2018-02-03

小中学生プログラミング教材を作るとき気をつけて頂けると嬉しいこと

前提として「簡単HTMLJavascriptを扱えるレベルの方」というのとかたまに見るけど、そもそもスタートからし認識がズレているので、元教師から現実を伝えますね。

クラス生徒30人いるとして、8割の24人は50分授業の間に課題を終えられる、という前提で書きます

そもそもファイルという概念がありません。


スマホ世代なので、画像アップロードとかはわかるけれど、xxというフォルダからxxというファイルを開く、コピーする、そしてxxというサーバーフォルダに提出、という作業から教えないといけません。さらにいうと、ダイアログが使えません。

スマホとか慣れてるだろーっていうオジサン世代に、わかりやすくいうと、デスクトップ環境コマンドライン環境くらい、違いますそもそもデスクトップアイコンがないと、スタートメニューを押すことさえ気づきません。

ファイルという概念がないので拡張子という概念もありません、ですのでファイル形式という概念も??な子供ほとんどです。

これが現実です。残念ながら、大手ベンダーが大量導入した完成されたシステムを使って、パワポプレゼン、ワァ─o(。´・∀・`。)o─ィ♪うまく出来たねー、ワードプリント作り、ワァ─o(。´・∀・`。)o─ィ♪印刷できたね、が現状です。

学校アカウントという概念がありません。

管理する人が大変なので、「先生パスワード忘れましたー!」という子供が出たら50分の授業がそれだけで終わってしまうので、つねにゲストログインPCを使います。ですからクラウドで何か作業させるとか、Googleほにゃらら使わせるとか、まず無理です。クロームブックなんて夢のまた夢です。アカウントという概念がないので、サーバーサイドのサービスを使う授業なんて出来ません。

ネットむちゃくちゃ思いです、ブラウザはIEです。

ネット子供勝手YouTubeみて、ヽ(゚∀゚)ノ うぇ────ぃ♪ってならないように、教育委員会自治体プロキシーでチェックする仕様が多いので、そこがコケると地域みんなこけるという環境が当たり前。かりにそうでないにしても、どこかでアップデート始まったらもう大変なことに。先生遅いですー!ちょ、ちょっと待ってなさい!キンコーンカーンコーン・・・という環境でまともな授業なんて準備する気になりません。

ですからアプリ的にタッチタッチタッチワァ──o(。´・∀・`。)o──ィ♪で終わる、そして最後に成績つけられるように、何かしらの成果物が「紙」で出せる、「プレゼンして終わる」という流れで、先生は、あーやっと1学期\(^o^)/オワタ。というのが日常です。

そしてそれを誰かが解決しても評価は上がらないし、それをやる予算もないし、そもそもそんな折衝面倒だし、誰も改善しようとは思いません。Windowsアップデートとかほんと怖いですよね。

現場でやりくりする人たちがどういう思いで1コマをこなしているのか

ですからネット上に、多くの小中学生向けのプログラミング教材があったり、誠意で作ってくれたりするのですけども、ごめんなさい、現場はこんな感じなのです。

まり、この環境でも教えられる教材にしてください、ということが言いたいわけです。せっかく作っていただくからには。

ダメな子で、本当にごめんなさい。

とにかく公立の小中学校パソコンを教える、っていうことはこういうことなののを知ってもらえればと思います。今はみんな子供スマホやってるでしょーって思うのは間違っていないのですが、とにかく「ファイル」って概念がありません。せめて、投稿とかアップロードとかまでです。スマホに強くても、PCには強くない、ということです。

クラス生徒30人いるとして、8割の24人は50分授業の間に課題を終えられる、そして、そこで成績をつけなくてはいけない、というミッション先生はこなさないといけないのです。みなさんは好意で「xxを理解してもらう」というミッションで作られるかもしれませんけども、教師は「xx君の成績をつける」という目標で毎回毎回の授業をこなしていくので、そもそも目標が異なる、というところをスタートにしてもらえると幸いです。

好意で作ってくださってるかた、本当にすみません

追記:2時49分

はてぶコメントで、座学でアルゴリズムっていうのがありましたが、はい、そうです。座学が出来ればそれがベストですね。穴埋め問題とか試験も作りやすいですし。ただ、学習指導要領でとりあえずは実習のコマもやらなくちゃいけなくて、でも現場はそんな感じでこなすだけの実習です。

追記:2018年2月5日

ブコメで「「××の概念がない」「○○を知らない」の連呼だが、教えればいいのでは」という指摘がありましたが、ご指摘はもっともですが、年間指導計画のそれぞれの時期でのそれぞれの到達度が設定されていますので、それらを教えるにもそのリソースをどう捻出するかという問題も当然出てきますね。

追記:2018年2月7日

いろんな意見ブコメを見て思ったんだけど、皆さんどうやら40人以上の人間を同時に動かして同一ゴールを50分以内にさせる、という大変さの前提がわかってらっしゃらないのだと思った。そりゃそうだよね、人生でそういう経験はまず無いものな。セミナープレゼンはあったとしても、8割型アウトプット時間内に出させる、というところがまあ想像しがたいよね。40人に講義セミナーすることはあっても、同時に作業させる、というのはまずないものな。うーむ、そこですな。

  • 二十数年前の小学校のパソコンの授業からほとんど変わってない。。 なんか使えそうなの作れたらいいなぁ。。

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