ゲーム「ブルーアーカイブ(略称ブルアカ)」のファン界隈がちょっとザワメキたっている。ゲーム内に登場するキャラクターのSNSアカウントが、X(twitter)上に4年前から存在したという。公式の仕込みの鮮やかさたるや!
……という騒ぎだが、何点か気になる所があるので情報を整理したかった。
これは公式あるいは誰かを責める・咎めるつもりは一切なく、現状の情報を整理したいだけとを断っておく。
ひとまず以下の7つで整理したい。
終盤2つはただの言い訳なので、1.~5.までの実質5つ。状況によって追加したり削ったりするかもしれない。
1. 概要
2. 「このタイミングでの投稿はスタッフしかありえない」か?
6. 公式なの?違うの?
7. なにかダメなの?(そんなことはない!)
ブルーアーカイブ、略称ブルアカ。2021年2月4日サービス開始のスマホゲーム。
ここに登場する「キララ」というキャラクターは作中で「キラキラうるるん☆」(@kawaiikiraraddan)というアカウント名でSNSに投稿しているとされ、その初出は2020年7月17日のティザーPVだ。
(ちなみにこれは、現時点で作品公式youtubeアカウントに残っている最古の動画でもある)
上の動画の0:17に映っている、「みんな聞いた?連邦生徒会の…」から始まる投稿が「キララ」の投稿とされる。
今回話題になっているのは、この内容がX(twitter)上で2020年2月24日に投稿されていたこと。
https://twitter.com/kawaikiraraddan/status/1231927594875936769
リンク先を見ると、確かに投稿は「みんな聞いた?連邦生徒会の…」から始まり、ティザーPVの内容に一致する。
「ティザーPVで世に出るより約5か月も早く投稿できるのは、情報を持っているスタッフしかありえない!」
「ゲームがリリースされる遥か前から、こんな仕込みをしていたなんて!」
と話題になっているが……
というのも、ブルーアーカイブはかつて「Project MX」と呼ばれていた時代があり、当時リリースしたPVにも「キララ」の投稿があるからだ。
PVのリリースに触れているニュース記事も残っていて、2020年2月17日付でティザーPVを公開したと書いてある。
https://www.excite.co.jp/news/article/Inside_127480/
もうその動画は消えているが、Xを期間指定で検索してみると、2020年2月17~18日ごろから感想を呟いている人が沢山いることはわかるだろう。
Xを「project MX PV youtube until:2020-03-01」で検索したもの
https://twitter.com/search?q=project%20MX%20PV%20youtube%20until%3A2020-03-01&src=typed_query&f=live
このPVは(良くない事だが…)多数転載されており、中には2020年2月22日に転載されたものも存在する。
2020年2月17日だという公式の物は確認できないが、少なくとも転載動画が2020年2月22日、件のポストの2日前に存在し、「キララ」の投稿がちゃんと載っている。
なので、「2020年2月24日にあの投稿ができるのはスタッフ 『しかありえない』 」は違う。当時PVを見た人なら誰でも再現ポストができる。
ただし、「スタッフが投稿した」を否定するものではないことに注意。
スタッフかもしれないけど、「スタッフ 『しかありえない』 」ではない、という違いは強調しておきたい。
これは一目瞭然だ。違う。何故か一緒どと言う反応もあるが……
ティザーPVの「キララ」の投稿者名とユーザー名は、「キラキラうるるん☆@kawaiikirraddan」。
件の投稿のそれは「キラキラうるるん☆@kawaikiraraddan」
PVに映るのは「kawaii」、件の投稿は「kawai」、iが一つ足りない。ユーザ名は一緒ではない。
が、これによって何かを指摘できるわけではない。ファンならもちろん、公式アカウントでもiが一つ足りないものを使う可能性はあるからだ。
件のポストがあるアカウントが(プロフィール欄に表示される限りでは)2016年8月に開設されており、2020年の投稿どころか「もう7年半も前からブルーアーカイブは用意されていたんだ!」という反応もチラホラ。
