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2019-11-28

例のヘルメット事案

例のヘルメット事案を正確に理解してもらうために、

JIS規格JIS認証JISマーク)の違いについて説明したいと思います

ISOJISの「9000番台」を知っている人は読まなくていいです。いつもの通り年度末に一緒にゲロ吐きましょう。

  

さて、今回問題になっているJIS規格、それは「JIS T8133 乗車用ヘルメット」です。

まずはJIS規格原文を読んでください。JISC公式webから検索すると読むことができます

https://www.jisc.go.jp/index.html

読みましたか?読まなくていいです。

Chromeでは読めないうえ独自ビューアのUI/UXがクソなので業務必要でない限りアクセスする必要はありません。

  

さて、重要なのはJIS T8133 乗車用ヘルメット」において記載されているのは、

ヘルメット定義および試験方法について」のみです。

例の会社やらかした「品質保証」については何も規定されていない、ということです。

  

ではなぜJIS認証が取り消されたか

それは「規格」と「認証」が違うからです?違うとはなにか?今から説明します。

  

JIS規格を通った」という表現をする場合

それは「JISに定められた試験を全てパスした」ということのみを表します。

  

まりどういうことか?

「試作スペシャル特注品がJIS規格を通った」というケースと、

「量産品の中の特にデキの悪いヤツでもJIS規格を通った」というケースの差が表せないということです。

製造業での品質不正のよくあるパターンのうちの1つに

たまたまよくできたヤツを抜き取り、試験に出して審査を通す」というものがあります

アカデミック世界ではチャンピオンデータとも言ったりしますね。

そういうものを「JIS規格通りました!データあります!」と、宣伝販売され、

実際はダメダメ製品が世の中に出回ってしまったらJISの信用は地に落ちてしまます

からJIS認証」、つまり品質管理体制基準審査をする必要があったんですね。

  

とはいえ、星の数ほどあるJIS規格認証業務すべてをJIS協会が面倒見ていられないので、

実際はJIS協会から厳格な審査を受けた「認証機関」が代理で各企業審査をすることになります

今回、経産省プレスリリースで出てきた「一般財団法人日本車両検査協会」がそれです。

  

さて「JIS認証」は2段階になっており、

ヘルメットのような各種JIS規格への適合確認審査 と、②品質管理体制基準審査

この2つをクリアして初めて「JIS認証」を取得し、JISマーク製品に張り付けることができます

①は規格ごとに高度な専門性必要であり、これが各種認証機関認証業務委託するモチベーションでもあります

実をいうと、JIS協会基本的に取りまとめ役で、実際にJIS規格を作るのは規格を使う側の企業大学先生です。

だって世の中で一番詳しい人たちが相談して使いやすい規格作ってもらったほうが良くないですか?これは世界中どこの工業規格も同じです。

  

話がそれましたね。

②これは製造工程品質保証プロセス企業自身に申告させ、認証機関が激ツメするというプロセスです。

具体的には、製品のチェック、チェックの記録、チェックする機械設備点検校正精度の検証工程、チェックする人間への教育、それを監査する人間のウッこれくらいでいいですか

  

①はJIS認証受けるうえであたりまえとして、②のほうがシンドイです。

なぜなら②は製造を続けるかぎりずっと維持管理改善していく必要があるからです。

一度、①をパスする製品を作ってしまえばあとは「品質を維持するだけ」のはずですよね?

実際は原材料の変化、メーカー廃業工場移転さら現場人間の入れ替わりがあっても品質を維持し、

設備老朽化設計の変更にも対応しつつコストダウンもしなければなりません。

  

これのために製造業サラリーマンは日夜、魂をすり減らしています

特に不良品が許されない特定業種の現場は魂のすり減り具合が激しいともっぱらの噂です。知らんけど。

そしてこの品質保証品質管理は、毎月部内監査や半期の社内監査や、数年ごとに外部機関による審査や、今回のように抜き打ち検査で定期的に激ツメされ ウ゛゛ッ

心の傷が開いてきたのでここらへんでいいですか?終わりたいです。

  

21世紀の「まともな」製造業なら、製品品質保証(と品質管理)がキモであるということを当然知っており、

また、こういった品質への取り組みが、Made in Japanブランドを作った日本お家芸(であった)ということも知っています

  

から自動車業界や素材メーカ品質不正問題が連日ニュース報道されていたわけです。

  

さて、だいたい言いたいことがわかってきましたね?

JIS認証剥奪されるということは、JISを満たす品質を維持する能力が無いということ。

昔は知らんが、これから未来、どういう品質製品を出すか、JIS協会(と認証機関)は責任持てませんよ。ということです。

  

胃が痛くなってきたのでストロングゼロを飲んで寝ます。以上です。

ついでに言うと、例の会社ISO9001:2015取得しているみたいですね。品質マネジメントをえらい頑張りはっとる会社さんどすなぁ。

  

参考文献を置いておきます自習するように。

https://www.jisc.go.jp/app/mark/general/GnrCertificationRecipientConditionList?toGnrCertificationRecipientList

https://www.jqa.jp/service_list/jis_a/

 
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