2023-08-17

地方文化教養みたいな話

少し前に東京文化地方都市文化、みたいな話題増田で盛り上がっていた。

大体、こういう話題オチ東京は消費文化に過ぎないとか、クラブカルチャーのようなもの地方都市では生まれ得ないといったマウント合戦になる。

お盆帰省していたので亡き父の書斎の整理をしていた。

我が家地方都市自営業地主階級ではなく、単なる1代限りの商売をした層だ。自分は継がずに東京サラリーマンをしている。

そんな父はエスタブリッシュメントではないが、書斎職場倉庫に優に2万冊を超える書籍を残していた。

思い出せば父は休みの日は本を片手にソファで寝っ転がっていた。インテリ風な見た目、オシャおじな見た目では全くなかった父は、家族以外の他人からはいつも印象と蔵書量がピンと来なくて驚かれる。

まり父と本の内容や政治経済の話をしないので、読んでいた本の傾向はわからないが、いわゆる雑食型だと思う。そもそも大学教授地方研究家というわけではないので雑食で問題なかろう。

もともと経済学部出身だったこともあり、経済関連の本は多く、地方都市のただの自営業者にもかかわらず世界経済に関する書籍が多いのは少し笑った。実学よりも知識欲だったのだと思う。

とはいえ堺屋太一立花隆村上龍などの著作はかなりあり、好きだったのだろうと思わされる。

もともと文学少年だったようで、小説が最も多く、1万冊程度、あとは歴史が好きなので歴史関係書籍が数千冊、経済思想美術あたりが多い。子供東大に入れるための教育法、不動産投資で失敗しない方法みたいな本棚に並べるのも恥ずかしい本もあって笑える。そのあたりも雑食で好感が持てる。文学自分が全く知らない著者や世界文学の本もあり、なかなかの教養を伺わせる。生前にいろいろ聞いてみたかった。

理系の話がわかるようになる本、大学受験用の数学物理生物参考書大学以降の化学教科書東京化学同人とか)もあって、このおっさんはどこに向かおうとしてたんだと思う。コンプレックスかもしれないし、学生時代に身につけられなかったことを少しずつ勉強していたのかもしれない。よくわかるレアメタルの本、とかよくわかるEVの本みたいな仕事と全く関連ない本も読んでいて本当によくわからない。付箋がついているので読んでいる跡はある。

画集詩集も多く、このあたりはまったく詳しくないのでどう評価したらいいのかわからない。でも、昔から美術は好きで、海外にはよく美術館巡りをしていた。ルーブルに3日連続で通ったあとに、全然見れなかったからまた来たいなぁと言っていた。その想いは叶わなかったけれども。

私が知る限り、父には友人らしい友人はいなかったし、小説を書いて応募したという話は聞かないし、金儲けで成功したという話も聞かない。せいぜい母と私と兄を養ったという我が家にとっての偉大な功績があったくらいである。

父の仕事に直接関連する書籍は蔵書の中の1%未満であり、父は人生可処分時間の大半をステップアップや成長のための読書ではなく、趣味のための読書自分のための読書で過ごしている。父が得た知識理解はどこにもアウトプットされることなく、灰となって消えてしまった。

そして、これが地方文化の一つの形ではないかと思う。

もちろん地方都市に父のような生活をしてる人が大半だなんて言うつもりはない。おそらく少数派だ。しかし、人口20-30万人くらいの小さな地方都市には大体、父のような人間がいるものだ。

東京大阪にもいる、という話ではない。そんなのいるに決まっている。

地方都市自営業者のような世間的にはそんなに尊敬される、すごいと思われるわけではない職業についた人々が、自身知的好奇心リブンで年収職業訓練になんの役にも立たないことをしている。そういうのも一つの地方文化だと思う。首都圏まれの人には想像しづいかもしれないが、いわゆる知識階級大学教授医師弁護士といった士業など)の肩書を持っていないが、準知識人(もしくはエセ知識人、隠れ知識人かもしれない)がそれなりに埋もれている、そういうことも知っておいてほしい。

  • 文化の話は関係ないんじゃない? そういう人がいたとしても、人と交流せず何もアウトプットしていなかったのなら、やっぱりその地域には文化がないということだろう。

  • 地方都市で大卒で家に書斎を作るって時点で教養の塊やん

    • 俺のお父ちゃんはすごいんだぞってマウント取りたかったんやろなあという話

    • 増田民の親世代の大学進学率は14%あたり。 地方ではさらに低かったはず。 農民漁民の大人数兄弟で中卒集団就職がマジョリティだったことを考えると元増田家は貴族だね。

  • 本を集めて読む教養はどこでもできるけど、気軽に美術品実物を見に行ったり、著者の講演会に行くことは地方では難しい。 地方しか知らない人はこの差を認識できない。

  • 文化を語り継ぐことが文明なのかもしれない

  • https://anond.hatelabo.jp/20230817224603 ワイ既婚子あり妻子と会話ない還暦前ジジイやけど、いま死んだら蔵書()から何を謂われるんやろーなー…

    • 😷ワイは蔵書一冊もないしPCに保存してるファイルもないやで

      • マスク増田さんは電脳空間を漂う儚い存在なのね(履くのはマスクだけ)

  • ちょうどお盆に法要的なやつ地方都市(30万-50万都市)で言ってきたけど、そんな感じのことあったな。 数少ないバーが、音楽推しのところで、来る常連さん20代50代の知識の深さと幅の...

  • >父が得た知識や理解はどこにもアウトプットされることなく、灰となって消えてしまった。 ここの言語センスいいね グッと来た

  • と、東京にだって美味いパン屋はあるんだ!

    • と、東京にだって美味いパン屋はあるんだ! これで東京をくさすことができてると思ってること自体が文化的貧困って感じ

  • 万単位の蔵書を集められるかどうかは地方都市がどれくらいの規模なのかにもよるかな。 Amazonが普及した今と違って、昔は実店舗に行かないと本買えなかったので大きめの書店が無いよ...

  • 都会の文化はすぐ成果物は他人から見てどうかって話になる(気がする)けど知識欲で閉じこもっててもいいんだよね。

  • 昔だから本だからよかった その点現代の地方のオヤジが死ぬときには YouTubeの履歴でひろゆきや中田敦彦で熱心に勉強していた姿が発掘されるから悲しいね

  • 教養を馬鹿にする子供が育ったことだけは残念だね

  • この辺は高校や大学で使った本なのではないの? 大学受験用の数学や物理、生物の参考書、大学以降の化学の教科書(東京化学同人とか)もあって、このおっさんはどこに向かおうと...

    • 😷ワイは高校大学も小中学校も教科書類は全部捨てたやで

  • 「準」は付かねーよ 出る機会に恵まれなかっただけ 2ちゃん的言い方だと野良の知識人、って奴 ご父君のことは誇りに思って生きていってほしい 含むところがなければ、だが

  • 「地方文化」って単語があるとして、都市文化との比較として使われるか、その土地固有の文化またはその集合を指して使われるかの2つだと思う。なので「自身の知的好奇心ドリブン...

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