2016年8月にアカウントがあったのは事実だろうが、果たしてそれがブルーアーカイブの仕込みであったかどうか……。
まず、ブルーアーカイブの開発が始まったのは2018年。これはスタッフらの様々な講演やインタビューで語られているが、確認しやすいのはこの記事だろうか。アートディレクターの講演を記事にしたものだが、開発が2018年3月に始まったと書かれている。
ブルーアーカイブの開発はネクソンゲームズだが、運営はYostarが行っている。ブルーアーカイブのファンは、ゲームを紹介するPVの冒頭で「ヨースター!」と声が入るのを何回でも聴いたことがあるはずだ。
このYostarが設立されたのは、公式サイトによると2017年1月16日だという。
ブルーアーカイブの統括PDとしてファンに愛されている「キム・ヨンハ」氏は、ブルーアーカイブ以前に「魔法図書館キュラレ(原題:큐라레: 마법 도서관)」というゲームに関わっていた。2014年3月17日から2018年6月28日まで稼働したようだが、内部で「キム・ヨンハ」氏自身がいつまで関わっていたかは解らない。
ただ、ご本人が2021年に行った講演ではキュラレこと「큐라레 마법 도서관」を「2012~2017」と書いていて、その後「FOCUS ON YOU(2017~2018)」を経て、やっとブルーアーカイブの原型であるProject MX(の更に前段階である「萌えXCOM」=「MoeXcom」=「MX」)の話題が出てくる。
まとめると、2016年8月には、ブルーアーカイブの開発も始まっていなかったようだし、Yostarも無かったようだし、統括PDである「キム・ヨンハ」氏は「魔法図書館キュラレ」に関わっていたらしい。
これが即ち、件のアカウントがブルーアーカイブと無関係だとは言えない。別の用途に使っていたアカウントを転用してブルーアーカイブに使ったのかもしれない。
ただ、少なくとも「2016年8月から=7年半前からブルーアーカイブは仕込まれていたんだ!」は現実的でないようにみえる。
項の最後にも書く通り、これは大して価値のある情報ではないが……、情報の整理を目的とした日記なので、とりあえず書いておく。
件の投稿をしているアカウントは24/01/28現在、「キララ」の投稿とブルーアーカイブ公式の告知をRPしたもの、この2件しか投稿が無い。
しかし、2020年4月に3度にわたって「@kawaikiraraddan」がローソンの揚げ物クーポン抽選に応募したと思しきログは、ローソン側の投稿で残っている。
twitter.com/japan_lawson/status/1247330816675414016
だからといって、これが何を示すものでもないことに注意。X(twitter)のユーザー名は変更可能だからだ。
件のアカウントが2020年4月当時にユーザー名「@kawaikiraraddan」を使っていた保証がない以上、揚げ物のクーポンに応募したのは別の誰かかもしれない。
また、仮に、もしかして公式だとして、揚げ物クーポンに応募しないとは限らない。カジュアルな言動でカスタマーに親近感を抱かせる企業アカウントは存在する。
よって、これは「2020年4月当時に@kawaikiraraddanを使っていた誰か(現在と同一とは限らない)」が揚げ物クーポンに応募した?ことしか解らない。特に意味のない情報だが、この日記は情報の整理が目的なので一応書いておく。
分からない。これはあくまで情報を整理するための日記で、何かを断じるものでは無いからだ。
こうに違いない!というのは野暮かもしれない。
仮に、これが公式だったなら、4年前から作っていたことを尊敬する。
これまでほぼ出番がなかった「キララ」は現在開催中のイベントで急にスポットライトが当たったが、これが4年前のポストから計画されていたなら凄いとしかいえない。
仮に、これが非公式だったなら、情熱的なファン心理を尊敬する。
Project MXの初期には作品に着目し、PV公開から7日後にはSNS投稿を再現し、今日まで追い続けてるとなれば、最古参にして非常に強いファンだ。敬意しかない。
だからこの日記で何か結論をするつもりはないし、「運営や開発や誰かを責めたり、咎めたり、暴いたりする意図はない」です。
……ないんだけど、「2016年、ブルーアーカイブを運営するYostarの設立前からブルーアーカイブの広報活動はあったんだ!」は……難しいんじゃないかな……と思ったので、最低限の情報の整理まで。誤解されませんように。