2019-09-01

さよなら課金戦士

時は戦国、大ソシャゲ時代

新しいコンテンツが生まれゆく傍ら、命を落とすコンテンツもある。

オタク同士が推しコンテンツを勧め合い、アクティブユーザーという名の陣地を広げる。

そして、コンテンツサービス終了はソシャゲを嗜む者ならば1度は考えたことのある悲しい未来ではないだろうか。

これはとある国で林檎をもぎり、スマホタップする戦士の悩み。


1年前、私生活が辛くて仕方がなかった私は死にたい毎日思っていた。

当時大好きだったコンテンツは流れが早くてついていけず、心の安寧のためにコンテンツから離れた。

でも、根っからオタクだった私は何かしらのコンテンツに触れていたくて何百回と聞いたアニソンイヤホンから垂れ流していた。

新しい情報を体内に取り込む気力は無かった。アニソンは耳とイヤホンがあれば良い。

毎日ログインに追われることも無いし、ストーリーを読む必要も無かった。ガチャの結果に一喜一憂することも無い。

歌で延命するオタク。歌は祈命。


イヤホンからアニソンを垂れ流す引きこもりだった私は、某アイドルプロデュースコンテンツ男性アイドルver.(以下M国)に出会う。

アイドルコンテンツは良い。歌があるから

耳とイヤホンがあれば良い。

iTunesで気になったユニットの曲を片っ端から購入して、朝から晩までM国の曲を聞いた。

しかった。新鮮だった。未来への希望に満ちた歌。届けたい言葉がある。前を向くための理由がある。

背中を押されるってこういうことなだって思った。コンテンツを詳しく知らなくても楽しめる歌は素晴らしいなと思った。

歌を聞く余裕しか無かった私に、この歌を歌うキャラクターを知りたいという気持ちが遅ればせながら湧いた。

そこからは早かった。

からコンテンツに入ったので音ゲーを先にインストール。引くほど簡単音ゲーを何度も練習してユニットと歌をイコールで結んだ。ユニットを覚えてからは、ストーリー重視のゲームインストール雑誌をたくさん読んでキャラクター内面を知っていった。

担当ユニットが出来た。ファンとして応援したいキャラクターが出来た。

冬を迎える頃、引きこもりは外に出た。

課金戦士になった。


私には、学生時代大好きだったソシャゲサービスを終了した経験がある。

そのソシャゲアイドルコンテンツだった。

課金戦士になり得る力を持ち合わせていなかった私はオネーサンたちのおこぼれでゲームをする無課金ユーザー。働き始めてやっと課金が出来る。恩返しが出来る。と、思った矢先のサービス終了。

サービス終了は呆気ない。

それまでに貯めたダイヤも、ゲーム内で使えるアイテムも、私に向けて笑ってくれたアイドルも今じゃ開かないただのアイコン。それでもアンインストール出来ないかオタクの恋は難しい。

どんなに製作会社が大きくても呆気なくサービスが終わることを私は知っている。

まりがあれば終わりがある。でも、その終わりを長引かせることは出来る。

課金コンテンツ延命だ。

から私は課金戦士になった。

でも、このままM国で林檎をもぎりながらスマホタップする未来不安を覚えたので今筆をとっている。

もう少し話は続く。

M国の課金戦士になった頃、心に余裕が生まれた私に友人がとあるゲームを勧めてきた。奴は陣地を広げるつもりであった。

勧められたゲームは、潰れかけた劇団を再興するために役者たちと苦楽を共にするストーリー(以下A国)でフルボイス。

繊細に描かれる役者たちの人生。フルボイス。耳とイヤホンがあれば良い。

私は所謂シナリオゲーが苦手だった。

ちまちまと画面をタップして話を読み進める行為が好きになれなかった。それならいっそのこと音読してくれといつも思っていた。

から、A国のメインストリーがフルボイスなのは大変助かった。

何より演者の芝居を耳で実際に感じることが出来る経験が新鮮だった。

このキャラクターはこの脚本を、言葉をこんな風に感じ取ったんだ。傷ついたんだ。泣いたんだ。笑ったんだ。演者息遣いひとつに"生"を感じた。

そして、A国ではキャラクターが歌を歌う。

アイドルコンテンツでは無いけれど、公演にちなんだ歌を披露してくれる。ソロ曲グループ曲、全体曲もある。

歌に命を救われた私がハマらないわけが無かった。

今日、A国のライブ映像を見た。

ただ一言、凄かった。

ビックリした。歌に合わせて用意されたキャラクターと同じ公演衣装。めくるめくバックモニターの映像。歌毎に装飾が変わるトロッコ。火も上がった。スモークもでた。

"課金"が活きていると思った。

目に見える形で課金の成果が出ている。

M国のライブはどうだろうと思った。

M国のライブ映像しかたことが無いけれど、M国のライブはどうだろう。

前のライブ映像でも聞いた歌、見覚えのある振り付け。作りの甘いモニター映像。布まで安っぽく見えてきてしまう。

私がした課金はどこに活きているんだろう。ゲームライブアニメコラボ?なんでも良いか演者気持ちよくステージに立ってもらいたいと思った。悔しかった。


1年しかM国で生活していない。

それでも、この国の作物が少ないことは分かる。大母体は肥えた土壌のはずなのに実らない作物。水をあげてもあげても干からびたままの大地。水をあげすぎて根が腐ったのかも知れない。

痩せた土地で立派な実は実らない、と誰かが言ったけどコンクリート出身の強い果実に最終的には負けてしまった。

課金が活かされる日は来るのだろうか。

後発組のアニメが作られる日は来るのだろうか。もっとスムーズな踊りを画面越しのアイドル披露してくれる日は来るのだろうか。差別無く商業コラボを行える日は来るのだろうか。

コンスタントユニットとしての曲が出る未来はあるのだろうか。

A国は2期に分けてアニメを放映するらしい。1人1人にしっかりスポットを当ててストーリーを進めるのだろう。ゲームストーリー3部の配信も発表された。

舞台成功しているし、あのライブは間違いなく成功だろう。

課金コンテンツ延命だ。

サービスを終了させないためには課金という水を与え土壌を潤し耕す必要がある。

はいつまでこの国で戦士としていられるのだろう。

まずは来年ユニット曲を待つ。長い。

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