追記:言いたいことがふわっとしてしまったかもだけど、ASDとカミングアウトしたりプロフに書いてる人はここで書いてるような「擬態」をやって来てる可能性が極めて高いので、概して普通にコミュニケーションは取れるし、妙な垣根は設けて欲しくないかなとは思う。
最近は、一般書はもちろんのこと色々なWebページで発達障害について書かれるようになってきたので、これを見てる人のほとんどが発達障害については聞いたことがあるだろうし、なんなら身近にそういう人もいると思う。ただ、当事者としては発達障害、特にASD(旧称アスペルガー)については発達障害専門でもない医師などによる誤解が蔓延してて、ひどくめんどくさい。てわけで、当事者目線から見たASDへの誤解について書いとこうと思う。一応、正式な診断はないけどWAIS-IV知能検査は受けてて、ADHDよりはASDの方が傾向強めという感じで言われたくらいだとは書いておく。
幼い頃って意味ではかなり正しいんだけど、結構多くのASDが思春期辺りで「あれ?俺ってなんか浮いてる?」てことに気づいて「擬態」という形で定型発達の模倣をするようになる。成人して社会に溶け込めてる発達当事者は擬態をかなりの精度でやってのけるから、字面のまま受け取るタイプのASDは存外少ない。むしろ、擬態がうまいタイプは相手の言葉をかなり疑り深く分析してることも多い。発達当事者の多くは擬態をやってることに自覚的で「擬態」の他にも「ASD修正パッチ」、「模倣」とか色々な言葉で表現するのだけど、近年の発達障害研究でようやくこの模倣行動が知られるようになったみたい。参考: https://www.city.himeji.lg.jp/bousai/cmsfiles/contents/0000020/20708/zidou3.pdf ここで「カモフラージュ」て書かれてるやつのことね。カモフラージュ行動が記されるようになったのは発達研究でもかなり新しいらしく、まだまだ当事者にとっては当然のことでも知られてないことが多いと感じる。
性質が悪いのは「ASDへの配慮として」字面通りに受け取ってあげましょうとか、率直に言ってあげましょうみたいなマニュアルが一部で出来上がってることで、思春期から訓練してむしろ「字面通りに受け取らないように」してるタイプにしてみればそういうマニュアルで行動されるのはたまったものじゃない。TwitterでプロフにASDと書いてる人に「字面通りに」伝えたり、相手の言葉を受け取ったりして当事者の神経を逆撫でするなんてのも見たことがある。
前述の擬態を過剰にやるタイプだとむしろ、(たぶん)定型だと普通やらんだろってくらい相手の意図を深読みしたりもする。人間って案外その時点での感情を意識してないことが多いのだけど、このタイプの人は滅茶苦茶深い精度で理屈で考えて他者の感情を読み取るから、すっごい気遣いさんになることも多いし、頭いいタイプのASDだとこの予測精度は定型より高いことも多い。
知る限りでは、これは全く事実に反しているのだけど何故かそう思ってる人は多い。もちろん、共感能力が低いASDも少なくないけど、むしろ極めて高いタイプもいて、弱者に対して普通以上に思いやれる人も多い。それゆえに普通そこまでやる?くらいの自己犠牲型になることもあったり。この辺は今だ未解明ではあるけど、ASDであるかどうかと共感能力については直交概念じゃないかなあ。
もちろん、「傾向としては」そういうのが見られる人も多いんだけど、それはASDの症状というより成長過程で社会不適応に気づけなかった結果として現れる感じ。
じゃあ、ASDの本質とは何よって言われるとこれはまだ研究途上で色々難しいんだけど、「物事をパターンで把握したがる」傾向じゃないかなあってのが個人的な仮説。ゆえに、
みたいなのが表面上現れる感じ。ただ、これも擬態してる人は元来の傾向を理性で巧妙にセーブしてたりするから、そもそも発達当事者と気づかれないことも多い。周囲から見た時に、「なんかこの人、毎日同じような行動をしてるなあ」とか、多人数での飲み会なんかだと無口になってたり消極的になってたりして「ちょっと人付き合いが苦手なのかな」程度に見えることも多いってのが実感。
他の問題として、知的障害と発達障害がしばしば混同されるというのがある。知能が一定水準を切るといずれにせよ「空気が読めない」ので外から見ると発達障害と区別がつかないのだろうけど、とある発達当事者の精神科医のツイートを見る限り、このケースは結構多いらしい。実際、巷で「発達」「アスペ」と呼ばれてるタイプの人(こういう蔑称は好きじゃないけど)は知的能力が低いというか境界知能じゃないか?レベルのケースが散見されてて、それが発達障害、特にASDへの偏見を増す結果になってるなあと思う。
さらには、精神疾患と発達障害の混同、パーソナリティ障害と発達障害の混同なんてケースもある。これは発達障害のせいでイジメや親からの虐待を食らってその結果精神疾患を患ったみたいなケースもあるので、あながち無関係とも言えないのだけど、二次的な障害と元来の傾向による苦労が混同されるのもややこしいことだなあと。