2021-03-19

青春売春

初体験は15歳で、ネットで知り合った名前も知らない自称バンドマンの車の中だった。

会うまでの経緯とかはあんまり覚えてなくて、カラオケに行こうってことで出会ったと思う。20歳バンドマン学校帰りに制服のまま指定された駅に向かって、迎えに来た自称バンドマンの車に乗った。助手席に乗り込んでから顔を見ると、明らかに20歳ではなかった。"おじさん"って感じでもなかったから30歳くらいだったんじゃないかな。髪が長くて確かにバンドマンっぽくはあった。「制服かわいいね」「そうですか?」とか適当なこと話して、10分くらい車に揺られて、カラオケ行くのかと思ってたら車は人気の少ない路地に止まった。その時にいろいろと察した。

さすがに今から逃げるのは無理だろうと思って、男の言う通りにした。車の中は狭いし、男はハアハアしてるし、早く終わらないかなってずっと考えてた。

終わって、そろそろ帰らないと親に怒られますって言ったら、男はそのままさっきの駅まで送ってくれた。股に違和感があって、電車座席に座ったときに「おお…」となった。

その男と会うことはもう二度となかったし、名前もわからなければ本当にバンドマンなのかどうかも結局わからなかった。バンドマンであろうがなかろうが最早どうでも良かったけど。

そこから少しして売春を始めた。出会い系サイトとかじゃなくて、掲示板。年齢体型プレイ内容希望額とかを書いて募集するんだけど、そのまま書くんじゃなくて独自ルールというか書き方があって、面白い場所だった。机の引き出しの中に貯めたお金はいしか凄いことになってた。

掲示板での活動限界を感じて、まだ見ぬ客を求め新天地を目指した。結果的に言えば、そこで稼ぎが爆発した。既にその言葉自体存在していたのかもしれないけど、当時「パパ活」なんて誰も言ってなかったと思う。サポとか援とか、キャバ嬢風俗嬢なら裏引き直引きとか、そう言う感じだった。掲示板でのやり方に慣れていたから、新天地では探り探りのスタートだった。これで駄目だったら別の方法を試してみようって軽い気持ち募集をしてみたら、掲示板の頃とは比べものにならないくらいの物凄い数の連絡が来た。全部見きれないくらいの量。ビビった。しかも初回の募集だけ爆発するのは分かるけど、それ以降も爆発しっぱななしで、適当な台に座ってレバー叩いたら直撃してそこからずっと継続みたいな。

一番嬉しかったのは、大量の連絡の中から客を選べるところだった。1人からしか連絡が来なかったら不安でもその人と会うしかない。でも10から連絡が来ればその中から良いと思った人を選べる。

この「良いと思った人」ってのも、「ちゃんと待ち合わせに来てくれそうな人」「提示額より高額を支払うと言ってる人」「年齢・容姿」とか色々あるけど、最後カン100%は無理だけど、慣れてくると90%くらいの確率で変な人を弾ける。ただ、この人なら大丈夫だろうなって思ってた人に待ち合わせバックれられるってことは何回かあった。でもそれは仕方のないことで、怒りも悲しみも感じなかった。丁寧な釣りか、待ち合わせ場所で遠くからわたしを見て「違うな…」ってそっと帰った人だろうから釣りに関しては100パーは見抜けないし、わたし容姿が気に入らなかったならもうどうしようもないもん。逆にごめんって思うよ。

まあ、そんなこんなで固定客と会ったり新規出会ったり。最後まで危険な目にあったことは一度もなかった。ホテルわたしが選んでたし、シャワーも一緒に浴びてたか盗撮はされてないんじゃないかなーと思ってる。分かんないけど。待ち合わせ場所で遠くから写真撮られてたってのはあるかもだけどね。

キレて怒鳴ってくる人とか乱暴プレイする人とかお金払わないってゴネる人とかいなかったのは有難いっていうか、運がいいのかなーって。

プレイ前提で会ったはずなのにご飯食べてお金くれて解散して、その後何回会っても一回も触ってくることなく一回のご飯で30万くれるような不思議な人もいた。

パパ活って言葉流行り出して、自分より若い子がいっぱい出てきたあたりで売春は完全に辞めた。固定の人、常連さんにも連絡してすっぱり卒業

 

彼氏ができたことは一度もないし、これから先できることもないだろう。なんかもう一生分のセックスしたなって思う。あんなにしたのに、もうセックスがどんな感じだったのか思い出せない。

パパ活女子アカウントをたまに見たりするけど、感覚全然違うなってびっくりする。確かにパパ活売春、援交は全く違うものなのかもしれない。本心は知らないけど、パパ活を何か素晴らしいものだと演説しているパパ活女子を見てると違うと思わざるを得ない。おしゃれなアフタヌーンティー画像ハートスタンプで加工した札束ブランド品、切り取って晒す気に入らない「パパ」とのライン。やってることは同じでも、こうも違うのかと驚かされる。

パパ活でも援交でも、個人による売春危険だらけだ。当たり前だけど何かあったときに誰も助けてくれない。

売春してたとき風俗嬢の知り合いに「どうやったらそんなに稼げるか教えてほしい。風俗は客も選べないし店に半分取られるから勿体なく感じる」みたいなことを言われたことが何回かある。やめたほうがいいと思うと最初は流してたが、あまりにもしつこいので少し話したら、それからの子は事あるごとにわたしに助言を求めてきた。

「こんなことを言われた。なんて返したらいい?」

「嘘がバレた。どうしたら誤魔化せるかな」

「今もらってる額を引き上げたいんだけど上手い方法いかな」

そんなの、自分で考えろと。わたしはその客を知らないし、万能な答えなんてないし、それで何かあったらわたし責任取れないし。

結局その子は「本当にそれはやめた方がいい」というわたし最後忠告無視して大変なことになり、風俗に戻っていった。

そもそも風俗だって危険だ。店も完璧女の子を守ってくれるわけではないのに、誰も味方がいない個人売春なんて誰だって遅かれ早かれ危険な目に遭う。慎重だったのもあるけど、わたし場合運が良かっただけ。

風俗よりリスクがあるから手取りが増える。当たり前すぎて忘れてしまったのだろうか。

パパ活ブームの真ん中にいるパパ活女子たちは、いま何を思うのだろう。

女として一番美しい時期を全て売春に費やして、それでもわたしはまだ生きているし、これからも死に向かって生き続けなくてはいけない。

青春は終わった。

自分でもろくでもない青春だったと思うけど、違う青春を過ごしている自分の姿を少しも想像できないのが、今となってはなんだか面白く感じる。

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