているのに、なぜ一般会計から支出するのかといえば、年金健康保険だけの財源では足りないから。

さて、ここまで合計で67兆円。92兆円のうち73%もの額が、基本的にはすべて「お金がないから」やむを得ず発生する支出となる。

そして国債費も要するに社会保障費を賄うために膨らんだものという経緯を考えると、少子高齢化という日本社会構造の変化が日本財政を直撃し、増税やむなしの流れになっていることがわかる。

地方交付税交付金にしても、地方財政逼迫の主な原因は他ならぬ少子高齢化だ。


要するにそういうことなのだ別に政治家役人がさぼっていたわけではない。

医療の発達で高齢化少子化必然であり、経済発展少子化を促進するのも日本特有のことではない。

ちなみに出生率2005年の1.26から2011年1.41まで緩やかな回復傾向にあるのは、まだ不十分ながら少子化対策が形になって現れてきたとも考えられる。

もっと前の段階から少子高齢化政治行政でなんとかできたじゃないかという議論もあろうが、バブル景気で我が世の春を謳歌してきた国民責任がないと言えるのか。

バブル崩壊後も、たとえばIT分野で芽生えた新しい産業の息吹を官民よってたかって叩き潰したのはなんだったのか。

貧困層富裕層も「増税には常に反対」するという、こんな国民ばかりで、まともな政治、まともな政策の実行が可能なのか。

貧困層は「消費税は逆進性があるので反対」、富裕層は「所得税モチベ下がるので反対」「相続税モチ(ry」、企業も当然「法人税増税反対」。

あのー消費税所得税法人税でだいたい税収の8割弱占めてるんですけど、じゃあどこ増税したらいいんでしょうかね?

たばこ?酒?ふたつ合わせても2兆円そこそこでいくら増税してもたかが知れてるんですけどね。


増税がだめならムダ削減ですね。もっともっと仕訳やりましょう。

・・・で1兆円くらい削減できたとしてなんか変わるんでしょうかね?

特定の政治家はそれですごーく名前売れて喜んだと思いますけど。

実際は数千億の削減だった?国家予算全体からみたら焼け石に水だよね。


脱線したが件の投稿の話。

政治行政が「真に国民のため」に動くならば、やはり増税は避けられず、問題は「いつ増税」「なにを増税」「どのくらい増税」であってその議論は多いにやればよいと思う(あとはもちろん少子化対策ね)。

だがこの松浦某のように「国がちゃんとやれば喜んで払うよ」などと知ったふうなポーズをとりつつ本音は「払いたくねー」というのが企業経営者とは呆れるばかりだ。

企業経営してるなら、というか選挙権のある大人なら日本財政の現状やそこに至った経緯は、上に書いたようなざっくりレベルでまずは構わないから頭にいれておくべきだと思う。

日本人として常識だと俺は思っていたこのレベルの前提知識が氏にもあれば、あんな投稿恥ずかしくてできないはずだ。


毎年10兆円借金返済してるそばからあらたに4、50兆円の新しい借金をしていて、その主な原因は少子高齢化だという、そこを議論のスタート地点にしないといけないはずなのに、のんにのんきなポエム書いててまったく幸せな人だと思う。ただもっとエイベックス社員幸せも考えてあげてください。

松浦氏はあの投稿に「いいね!」してくれる取り巻きの外に、もっと大切にすべき人たちから軽蔑視線が(おそらく大量に)あるであろうことを知るべきだ。

 
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